2015年11月13日金曜日

南シナ海をめぐる米中の攻防 ~ むきあうアメリカの対中監視・抑止力 ~

日本周辺海域も「波高し」、中国潜水艦が再び米軍空母に接近

あの手この手で撹乱作戦を繰り出す中国

中国海軍潜水艦が接近したアメリカ海軍空母「ロナルド・レーガン」(出所:Wikimedia Commons

2015年)1024日、中国海軍潜水艦が横須賀から釜山沖に向かうアメリカ海軍空母「ロナルド・レーガン」に接近していた事実が、先週、アメリカのメディアによって公表された。
【関連記事】中国の攻撃型潜水艦、米空母ロナルド・レーガンに接近
10月下旬、日本近海で
2015.11.4 00:44更新 http://www.sankei.com/world/news/151104/wor1511040004-n1.html

米ニュースサイト「ワシントン・フリービーコン」は3日、中国の攻撃型潜水艦が10月下旬、日本近海を航行していた米海軍の原子力空母ロナルド・レーガンの至近距離に近づいていたと報じた。中国潜水艦がここまで米空母に接近したのは2006年以来という。
米海軍のイージス駆逐艦ラッセンは、10月27日に南シナ海で中国が造成した人工島周辺を航行。空母接近はこの直前のタイミングだった。同サイトは中国側がラッセンの航行や、対中強硬派として知られるハリス太平洋軍司令官の訪中に合わせてけん制した可能性を指摘した。
 潜水艦の接近時に空母艦内では警報が鳴ったが、対潜哨戒機が発進したかどうかなどは不明。中国潜水艦の詳しい種類も明らかになっていない。
 ロナルド・レーガンは母港の米海軍横須賀基地を出て、韓国海軍との合同演習のために九州南方を経て日本海に向かう途中だった。(共同)

この“接近劇”は、ペンタゴンやアメリカ海軍当局が公式かつ積極的に公表したものではない。だが、この種の情報に強い保守系メディアの「ワシントン・フリー・ビーコン」の取材に対して、米海軍は遭遇の事実を否定しなかった。
1027日には、南シナ海でアメリカ駆逐艦「ラッセン」が中国人工島12カイリ内水域を通航するFON作戦(航行自由原則維持のための作戦、以下FONOP)を実施した。
 そしてその翌日、今度は2機編隊のロシア爆撃機Tu-142「ベア」が、韓国海軍と合同訓練中の「ロナルド・レーガン」に高度500フィート、距離1マイル以内に接近したため、空母艦載戦闘機が緊急発進する事態も生じた(爆撃機ベアは長距離航続性能のために、しばしば今回のように偵察任務に投入されている)。
 中国海洋戦力の強化と、ロシア海洋戦力が復活しつつあることに伴い、日本周辺海域はかつての米ソ冷戦時代よりも“騒がしい海”へと変貌しつつあるようだ。
接近したのは「改良キロ型」潜水艦?
中国潜水艦は少なくとも半日以上にわたって「ロナルド・レーガン」を近距離で追尾していたという。この事実そのものをアメリカ軍当局は否定していない。しかし、潜水艦に関するこの種の情報は、それが自国の潜水艦であれ他国のものであれ通常は発表されないため、今回の事案に関する詳細な情報は確認されていない。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45225?page=2

アメリカ海軍関係者たちによれば、少なくとも3つの点が重要である。第1に、接近してきた中国潜水艦の種類は? 第2に、中国潜水艦は2006年の「宋型潜水艦浮上事件」のように浮上したのか? そして最も重要なのが、アメリカ空母部隊は中国潜水艦の接近をいつから捕捉していたのか?
 中国海軍の潜水艦配置状況から判断すると、今回「ロナルド・レーガン」が遭遇した中国潜水艦は「改良キロ型」と考えられている。ロシアで建造され中国海軍が10隻輸入した「改良キロ型」潜水艦は、ロシアでは「プロジェクト-636」と呼ばれている通常動力型攻撃潜水艦である。この潜水艦は極めて静粛性に優れているとともに、やはりロシアが開発した強力な「クラブ」対艦ミサイルを装填している。
中国海軍キロ636型潜水艦
中国海軍お得意の政治的デモンストレーション
「孫子」の伝統を尊重する中国共産党、そして人民解放軍は、潜水艦に限らず軍事力を政治的に多用する。今回の“潜水艦接近劇”も政治的メッセージを発する意図があったと考えられる。
 というのは、アメリカ連邦議会などでは9月以降「南沙諸島問題で中国を牽制すべきである」との声が高まり、10月に入ってからはアメリカ海軍によるFONOPの実施が表明されていた。したがって中国側としても、あらゆる手段を用いてアメリカ海軍を牽制しようとするのは当然といえる。
 そこで中国海軍は、かねてより予定されていた米韓海軍合同演習に向かうアメリカ空母の直近に潜水艦を浮上させたのだと考えられる。これは、以前よりしばしば中国海軍が実施している政治的デモンストレーションの方法である。
 この米韓海軍合同演習に続く112日から5日にかけて、アメリカ太平洋軍司令官ハリス海軍大将が中国を訪問することになっていた。このようなアメリカ軍当局の要人による中国訪問に合わせて、“ちょっとした軍事的威嚇”を行うのは人民解放軍の常道である。


