2015年10月18日日曜日

【アメリカ合衆国の西側の国防線を守るミリタリーパワー】アメリカ第7艦隊&在日米軍の実態と実力

USSロナルド・レーガン(CVN-76)が横須賀に到着

配信日:2015/10/02 12:05http://flyteam.jp/airline/united-states-navy/news/article/55344

空母交代にあたっての配備の意味とアメリカ側の配慮とは?


乗員の登舷礼と「はじめまして」の人文字で横須賀に入港するUSSロナルド・レーガン
平成23年3月11日の東日本大震災では、三陸沖にて洋上基地として災害支援作戦の要になりましたね。

 アメリカ海軍の空母USSロナルド・レーガン(CVN-76)が、2015101日に横須賀港へ入港しました。


レーガンは、USSミッドウェイ(CV-41)USSインディペンデンス(CV-62)USSキティホーク(CV-63)USSジョージ・ワシントン(CVN-73)に次いで横須賀を母港とする5番目のアメリカ海軍空母となりました。
 第7艦隊戦闘部隊司令官のジョン・アレキサンダー少将は「アメリカ海軍最精鋭の部隊を前方に展開することは、日本の防衛に貢献し、日本とアメリカの相互協力および安全保障条約の約束を満たす能力を高める」とスピーチしました。
 艦長のクリストファー・ボルト大佐は「レーガンはワシントンより11年あとに建造され、その間の技術進歩の恩恵を受けている」と話しています。そして、アメリカ海軍の新しいローカルエリア・コンピューター・ネットワーク(CANES : Consolidated Afloat Networking Enterprise Services)を搭載しているのが特徴です。

今回到着したレーガンの乗員のうち、約2/3はワシントンの乗員でした。彼らはカリフォルニア州サンディエゴでワシントンからレーガンに乗り換えました。

レーガンは20113月の東日本大震災の際に、最も早く救援に駆けつけたアメリカ艦艇で、仙台沖から救援物資の空輸や海上保安庁ヘリコプターの給油ステーションとして活動しました。
 艦名のロナルド・レーガンは第40代アメリカ大統領で、在任中に当時の中曽根総理大臣と「ロン・ヤス」と呼び合い日米蜜月時代をつくりました。ボルト大佐は「大統領と同様にこの空母も日米の連携を強化する」と話しています。

 一説では横須賀配備の空母にUSSハリーS.トルーマン(CVN-75)も候補に上がったものの、日本への原爆投下を命令した大統領名であるため日本国民の感情を考慮して、ワシントン、そしてレーガンが配備されているというエピソードがあります。
 なお、レーガンは1018日に韓国釜山沖で開催される韓国海軍の観艦式に参加します。

※ただ空母航空団は、前任のジョージワシントンの航空団と同じです。


【ロナルド・レーガンが横須賀入港】
安保法制で注目の日本常駐「第7艦隊」って何?
THE PAGE 2015/10/6 07:00 http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151005-00000006-wordleaf-nb


米第7艦隊の主力空母である「ロナルド・レーガン」が2015101日、横須賀基地に到着しました。米国は日米安全保障条約に基づき、米海軍の中でも最強クラスの兵力を日本に配備してきました。安保法制が整備されたことで、今後、米軍と海上自衛隊の共同作戦が増えてくることが予想されます。 
 第7艦隊は米海軍の常駐戦力の中では最大級の艦隊で、インド洋から太平洋までの広い海域をカバーしています。主力は横須賀基地に配備されている原子力空母で、5月までは「ジョージ・ワシントン」がその役目を担っていました。しかしジョージ・ワシントンは建造から25年が経過し、大規模修繕に入る予定となっています(一般的な原子力空母の寿命は約50年)。このため、同艦と入れ替わりに、同型艦であるロナルド・レーガンが横須賀基地に配備されることになりました。
 ロナルド・レーガンは、90機の艦載機を搭載することができ、これらの艦載機は厚木基地を拠点に活動します。有事の際にはこれらの艦載機を載せ、広い海域に展開することが可能です。このほか横須賀基地には、巡洋艦が3隻、駆逐艦が7隻配備されており、さらに佐世保には、揚陸艦が4隻配備されています。揚陸艦は主に朝鮮半島や中国大陸における有事対応を主な任務とし、海兵隊員を乗せ、紛争地域で上陸作戦を展開することが可能となっています。現在、政治的に問題となっている、沖縄の普天間基地の海兵隊は、これらの揚陸艦を使って紛争地域まで移動します。
 近年、アジア太平洋海域では中国軍の台頭が著しい状況ですが、第7艦隊の攻撃力は圧倒的な水準であり、この状況は一貫して変わっていません。良くも悪くも、日本の安全保障が第7艦隊の存在によって維持されてきたというのはひとつの事実といってよいでしょう。
 もっとも米軍の海外戦略はここ20年で大きく変わりつつあります。かつて米国は世界の警察官として、ありとあらゆる地域に兵力を配備していました。しかし米国は、シェールガスの開発によってエネルギーの自給が可能となっており、もはや中東の石油に依存する必要がありません。このため世界に展開する米軍の規模を縮小しており、それにともなって空母の配備計画も大幅に見直されています。
 米国は、今後、自国の兵力を全世界に派遣するのではなく、その一部を同盟国に肩代わりしてもらうことを考えています。かつて沖縄は海兵隊最大の拠点のひとつでしたが、沖縄からは多くの部隊が撤退し、グアムを拠点として活動するようになりました。米軍は確実に行動範囲を縮小していることが分かります。今回、安倍政権が安保法制の成立を急いだことにはこうした事情も大きく関係していると考えられます。(The Capital Tribune Japan
 
