2015年6月27日土曜日

国家防衛の本来のあり方~「軍事強国」の覇権侵略にどうたちむかうか?~

中国の圧倒的な軍事力に立ち向かうベトナム

日本とは大違いの「自分の国は自分で守る」姿勢


米軍の偵察機が捉えた、中国が南シナ海で建設を進めている人工島の空撮映像。(c)AFP/AFP TV/US NAVYAFPBB News

 62324日、ワシントンDCで第7回米中戦略経済対話が開かれた。この会合は定期的に開かれている米中間の交流の一環であるが、今年は9月に予定されている習近平国家主席のアメリカ訪問に関する具体的な準備作業といった意味合いも持っていた。
「人工島脅威論は米軍のプロパガンダ」
という批判
 その準備作業に関連して、中国側による、アメリカのメディアやシンクタンクなどに対する働きかけも強まっている。その結果かどうかは定かではないが、シンクタンクの研究者などから、米政府やメディアによる中国の南シナ海政策に対する強硬論を「冷静に再評価すべきである」といった論調が唱えられるようになってきた。
 例えば、「アメリカ太平洋軍関係者たちのように、中国の人工島建設をはじめとする進出状況だけを取り上げて、南沙諸島領域紛争に関与している中国以外の関係諸国の行動を問題にすることなく一方的判断だけで中国脅威論を言い立てるのは、情報発信ではなくプロパガンダである」(グレッグ・オースティン博士)といった批判も飛び出してきている。確かに南沙諸島で埋め立て作業をしたのは中国だけではないし、大規模な滑走路も中国が建設しているものが最初ではない。
 ただし、中国の埋め立て作業規模は巨大であり、滑走路も長大であり、本格的な軍事施設が出現することは間違いない。そして、それらの事実を踏まえて太平洋軍関係者たちは、最悪の事態を想定するという軍隊の使命に則って、中国脅威論を展開しているわけである。
南沙諸島に基地を建設している台湾、フ
ィリピン
 中国は現在ファイアリークロスを大規模に埋め立てて、3000メートル級滑走路を伴う軍事施設を建設中である。
 一方、現時点で南沙諸島最大の島である太平島には1150メートル滑走路があり、台湾軍が陣取っている(中国がファイアリークロス礁の人工島を完成させると、それが南沙諸島最大になると思われる)。この太平島空港は2008年に完成し、台湾軍C-130輸送機の発着が可能である。ちなみに、太平島は1939年に日本軍により占領され長島と改名され、日本敗北まで日本が実効支配していた。第2次世界大戦中には日本海軍の潜水艦基地が設置されていた。現在は台湾軍が管理する滑走路のほかに、レーダー施設や気象観測施設それに駐屯施設があり、海軍フリゲートや沿岸警備隊巡視船が着岸可能な港湾施設も建設中である。
南沙諸島太平島
 また、1971年からフィリピンが実効支配している南沙諸島で2番目に大きいラグアサ島(パラワン州に所属している)には、すでに1975年に1300メートルの滑走路を持つ飛行場が建設され、フィリピン軍の基地も建設された。現在もフィリピン海軍基地に部隊が駐屯しているだけでなく、100200名の民間人も居住している。フィリピン海軍は港湾施設を建設する計画を立てていると言われている。
フィリピンがラグアサ島に建設した滑走路
自ら手を打たねばならないベトナム
 ベトナムもいくつかの岩礁の一部を埋め立てたりして、軍事施設を設置したり、砲台を築いたりしている。南沙諸島におけるベトナム軍拠点には、台湾軍やフィリピン軍のような本格的滑走路のある航空施設は確認されていないが、ベトナムが占拠している岩礁の数は48カ所と圧倒的に多い。ちなみに中国が現在占拠している環礁は8カ所であり、フィリピンも8カ所、マレーシアが5カ所、台湾が1カ所となっている。
 そのベトナムは、フィリピンや日本と違って、アメリカと同盟関係にないため、アメリカの軍事的支援を期待することはできない(もちろん、中比軍事衝突や日中軍事衝突が勃発した場合に、フィリピンや日本が期待しているアメリカの軍事的支援が実現するかどうかは100%保証されているわけではないのだが)。
 ベトナムはロシアから戦闘機や軍艦など各種兵器を輸入しているものの、ベトナムとロシアが同盟関係にあるわけではない。それに、ロシアは中国にも様々な兵器類をベトナム以上に輸出している。要するに、ベトナムと中国の関係にとっては、ロシアは単なる「死の商人」に過ぎず、ロシアの軍事的支援など期待しようもない。したがって、ベトナムは中国による南シナ海拡張政策から自らの領域や権益を守り抜くためには、自主防衛能力を強化するしかない。しかしながら、中国とベトナムの海洋戦力(海上、海中、航空戦力)には天と地もの差があると言っても過言ではない状況である。
最小抑止力を手にしたベトナム
 ベトナム軍は、圧倒的に戦力差がある中国海洋戦力に対抗するために、万一の際には中国海軍(ベトナムが関係するのは南海艦隊)の中枢に反撃を加えることができる攻撃力を構築しつつある。圧倒的戦力を誇る敵とはいえ、その中枢部に反撃を加える能力を手にすれば、充分とはいえないものの「とりあえずの抑止力」を手にすることとなるのだ。
ベトナム軍が配備を進めているのが、ロシア製の強力な長距離地対艦ミサイルである。ベトナム軍が運用を開始したのはK-300P Bastion-Pと呼ばれる地上移動式ミサイル発射システムであり、そこから発射されるP-800 Oniks超音速地対艦巡航ミサイルの射程は300キロメートルである。このミサイルシステムは、発射地点に移動してわずか5分で攻撃準備が完了するという極めて機動性に富んだシステムと言われている。
 ベトナム軍が配備を開始したこの地対艦ミサイルシステムは、中国海軍の南沙諸島方面への本拠地である海南島の三亜海軍基地を射程圏内に収めているだけでなく、湛江の中国海軍南海艦隊司令部をも攻撃することが可能である(P-800は艦艇だけでなく、地上目標の攻撃もできる)。
黄色のラインがP800地対艦ミサイルの射程圏