極めて似通った前例が、2006年に発生している。「宋型潜水艦浮上事件」である。
 この事件は、アメリカ太平洋艦隊司令官ラフヘッド海軍大将(2006年当時)が訪中する直前に起きた。すなわち、沖縄沖で訓練中の横須賀を母港としていた空母「キティーホーク」の直近5マイルに、中国海軍「宋型」潜水艦が浮上したのだ。
 日常生活で5マイル(8キロメートル)といえば“真横”というわけではない。だが、海軍の常識では5マイルというのは対艦ミサイルどころか魚雷でも攻撃可能な“至近距離”である。そして、接近距離よりも深刻な問題は、中国潜水艦が浮上するまで「キティーホーク」側は中国潜水艦の接近に気づかなかったという事実であった。
 この2006年の事件と今回の“接近”は、アメリカ海軍高官の訪中の直前に、訓練中のアメリカ空母に潜水艦を接近させる、というタイミングと手法が一致している。したがって、今回も「おそらくは魚雷攻撃距離内で、これ見よがしに浮上したに違いない」と考えられているわけである。
 また、もしも浮上しなかった場合には、「中国潜水艦はアメリカ空母に接近したものの、その行動は逐一把握されており、戦時ならば潜水艦は簡単に沈められていた」とアメリカ海軍側に逆宣伝されてしまうことになりかねない。だから、中国潜水艦はあえて浮上した。敵軍艦近辺で浮上するという“潜水艦にあるまじき”機動を行うことで、「接近を見せつけた」のだとも考えられる。
空母戦隊は中国潜水艦の追尾に気づいていたのか?
 中国潜水艦が浮上したのか否かは、現在のところ「ロナルド・レーガン」幹部と中国潜水艦以外には一部の米海軍首脳と中国海軍首脳しか知らない事実である。それ以上に謎なのは、「ロナルド・レーガン」空母打撃群は「中国潜水艦の追尾にどの時点から気づいていたのか?」というタイミングである。おそらくこれは明らかにされないであろう。
 今回の“遭遇事件”を起こしたと考えられる「改良キロ型」潜水艦は、2006年の主役であった「宋型」潜水艦に比べると飛躍的に静粛性に優れている。また、「9.11」以降アメリカ海軍は空母自体の対潜水艦戦能力を強化はしていない。そのため、今回もまた「中国潜水艦が浮上するまで探知していなかったのではないか?」と考える人々もいる。
一方、反対の意見を唱える者もいる。「ロナルド・レーガン」には合わせて4隻の水上戦闘艦が同行しており、対潜水艦戦能力は十二分に備えていた。それらの空母打撃群は、中国潜水艦が追尾している状況を長い間承知の上でそのままにしていたのである。そして、空母を追尾していた中国潜水艦は、ピッタリとアメリカ攻撃原潜が追尾していた。
 要するに、米海軍は数時間にわたって中国潜水艦の各種情報を収集していたのであり、中国潜水艦の突然の浮上に驚いたわけではない、との反論も少なくない。
米国は日本の潜水艦戦力増強に期待
いずれにせよ、中国海軍潜水艦戦力が増強を続けているのに対して、アメリカ海軍潜水艦戦力は足踏みを続けているという現実は事実である。
 現在、アメリカ海軍が東シナ海や南シナ海を含むアジア太平洋海域での作戦用として割り当てられる攻撃原子力潜水艦は30隻である。そのうち、この海域で作戦に投入できるのは、最大で10隻であろう。ただし、太平洋艦隊の担当水域はインド洋にまで及ぶため、10隻のすべてを東シナ海や南シナ海に投入するわけにはいかない。
 これに対して、中国海軍は「宋型」「キロ型」「改良キロ型」、そしてさらに静粛性が高いと言われている「元型」通常動力潜水艦を合わせて40隻ほど保有している。また、比較的新型の攻撃型原潜と最新鋭の攻撃型原潜も少なくとも6隻は運用していると考えられている。
 そして、中国海軍のそれらの潜水艦戦力は、より新型に置き換えられつつ、数も増大している。2020年には通常動力と原子力双方の攻撃潜水艦は合わせて60隻に達することは確実と見られている。
 一方、アメリカ海軍は現行の主たる攻撃原潜である「ロサンゼルス級」を「バージニア級」に更新する作業は遅々として進んでいない。
 このような両海軍の潜水艦整備状況から、「それほど遠くない将来に、中国潜水艦戦力がアメリカのそれを凌駕しかねない」と危惧している海軍関係者も少なくない。