※アメリカ第7艦隊は、今やかつての大日本帝国海軍の連合艦隊のように、単に我が国周辺海域の防衛哨戒だけでなく、韓国(朝鮮半島有事)、台湾、フィリピンやベトナムなど東シナ海や南シナ海、西太平洋、中部太平洋、インド洋など広大な範囲の海洋防衛を担当します。
 海洋から内陸へ、偵察、情報収集、拠点爆撃、着上陸(海兵隊)支援、中国大陸に配備された弾道ミサイルへの対処などを行います。


アメリカ第7艦隊へようこそ!

【日本の平和を維持してきた『抑止力』】一翼を担う在日米軍の全体像とは?
THE PAGE 2015/9/24 09:00 http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150917-00000010-wordleaf-nb

抑止力を構成する在日米軍の全体像とは?(2013年撮影資料写真、横田基地で)(ロイター/アフロ)

 戦後70年間、日本が平和な状態を維持できた理由の一つは、他国の野心的な意図を抑える力、「抑止力」を日本が保持してきたからです。その中心を担ってきたのが、現時点で約23万人の隊員を有する自衛隊です。しかし、抑止力としての役割を果たしてきたのは自衛隊だけではありません。日米安全保障条約などに基づいて駐留する「在日米軍」も大きな役割を果たしてきました。現在、日本には概ね5万人の米軍が、全国にある約80箇所の専用施設等を利用して駐留しており、日本は防衛予算の1割を在日米軍関係経費に充てています。

[図表1]在日米軍の人数と推移(2012年~2015)

在日米軍の人数は全海上自衛官より多い

 日本には、「日米安全保障条約」と「日米地位協定」に基づいて米軍が駐留しています(以下、在日米軍)。米国防省の統計によれば、20156月現在、在日米軍の総数は48,828人になります(図表1参照)。この人数は全海上自衛官より多く、また、全自衛官の5分の1を上回ります。
 在日米軍の中で1番人数が多いのは、米海軍です。米海軍は約19,000人駐留しています。このうち約13,000人は軍艦の乗員になります。乗員の人数が多いのは、「第7艦隊」という大きな部隊が日本に拠点を置いているからです。日本には約20隻の軍艦が所在しており、その中でも海上自衛隊の護衛艦に相当する軍艦の数は、全護衛艦数の約5分の1に相当します。部隊を管理する上で中心的役割を果たす「司令部」は、神奈川県横須賀市の「横須賀基地」にあります。
 在日米軍の中で2番目に人数が多いのが、米海兵隊です。米海兵隊は約15,000人駐留しています。このうち約12,000人は戦闘を任務にする「第3海兵遠征軍」の隊員です。司令部は沖縄県うるま市にある「キャンプ・コートニー」にあります。ちなみに、米海兵隊は行政上、米海軍省の下に置かれていますが、陸上での戦いを専門とする組織です。
 在日米軍の中で3番目に人数が多いのが、米空軍です。米空軍は約12,000人駐留しています。日本には主に戦闘機の部隊が展開しています。在日米空軍は80機を超える戦闘機を持っており、この数は航空自衛隊が持っている全戦闘機数の5分の1以上に当たります。司令部は東京都福生(ふっさ)市などにある「横田基地」にあります。なお、在日米空軍の司令官は、在日米軍全体の司令官を兼ねています。
 在日米軍の中で最も人数が少ないのは、米陸軍です。米陸軍は約2,400人駐留しています。日本には戦闘を任務にする部隊ではなく、補給などの後方支援を担う部隊が主に展開しています。司令部は、神奈川県座間市の「キャンプ座間」にあります。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150917-00000010-wordleaf-nb&p=2