 ただし、ベトナム軍が現在手にしているK-300P発射管制システムはわずか2セットにとどまっているため、中国海軍の動きを封じ込めるほど決定的な抑止力にはなっていない。しかし、万が一にもベトナムと中国の間に軍事衝突が発生した場合には、ベトナム軍による中国南海艦隊の本拠地に対するミサイル攻撃が敢行される可能性があり、極めて限定的ながらも抑止効果を期待することが可能である。

自分の身は自分で守るベトナムの姿勢
 以上のように、ベトナムは中国人民解放軍の圧倒的な軍事力に屈することなく、自国が領有権を主張している島嶼岩礁に軍事施設等を設置して、それらに対する実効支配を目に見える形で示すとともに、敵本拠地への反撃能力という最小限の抑止力を自力で身につける努力をしている。
 このような自主防衛方針は、日本の防衛方針とは好対象である。日本は、尖閣諸島を実効支配しているとは主張しているものの、何ら目に見える形での施策は実施しようとせず、万一の際にも敵勢力の要所に対して反撃することによる「とりあえずの抑止力」を手にしようともしない。
 現在、日本の国会で継続している安保法制論議からは、自主防衛力の構築など考えてもいないような政治家たちや、抑止力と日米同盟を同義と考えているような政治家たちの姿が誰の目にも明らかになっている。自国の領域は自分で守り抜くというベトナムの姿勢を少しでも見習ってほしい。


国際海洋法で尖閣諸島を守る海上保安庁
~平成27年に「尖閣専従部隊」創設にむけての動き~

海上警察力の強化で我が国は、尖閣諸島の主権を主張していますが、どうしても考えてしまうのは、尖閣諸島に海保のヘリポートや港湾などの施設があれば、さらに円滑に巡視ができるのではないか?ということ。もう政府は事なかれ主義はやめて「国有化」したなら、それなりの陸上基地を尖閣諸島に作るべきかと思います。