 そして、アメリカ潜水艦戦力の相対的戦力低下を補うのは「日本の通常動力潜水艦戦力増強と対潜水艦戦力増強である」と同盟国日本への期待が寄せられていることも、私たちは知っておくべきであろう。

《維新嵐》北東アジアにおいて我が国が果たすべき「軍事的役割」がはっきりしてきました。アメリカは今や日本の軍事力を恐れてはおらず、むしろ「同盟国」として国防圏の防衛のためにあてにしています。我が国の国防線の防衛にも直結してくる問題だけに、消費税増税で官庁の利権拡大にいそしむことはやめて、国内実体経済を再興させ、自衛隊を「国防軍」として拡充すべきでしょう。これが国際社会のニーズに応え、国益を拡大するための手段であろうと思います。

共産中国を大陸に封じ込めるため南シナ海、東シナ海へ展開し、監視するアメリカの軍事力

アメリカ海軍の2個空母打撃群が作戦中 南シナ海情勢を睨み
配信日:2015/11/04 12:25
http://flyteam.jp/airline/united-states-navy/news/article/56450

2015年1029日、南シナ海で撮影されたUSSセオドア・ルーズベルト

アメリカ海軍太平洋艦隊は、現在2個の空母打撃群(CSG)

7艦隊担当海域(AOR)で作戦航海中と、20151029日に発表しました。

南シナ海への駆逐艦派遣で、緊張感が高まるアジア・太平洋地域での軍事プレゼンスを誇示する狙いがあると思われます。

ひとつは空母USSセオドア・ルーズベルト(CVN-71)を中心とするCSGで、イージス巡洋艦USSノルマンディ(CG-60)とともに、1028日までシンガポールを訪問して、新しい母港となるカリフォルニア州サンディエゴへ航海しています。ルーズベルトCSGはインド洋で、インド海軍、海上自衛隊と共同演習を実施しています。

もうひとつは横須賀を母港とするUSSロナルド・レーガン(CVN-76)を中心とするCSGで、第5空母航空団(CVW-5)とイージス巡洋艦USSチャンセラーズビル(CG-62)、イージス駆逐艦USSカーチス・ウィルバー(DDG-54)USSフィッツジェラルド(DDG-62)USSマスティン(DDG-89)とともに韓国海軍との共同演習を実施し、1030日から韓国の釜山を訪問しています。

レーガンCSG司令官のジョン・アレキサンダー少将は「我々の展開は同盟国との共同演習を通じて文化や技術、知識を共有するだけでなく、航行の自由と海洋の合法使用を守るために貢献している」と話しています。

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CSGにはF/A-18戦闘攻撃機だけでも約100機あり、早期警戒機や電子攻撃機、ヘリコプターなども含めると合計約140機を搭載しています。中小国の空軍力をはるかに上回るエアパワーです。

空母セオドア・ルーズベルト搭載のCVW-1所属飛行隊 / 搭載機
・第11戦闘攻撃飛行隊(VFA-11)レッドリッパーズ F/A-18F
・第211戦闘攻撃飛行隊(VFA-211)ファイティング・チェックメイツ F/A-18F
・第136戦闘攻撃飛行隊(VFA-136)ナイトホークス F/A-18E
・第251海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA-251)サンダーボルツ F/A-18C
・第137電子攻撃飛行隊(VAQ-137)ルークス EA-18G
・第125早期警戒飛行隊(VAW-125)タイガーテイルズ E-2D
・第11対潜ヘリ隊(HS-11)ドラゴンスレイヤーズ SH-60F/HH-60H
・第40艦隊補給飛行隊(VRC-40)ロウハイズ C-2A