[図表2]在日米軍の人数と主要施設

専用施設は全国各地

 在日米軍の施設は全国各地にあります(図表2参照)。防衛省などの公開情報によれば、20153月現在、在日米軍は14都道府県に合計82箇所の専用施設を持っています。在日米軍の専用施設の面積を全て合わせると東京23区の半分程度の広さになります。専用施設の一例は、在日米軍の施設で最も新しい、京都府京丹後市の「経ヶ岬(きょうがみさき)通信所」です。経ヶ岬通信所は米陸軍の施設で、弾道ミサイル防衛用のレーダーが設置されています。
 一方、専用施設とはいえ、自衛隊が共同で使用している場所もあります。その一例が本州最大の在日米軍基地である、青森県三沢市の「三沢(みさわ)基地」です。三沢基地は飛行場で、米空軍の戦闘機や米海軍の偵察機などが所在している他、航空自衛隊も拠点を置いています。ちなみに82箇所ある専用施設には、神奈川県逗子市などにある「池子住宅地区」など、非軍事的な施設も含まれています。

[写真]会談したジョン・ドーラン在日米軍司令官(左)と河野克俊統合幕僚長(20156月撮影、ロイター/アフロ)

防衛予算の1割は在日米軍関係経費

 日本政府は米軍が日本に駐留する上で生じる経費の一部を支出しています。財務省などの公開資料によれば、平成27年度に日本政府が予定している在日米軍関係経費の総額は7,250億円になります。この総額には、米軍の施設がある地方自治体に交付される「調整交付金」など、防衛省以外の省庁が所管する経費も含まれています。防衛省が所管する経費は約5,200億円となっています。経費として計上されているものには、在日米軍施設で働く日本人労働者の給与や庁舎等を造るための施設整備費、騒音軽減や土地返還のための事業費など、様々な経費が含まれています。実は、いわゆる「防衛予算」と呼ばれる防衛関係費には、これらの経費が含まれています。平成27年度の防衛予算の総額は約5兆円ですから、防衛予算の1割は在日米軍関係経費ということになります。
 日本には約5万人の米軍が、約80箇所ある全国各地の専用施設などを利用して駐留しており、日本も防衛予算の1割を在日米軍関係経費として支出しています。在日米軍が駐留していることで、騒音や周辺住民との摩擦など、いわゆる基地問題が生じていることは間違いありません。一方、在日米軍が駐留することで、人員や軍艦、戦闘機など、自衛隊の2割に相当する防衛力が日本に存在しているのも事実です。日本の安全保障について考える際には、抑止力の一部として機能している在日米軍にも目を向けたいものです。
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廣瀬泰輔(ひろせ・たいすけ)国会議員秘書。元米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員。防衛大学校卒。松下政経塾卒。米海軍研究所に留学(20082009年)。主な執筆記事に、「『戦争』だけが自衛隊の仕事じゃない 非軍事活動ムートワ(MOOTW)とは?(非軍事活動ムートワ)」



在日米軍ドーラン司令官

※他国を圧倒する軍事力で、アメリカ合衆国の西側国防線から本国を守ってきた第7艦隊や在日米軍ではありますが、南シナ海の南沙諸島に共産中国に「人工島」を構築されてしまってからは、その依代とも思える軍事力が空回りしているように思えます。
 同盟国に駐留経費を負担してもらったり、戦力の配置を変えてみたりとアメリカの国防線の軍事力は後退したかのようにみえますが、北朝鮮や共産中国が中距離弾道ミサイルを開発配備したことによる軍事環境の変化やアメリカ国内の社会経済環境の状況などを考えると「最前線」の軍事力配備を効率のよいやり方に変化させるのは理解できる話しです。
次は、アメリカのそうした国防線での軍事力のスキをついて共産中国が建設してしまった南沙諸島の人工島に対して、アメリカ海軍が「FONパトロール」を実行してきたいところなんですが、様々な条件がそれを阻んでいる点についての論文です。
アメリカが第二次大戦で我が国から獲得した権益が、21世紀になってその我が国の「親中政権」の援助によって大国化してきた共産中国によって脅かされています。アジアでの権益をアメリカはどう守ろうとしているのでしょうか?日米安保体制下にある我が国は、どうアメリカとの距離をもてばいいのでしょうか?