新型巡視船あきつしま

尖閣諸島の巡視を行うのは、海上保安庁第11管区の巡視船。迅速、確実なレスキューにおいても我が国の主権の主張につながります。海上保安庁のみなさんの国境警備のご努力に敬意を表します。
【日本が新型巡視艇を建造へ中国活動家の尖閣上陸に対応
サーチナ 821()http://news.searchina.ne.jp/disp.cgiy=2012&d=0821&f=politics_0821_031.shtml
 海上保安庁は中国の活動家の尖閣諸島(中国名:釣魚島)再上陸に対応するため、より強いブロック機能を持つ新しい巡視艇の建造を検討しているという。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。
 報道によると、新型巡視艇は1000トン級で大型の機関砲と最新の「長距離高圧放水銃」を搭載、特殊な監視設備が設置され、夜間、長距離の周辺水域船舶の監視制御に対応できる。この新型の巡視艇の建造費用は約50億円~60億円程度だ。
 海上保安庁は、新型巡視艇は主に尖閣諸島周辺海域の警備を担当し、中国の活動家の尖閣諸島上陸阻止に使用される予定だ。(編集担当:米原裕子)

【ヘリ搭載巡視船、追加】尖閣警備で海保2隻態勢

2013.10.12 10:34更新 http://www.sankei.com/politics/news/131012/plt1310120013-n1.html
第11管区海上保安本部(那覇市)は11日、追加配備したヘリコプター搭載巡視船「おきなわ」(3100トン)の配属式を那覇市の那覇国際ターミナルで行った。11管のヘリ搭載巡視船は「りゅうきゅう」と合わせ2隻になり、中国海警局の船が領海侵入を繰り返す尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域での警備態勢が強化された。
 おきなわは先月まで7管(北九州市)に所属していた「ちくぜん」を改称し、11管に移した。ちくぜん時代には平成11年に能登半島沖で領海侵入した北朝鮮工作船に威嚇射撃を行った。
 新たにおきなわとして尖閣警備と海難救助などの通常業務にあたり、12日に尖閣警備に向かう。
 ヘリ搭載巡視船はヘリを機動的に運用でき、哨戒範囲が広いのが特徴。ヘリから撮影した船の映像をリアルタイムで巡視船や本部に送ることが可能で、対処の判断を迅速化できる。
 ヘリ搭載型が2隻所属する管区は1管(小樽市)と3管(横浜市)、10管(鹿児島市)に次いで11管が4つ目となる。2隻態勢となったことで尖閣警備をローテーション化し、乗組員の負担も軽減できる。
 海上保安庁は27年度末の尖閣警備専従部隊の創設を念頭に巡視船を12隻(新造10隻、既存船改修2隻)増強する方針だが、おきなわの追加配備はそれまでの「つなぎ役」と位置づけられる。

海上保安庁、尖閣諸島などへの中国公船対応のため中型巡視船など5隻を新造…2014年度政府予算案
20140106日(月) 1200http://response.jp/article/2014/01/06/214184.html
海上保安庁は、尖閣諸島周辺海域を徘徊する中国公船に対応するため、戦略的海上保安体制を構築するなどの2014年度の政府予算案を発表した。
 中国公船に適切に対応するため、大型巡視船14隻相当の専従体制を確立するとともに、情勢変化に柔軟に対応できるように領海警備のための戦略的海上保安体制を構築する。
 具体的には、監視能力、規制能力等を備えた中型巡視船の整備に着手するため、中型巡視船4隻、ヘリコプター搭載型巡視船1隻の新規5隻を整備する。また、前年度までの予算で着手した1000トン型巡視船18隻とヘリコプター搭載型巡視船2隻の整備も引き続き推進する。
 尖閣領海警備専従体制の確立に向け、石垣港での拠点機能を強化するため、宿舎を整備する。





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