ワシントン搭載のCVW-5所属飛行隊/ 搭載機
・第102戦闘攻撃飛行隊(VFA-102)ダイヤモンドバックス F/A-18F
・第27戦闘攻撃飛行隊(VFA-27)ロイヤルメイセス F/A-18E
・第115戦闘攻撃飛行隊(VFA-115)イーグルス F/A-18E
・第195戦闘攻撃飛行隊(VFA-195)ダムバスターズ F/A-18E
・第141電子攻撃飛行隊(VAQ-141)シャドウホークス EA-18G
・第115早期警戒飛行隊(VAW-115)リバティーベルズ E-2Cホークアイ2000
・第30艦隊支援飛行隊(VRC-30)プロバイダーズ 第5分遣隊 C-2
・第12海上戦闘ヘリコプター飛行隊(HSC-12)ゴールデンファルコンズ MH-60S
・第77海上攻撃ヘリコプター飛行隊(HSM-77)セイバーホークス MH-60R

※アメリカ太平洋艦隊はこのほかにも戦略型潜水艦も南シナ海へ動員しているものと考えられます。

【米イージス艦南シナ海派遣】
艦船派遣「また行う。本気だ」 カーター米国防長官、国際秩序へ決意強調
2015.11.8 08:45更新 http://www.sankei.com/world/news/151108/wor1511080016-n1.html

イージス駆逐艦ラッセン

カーター米国防長官は201511月7日、南シナ海で中国が「領海」と主張する人工島近くにイージス駆逐艦を派遣したことに関し「また行う。本気だ」と述べ、「航行の自由」を示す作戦を今後も実施する考えを強調した。「(国際法の)原則に基づいた国際秩序の強化」のため、米軍は革新を続けなければならないとも語った。
 西部カリフォルニア州シミバレーで開かれた国防当局者らの会合で演説したカーター氏は「米国は国際法が許すあらゆる場所で飛行、航行、活動を続ける」とあらためて表明。演説後の質疑でも「航行の自由」があることを示すために「行動しなければならない」と強調した。
 カーター氏は中国側と対話を続ける考えを表明しており、来年に中国を訪問する予定。気候変動問題や海賊対策、人道支援などの分野で協力拡大を目指す考えだ。

カーター米国防長官、南シナ海の空母ルーズベルトを視察

配信日:2015/11/09 21:55 http://flyteam.jp/airline/united-states-navy/news/article/56584

USSセオドア・ルーズベルト(CVN-71)MV-22Bで到着したアッシュ・カーター米国防長官

アメリカのアッシュ・カーター国防長官が、2015115日、南シナ海を航行する空母USSセオドア・ルーズベルト(CVN-71)を視察し、8カ月以上作戦航海する乗員らを激励しました。

ルーズベルト艦上では同空母打撃群の作戦状況の説明を受け、1027日に中国が造成中の人工島近くを航行した駆逐艦USSラッセン(DDG-82)の艦長、ロバート・フランシス中佐と面会、200名以上の海軍・海兵隊員にスピーチをしました。

カーター長官は「アメリカはアジアの安全保障に包括的なアプローチをしている。中国と協議し、アメリカ軍と中国軍が交渉を持つことで誤解がなくなると信じている」と現在の南シナ海情勢について話し、これまで中東でのISIL攻撃作戦に参加した乗員らに感謝の言葉を伝えました。

配信された画像によると、カーター長官はマレーシア国防相とともに、アメリカ海兵隊のMV-22Bオスプレイでルーズベルトに飛行した模様です。

※アメリカにとっては、南シナ海、東シナ海、西太平洋は大日本帝国との「血みどろの戦い」によって獲得した「既得権益」でしょうから、遅きに失したとはいえ本腰を入れて防衛に乗り出した、といえるでしょう。頼みになるのは、今は「盟友」の我が国自衛隊。自衛隊が局地防衛を固めてくれていれば、アメリカ軍は安心して南シナ海へでられます。
 カーター国防長官の言葉通り、アメリカはまだFON作戦を継続していることが以下の記事からわかります。

米B52爆撃機、南シナ海の中国人工島周辺空域飛行
2015.11.13 10:46更新 http://www.sankei.com/world/news/151113/wor1511130019-n1.html
-52戦略爆撃機動画