アメリカの軍艦派遣は打つ手が遅すぎた~南シナ海の軍事バランスはもはや圧倒的に中国が優位
中国によって巨大な灯台が建設された南沙諸島のクワテロン礁

アメリカ太平洋軍司令官ハリス海軍大将は、「アメリカ軍艦ならびに軍用機は、南沙諸島に建設されている中国の人工島周辺12カイリ(約22キロメートル)以内でのFONFreedom Of Navigation)パトロールをただちに実施するべきである」と重ねて明言した。これは、本コラム(「ホワイトハウスが米海軍に圧力『中国を刺激するな』」)で紹介した連邦議会公聴会における発言の延長線上にあるものである。
「世界中の海洋で自由航行原則が脅かされる可能性がある場合、そのような事態の是正を求める」というのがアメリカの伝統的国策であり、それを推進するプログラムの中で軍隊が担当するのがFONパトロールである。
 これは、自由航行原則に脅威を与える事態が生起した場合、その海域に軍艦や航空機を派遣して警告を発する“戦争以外の軍事作戦”だと言ってよい。
FON作戦が抱えるジレンマ
このようにハリス提督は内外いくつかのメディアのインタビューに答える形で「12カイリ内FONパトロール実施の必要性」を強調している。それと歩調を合わせて“アメリカ海軍筋”からは、「アメリカ海軍は2週間以内に中国人工島12カイリ内でのFON作戦を実施する」という情報も流出している。


要するに、ハリス提督の議会やメディアに対する明言を受けて、アメリカ軍の対中強硬派が「アメリカ海軍としてはいつでも中国人工島周辺12カイリ内に軍艦や軍用機を派遣してFONパトロールを実施する作戦の準備は万端整っており、オバマ大統領のゴーサインを待つだけだ」というメッセージを発しているわけである。
オバマ大統領にとっては、太平洋軍にゴーサインを出さないと、中国が南沙諸島に建設している7つの人工島は中国の領土であることを認めてしまったと捉えかねられない。その結果、中国と南沙諸島の領有権をめぐって紛争中のフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイそれに台湾は、アメリカへの信頼を失うことになるであろう。
 同時に、南沙諸島はじめ南シナ海を“中国の海”と化していく流れによりいっそう拍車がかかることになるのは必至である。

南沙諸島に中国が建設している人工島

一方、オバマ大統領がFONパトロールにゴーサインを出した場合、アメリカの国是である「自由航行原則を守り抜く」そして「世界中に守らせる」という毅然たる態度を取り戻したと、アメリカ海軍はじめとする「自由航行原則至上主義陣営」からは評価されることになるであろう。


しかし、それは同時に、中国の南沙諸島領有権の主張に対して正面から異を唱えることを意味する。したがって、「自由航行原則の堅持」とともにアメリカ外交の鉄則である「第三国間の領域紛争へは関与しない」という国是には反することになってしまう。そのため、海軍や海兵隊などの対中強硬派とは一線を画して「人工島をターゲットにしたFONパトロールに対しては慎重な態度をとるべきである」という声も少なくない。
 これらの米国内での国是に関する葛藤に加えて、FONパトロールの実施は米中関係にも直接大きな影響を及ぼすため、オバマ大統領は極めて困難な決断を迫られているのである。
「平和的秩序の維持を破壊するな」と中国政府
アメリカ側のこのような動きに対して、中国当局は「アメリカ海軍軍艦が中国の領土である人工島周辺の12カイリ領海内部を航行すること自体は、何ら違法な行動ではない」としている。
 中国は国連海洋法条約を批准している(アメリカは批准していない)うえ、中国自身もつい最近、アメリカの領海であるアリューシャン列島島嶼12カイリ内を3隻の軍艦によって“自由航行”(本コラム2015910日「アラスカ沖のアメリカ領海を中国艦隊がパレード」)している。よって中国としては、当然の基本的立場を述べたものである。
 しかし同時に、「自由航行の原則を振りかざして、挑発行為を行ったり、他国の領域に対する内政干渉することは、決して容認できない。そのような軍事的威圧は、南シナ海などの平和的秩序の維持を破壊するものである」といった趣旨の警告も発している。
 まさに中国当局の声明は「アメリカ軍による人工島周辺でのFON作戦は南沙諸島領域紛争への介入である」という、アメリカ国内でも上がっている懸念の声を逆手に取ったものである。