 【ワシントン=青木伸行】米国防総省のクック報道官は20151112日の記者会見で、米軍のB52戦略爆撃機が、中国が建設を進める南シナ海の人工島の周辺空域を飛行したことを明らかにした。米海軍は10月27日(現地時間)に、人工島の12カイリ(約22キロ)内をイージス駆逐艦「ラッセン」が航行した「航行の自由作戦」を実施しており、空からの新たな示威行動とみられる。
 国防総省によると、B52は2機で、8日にグアム基地を飛び立ち人工島の周辺空域を飛行した後、9日に同基地に帰還した。
 クック報道官は「中国の管制官が当該機(B52)に交信を試みたが、機はそのまま任務を継続した」と説明した。
 また「B52は一帯の国際空域を常に飛行している」と述べ、国際法に合致した行動であることを強調するとともに、人工島周辺を「領海、領空」とする中国の主張を暗に退けた。

ただ、B52は人工島の12カイリ内の上空は通過せず、15カイリの外側を飛行した。米政治専門誌「ザ・ヒル」(電子版)は米政府当局者の話として、中国側は「われわれの島から退去せよ」と通告したと報じた。また、今回の飛行は航行の自由作戦の一環として行われたとしている。
 米軍は2013年11月、中国が防空識別圏の設定を宣言した東シナ海上空に、グアム基地から2機のB52を急派している。

 ラッセンが航行した後の今月初めに、マレーシアで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)の拡大国防相会議では、航行の自由をめぐり米中が鋭く対立し、共同宣言の採択が見送られる事態となった。その後も米政府は、作戦の継続を表明していた。
《維新嵐》FON作戦が、「領空」に及ぶということがよくわかりましたね。しかしいつまで続くのか!?

【空母のクオリティ】
緊迫の南シナ海・中国の虎の子空母、実は“ポンコツ”
米空母は「空中レーダー」で最強の座キープ
2015.11.9 15:00更新 http://www.sankei.com/west/news/151109/wst1511090038-n1.html

 南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島の岩礁埋め立てを巡り、米中のつば競り合いが本格化し始めたことで、地域の軍事バランスを左右する米中の航空母艦(空母)に注目が集まっている。東日本大震災で救援の「トモダチ作戦」に参加したことで日本人にも馴染み深い米原子力空母「ロナルド・レーガン」と、中国海軍が初めて持った空母「遼寧(りょうねい)」。この2艦は、艦種は同じ空母でありながら、実力は圧倒的にロナルド・レーガンが上なのだ。優位の切り札は、空母の目となる「空飛ぶレーダー」の早期警戒機を積めるかどうかにある。(岡田敏彦)

空母遼寧


 米中両空母の違い

 米国の原子力空母ロナルド・レーガンは2003年就役。全長333メートル、全幅77メートル。排水量は約10万1400トン。乗組員5700人と「動く街」の規模をもち、速度は30ノット(約56キロ)以上。
 一方、中国の遼寧はソ連のキエフ級空母「ワリャーグ」の中古を2001年に入手、修理のうえ2012年に再就役させたもので、全長305メートル、全幅73メートル、排水量6万7500トン。乗組員は約2000人で、速度は29ノット(約54キロ)。
 いずれのスペックも大差はないが、R・レーガンが優勢だ。またR・レーガンは動力が原子力で、長期間連続航海が可能な点も優れている。しかし最も異なるのは、航空機を甲板から空中へ飛ばす射出機(カタパルト)の有無だ。


2秒で250キロに

 米国海軍では70年前の第二次大戦当時から空母用のカタパルト(当時は油圧)を実用化し、小型空母でも爆弾を積んだ艦載機を発艦させることができた。一方、当時の日本では爆装した艦載機を発艦させるパワーのあるカタパルトを開発できず、大鷹(たいよう)や雲鷹(うんよう)といった小型空母は、空母とは名ばかりの航空機運搬船として主に運用された。
 この「強力なカタパルト」を米国は戦後も開発・実用化し続けた。現在、大型機を蒸気カタパルトで射出できるのは米原子力空母の大きな特徴だ。戦闘機の前脚の一部を甲板上のカタパルトの突起に引っかけ、重さ約30トンの戦闘機を約2秒で時速約250キロまで加速させ“打ち出す”ことができる。

スキージャンプの限界

 一方の遼寧は、前の持ち主であるソ連・ロシアがカタパルトを開発できなかった。このため代替案として開発した「スキージャンプ式」の発艦方法を受け継ぐ。前部の坂(スロープ)で角度を付けて斜め上に飛び上がる、名前通りスキーのジャンプ台に似たもの。この場合、空母から飛び出すのに使えるのは戦闘機のエンジンの力だけ。カタパルト方式に比べて圧倒的に不利なのだ。
 中国では空母「遼寧」の艦載機として、ロシアのSu-33戦闘機のコピー機「J-15」を搭載するとし、2012年に発着艦試験を行ったが、スキージャンプ式の限界が現れた。


重すぎて

 環球網など中国メディアは14年末、J-15を遼寧から発艦させる場合、搭載できるミサイルや爆弾などの総重量はわずか2トンだと報道した。それ以上積むと重量オーバーで飛び立てないのだ。
 同機は陸上の2000メートル級滑走路から離陸する場合はミサイル類を本来12トンも積めるのだが、空母の短い滑走距離によるスキージャンプ式では、重い機体を浮かび上がらせることができず、戦闘時などミサイル類をフル装備して発艦する場合は、軽量化のため燃料を減らして離陸するしかない。その後、空中給油することとなる。二度手間のうえ給油機との会合ポイントを敵に狙われればひとたまりもない。
 この重量オーバーの問題で致命的なのは、空飛ぶレーダーともいえる「早期警戒機」が運用できないことだ。

 より高く、より遠く

 空母やイージス艦の脅威は海面すれすれを飛んでくる対艦ミサイルだ。地球は丸いため、水平線の向こう側(水平線より下)の物体はどんな高性能レーダーでも探知できない。
 その距離はほんのわずかだ。身長170センチの人間が海岸の波打ち際に立った場合、遙か彼方に思える水平線までの距離はわずか5キロ。ただし、ビルに登るなどして立つ位置が高くなれば、より遠くまで見られる。艦船でもより遠くを探知するためレーダーを高い位置に設けるが、それでも水平線までの距離は約20~30キロとされる。マッハ2(時速約2450キロ)の対艦ミサイルなら、レーダーで探知した後、30秒前後で命中する距離だ。


戦時には、こうしたミサイルが100発近く同時に飛んでくる可能性がある。わずかな時間で迎撃し撃ち墜とすのは困難だ。そこでさらに高い空中にレーダーを上げ、遙か遠くから迎撃するために米海軍などが導入したのが「早期警戒機」だ。
 米軍では、空母から発艦できる艦上早期警戒機E-2を60年代半ばから配備・運用した。その重要性は、同様の装備を持つ英国海軍の空母部隊が実戦で味わうこととなる。

 苦い経験

 英国海軍が導入した艦上早期警戒機は「フェアリー・ガネットAEW3」。50年代末から運用してきたが、英国が垂直・短距離離着陸が可能な戦闘機「ハリアー」を実用化したこと、さらに通常空母艦隊の運用には莫大な国家予算が必要なことなどに伴い、英国は通常空母の廃止を決定。「短距離離着陸機+スキージャンプ式」の小型空母に置き換え始めた。
 78年には最後の通常空母「アーク・ロイヤル」が退役した。ただしスキージャンプ式では「ガネット」は重量オーバーで発艦できなかった。英国海軍では「陸上基地から運用すればいい」と、ガネットのレーダーをより大型の機体「アブロ・シャクルトン」に積み替え、長い滑走路のある陸上基地で運用を始めた。
 その4年後、一連の英国政府と軍の判断は裏目に出た。
1982年に英国とアルゼンチンの間で起こったフォークランド紛争だ。艦上早期警戒機を持たなかった英国艦隊は、海面すれすれを突っ込んでくるアルゼンチン軍の攻撃機「シュペル・エタンダール」の肉薄を許し、その搭載する対艦ミサイル「エグゾセ」により駆逐艦1隻とコンテナ船1隻を撃沈されている。


自国から遠く離れた英国艦隊の近くに「シャクルトン」を運用できる滑走路を用意することもできなかった。

 中国空母の実力

 スキージャンプ式で飛び立てる早期警戒機を開発するのは不可能ではないが、軽い機体に搭載できる小さなレーダーの性能は「小さいなり」でしかない。
 中国が躍起になって南シナ海のスプラトリー諸島を埋め立て、滑走路を建設する理由の一つは、空母艦隊を守る大型の早期警戒機「KJ-2000」などを運用することにあるが、総合すれば「陸上基地からの航空機の支援なしでは心許ない空母」というのが遼寧の“実力”とみられる。


【アメリカから期待される我が国の防衛力】

【日米ガイドライン】
衛星での「海洋監視」を明記へ 
東シナ海の中国艦船を牽制 米国防総省高官が下院で証言

2015.4.16 20:11更新 http://www.sankei.com/world/news/150416/wor1504160046-n1.html

【ワシントン=青木伸行】ウォーマス米国防次官は2015年4月15日、下院軍事委員会の公聴会で証言し、今月下旬に再改定が予定される日米防衛協力の指針(ガイドライン)に、海洋での活動を衛星などで監視する「海上領域認識(MDA)」の分野における協力を明記すると明らかにした。