人工島に巨大灯台が誕生
時を同じくして中国政府は「クアテロン礁とジョンソンサウス礁に建設していた灯台の運用を開始した」と発表した。
 クアテロン礁もジョンソンサウス礁もともに中国が埋め立てて人工島化している環礁である。クアテロン礁に大がかりな灯台と思われる建設が開始されている状況は、すでに本年5月下旬には確認されていた。それが、高さ50メートルの巨大灯台として完成し、運用が開始されたのである(ちなみに日本の灯台の内最も背の高いのは出雲日御碕灯台で43.65メートルである)。
 これら2つの灯台は、22カイリ遠方まで到達する強力な光達性能を有しているだけでなく、電波標識としてのAISVHF局も備えている(出雲日御碕灯台の光達距離は21カイリ、室戸岬灯台の光達距離は26カイリ)。このため、周辺海域を航行する船舶にとっては極めて頼りがいのあるナビゲーション支援を提供することになる。また「近海での緊急事態に際しては心強い施設となるであろう」と中国当局は主張している。
 さらに中国当局は、中国の南沙諸島での各種建設作業は、国際社会に貢献するところが極めて大きい旨を以下のように説明している。
「これらの灯台を皮切りにして、より多くのナビゲーション支援設備や緊急避難施設、それにオイル流出事故などに備えての処理施設などの建設が進められる。このような中国の努力によって、南沙諸島周辺諸国の多数の漁船をはじめとする船舶のみならず、南シナ海を通航する様々な国籍の船舶の航行の安全が大きく促進されることになる」
FONパトロールでは人工島建設を阻止できない
オバマ大統領がゴーサインを出してアメリカ太平洋軍によるFONパトロールが中国人工島周辺12カイリ内で実施されたとしても、中国の人工島建設(すでに島の土台の埋め立てや浚渫作業は完成しており、滑走路や建造物など島内施設の建設段階である)そのものをストップさせることはできない。


FON作戦は、あくまでも航行自由原則を維持するためのものであり、中国とフィリピンやベトナムなど南シナ海沿岸諸国との間の領域紛争への介入ではない。オバマ大統領がゴーサインを出す場合、とりわけこの点を強調するはずである。したがって、アメリカ軍艦や軍用機は、挑発的と見られる動きを封殺しつつ12カイリ内領域を通過することになる。
 これにより、アメリカ軍としても「中国が人工島を建設して勝手に領土領海を手にすることに対して警告を発した」という“実績”を一応示すことができる。また、オバマ政権としても、あくまで「航行自由原則の維持のため」という形を取りつつも「同盟国を見捨てたわけではない」というアリバイを作ったことになる。
 しかし、中国側から見れば、たとえアメリカ軍艦が中国の“領海”内水域を通過しても、人工島に対して軍事的威嚇などを実施しなければ、それは「世界の全ての船舶が享有している、他国の領海における無害通航権」の行使にすぎない。
 そのように中国当局が「無害通航権の行使」と公式に解釈してしまえば、いくらアメリカ側がFONパトロールによって「人工島を認めない」という意思を示し続けても、中国に対しては暖簾に腕押しである。
 中国が巨額の資金をつぎ込んで建設した7つの人工島には、すでに3カ所もの3000メートル級軍用滑走路と多数の軍事関連施設、それに巨大灯台に代表される非軍事的“国際公共施設”が数多く建設されている(本コラム2015924日「人工島に軍用滑走路出現、南シナ海が中国の手中に」)。このような既成事実の塊である人工島を排除することは、FONパトロールをはじめとする外交的手段では、もはやほぼ完全に手遅れである。アメリカ政府はもとよりアメリカ軍自身もそのことを明確に認識しているはずである。
 つまり、南シナ海の軍事バランスが圧倒的に中国優位に突き進んでいるというのが紛れもない現実なのである。

※人工島付近のアメリカ艦隊の航行を共産中国側が認めていること、アメリカが国連海洋法条約を批准していないことで、ことさらに共産中国を刺激したくないワシントンサイドの思惑もあって、軍事的な圧力がアメリカがかけにくい現状があるようですね。
 それほど南沙諸島領有を共産中国が、戦略的に進めてきた結果といえるわけですが、南沙諸島の主権を主張する南シナ海周辺国、とりわけフィリピンにしてみたら、不安要素が深まるだけでしょう。
 アメリカ頼みではなく、まず状況が共産中国ペースで進捗しないよう各国それぞれの安保政策を確立していくことでしょうね。
フィリピンは我が国の海上保安庁のような海洋警察機関の拡充が待ったなしです。





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