 MDAは、情報収集衛星と通信衛星を使って他国の艦船や不審な船舶などの動向に関する情報を収集し、米軍と自衛隊が連携して監視する。東シナ海や南シナ海での中国の海軍艦船、公船の活動について、日米で効果的に対処することを目的としているとみられる。
 昨年10月に発表された、指針の再改定へ向けた中間報告では「(日米は)平時から緊急事態までのいかなる段階においても、切れ目のない形で日本の安全が損なわれることを防ぐための措置をとる」としている。

 MDAは、その具体的方策の柱の一つとして、「情報収集・警戒監視・偵察(ISR)」「ミサイル防衛(MD)」の協力とともに指針に盛り込まれる。ウォーマス次官はまた、指針には、

(1)国際活動に関する協力
(2)日本の集団的自衛権行使容認
(3)宇宙・サイバー空間での協力-などについての項目もあると説明した。

 日米「同盟調整メカニズム」設置

自衛隊と米軍の連携強化へ

北ミサイルや大規模災害にも活用可能

2015.11.4 08:06更新 http://www.sankei.com/politics/news/151103/plt1511030026-n1.html

 日米両政府は2015年11月3日、自衛隊と米軍が平時から一体運用するための新機関「同盟調整メカニズム(ACM)」を設置した。クアラルンプールを訪問中の中谷元(げん)防衛相とカーター米国防長官が3日の会談で確認した。4月に再改定した「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」に基づくもので日米両国があらゆる事態に対し、緊密に連携し共同対処することが目的。自衛隊と米軍の共同計画をつくる「共同計画策定メカニズム(BPM)」も立ち上げた。
 ACMは、自衛隊と米軍の活動に関する政策面の調整を担う「同盟調整グループ(ACG)」、運用面の調整を行う「共同運用調整所(BOCC)」、各軍種レベルが連携する「自衛隊・米軍間の調整所(CCCs)」で構成される。
 ACGは外務・防衛当局、国家安全保障局などを中心に局長級、課長級、担当級で組織され、日米合同委員会とも情報共有する。BOCCは自衛隊と米軍の幹部級、CCCsは陸海空各軍種の代表から成る。

 常駐する人員や場所などは定めないが、自衛隊と米軍が連携して対処する事態が発生した際、それぞれが必要に応じて起動し、互いに情報を共有しながら最善の施策を実施する。
 平成9年に策定した旧ガイドラインにも同様の調整メカニズム(BCM)の設置は盛り込まれたが、周辺事態と日本有事のみでの発動に限定されていたため、実質的に活用されたことはなかった。
 ACMでは、北朝鮮による弾道ミサイルの発射実験や東日本大震災のような大規模災害、武力攻撃に至らない侵害のグレーゾーン事態など、平時から有事まで全ての事態に活用できるのが特徴だ。
 防衛省幹部は「安保法制の整備により自衛隊の役割は拡大し、米軍との連携は今まで以上に不可欠になる。ACMはそれを推進する枠組みでもある」と指摘する。
 一方、BPMを通じて自衛隊と米軍の緊急時の共同計画の策定も進める。自衛隊や在日米軍の代表で構成する「共同計画策定委員会(BPC)」を設置し、緊急事態に対応する共同計画の策定作業を担当させる。

日米の共同計画はこれまで「検討段階」とされてきたが、今後は具体的な「策定段階」に移行することから、政府関係者は「日米同盟がさらに強化され、抑止力が高まる」と期待を寄せる。具体的に、弾道ミサイル攻撃や島嶼(とうしょ)部への侵攻、サイバー攻撃などに対し、自衛隊と米軍がとる防衛作戦や後方支援、避難民対応などについて協議する。
南シナ海 米艦航行 曲解する日本と冷静な米中
富坂 聰 (ジャーナリスト)
20151110日(Tuehttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/5573

日本の横須賀を母港とする米海軍のイージス艦『ラッセン』が南シナ海に派遣され、中国が埋め立てを行っている人工島の12カイリ内(領海内)を航行し、世界に衝撃を与えたのは1027日早朝のことだった。
 このニュースを受けて日本では、「ついにアメリカが動いた」、「米中開戦前夜」とネットを中心に盛り上がりを見せた。「航行の自由作戦」と名付けられた米軍の行動に対し強烈な不満を表明する外交部報道官や王毅外相の言葉が伝えられ、さらにメディアでは例によって最も過激な反応を示す『環球時報』の〝報復宣言〟が紹介されると、日本国内では「緊張の度を高めてゆく米中」という見立てが定着していった。
米艦航行に見る「日本人の願望」
 中国の人工島から12カイリ内への米艦航行が日本で大きなニュースとして扱われるのは、日本人の願望が背景にある。尖閣諸島問題をめぐって中国の圧力を身近に感じるようになった日本には、「世界の警察官であるアメリカが、いつかは中国の邪な領土拡張の意図に気付き、本気で中国を攻撃してその頭を押さえ付けてくれる」という〝一挙的〟かつ都合の良い発想が広がっていたからだ。
 米中首脳会談が行われた直後から、日本の検索サイトで「習近平」、「訪米」という文字を入力すると、予測検索の文字として「失敗」が出てくるのは、この願望がいかに強いかを表わしているのではないだろうか。
 日本の問題をアメリカに丸投げする異様さに気が付かない日本では、畢竟、アメリカがいかに「中国を嫌悪」し、「日本を好感」しているかばかりが論点となり、最も肝心な視点がスッポリと抜け落ちてしまうのだ。
 その抜け落ちた視点とは何か。
マイケル・ピルズベリー氏著。邦訳版は『China 2049』(日経BP社)
 いうまでもなく米中両国が、たとえ南シナ海という局地であれ、一度〝激突〟という事態に陥れば、両国がどれほど大きな損害がふりかかり、それに対してどれほどのメリットが得られるのかという計算である。少なくとも私は、日本でこうした冷静な議論が行われるのを見たことはない。むしろ、聞こえてくるのは「アメリカではいま『100年マラソン』という本が売れている」という驚くべき理屈だ。
 米中関係が冷戦期の米ソ対立と決定的に違っているのは、その深い経済分野での結びつきである。とくに中国は、日米貿易摩擦を徹底的に分析した結果として、アメリカ市場に利益を還元することに心を砕いてきた。その結果として日米貿易摩擦に匹敵する米中貿易摩擦といった問題を事前に回避してきたのである。この中国の選択は結果としてアメリカ経済に於ける中国の役割を拡大させる作用を及ぼすことになったのである。

このような状況で本格的に中国と戦力を向き合わせるようなことをアメリカは本当にするのだろうか。万が一、中国国内に大きなナショナリズムのうねりが起き、共産党政権が引くに引けない状況が生まれてしまえば、中国も臨戦態勢に入り、アメリカ国内からは中国マネーが一斉に引き上げてゆくことになるだろう。
米中の基本は対立ではない


マンハッタンのチャイナタウン(iStock
 こんなことになれば、かつてアメリカ社会が経験したことにない大きなダメージがアメリカ経済を襲うことは間違いない。株価暴落どころの話ではない。もちろん日本も無事ではいられない。
 こうなったとき、アメリカはロシアに対して現状で有している優位を維持することができるのだろうか。
 そう考えたとき、その状況がアメリカの望むもので、リスクを冒す価値のあることなのか否か、大いに疑問である。しかも現状、中国が曲がりなりにも「自由航行は守る」と約束しているのである。
 米中の基本が「対立ではない」とされるのはこうした状況を踏まえてのことだ。
 つまり、普通に考えれば両国は、互いの国民世論に一定の配慮をしながらも、しっかりと協力の果実を得ようとするのである。
 そうした視点で見たとき、米中首脳会談前の動きとして、互いに10年間のマルチビザを発給し合ったことや両国間に犯罪者引き渡し協定がないにもかかわらず、アメリカが国外逃亡していた官僚・楊進軍を捕まえて中国側に引き渡した動きなどが日本であまり報じられていないことに不安を覚えるのだ。
 実際、こうした報道に日々接している中国人は、決して日本で言われているような「米中首脳会談が失敗だった」などという受け止め方をしてはいない。それどころか一定以上の成果があったというのが大勢の見方だ。
 そのため米軍が敢行した「自由の航行作戦」に対する反応も、驚くほど静かだった。
 まず、反応したのが外交部の報道官と外交部長止まりであったということだ。これは問題がある一定の範囲にとどまっていることを示している。
 次にメディアも静かであった。政府批判も行うことで多くの読者を獲得している『新京報』のトップ記事が、同時期に行われていた5中全会(中国共産党中央委員会第5回全体会議)の年金改革問題であったように、ほとんどのメディアは年金問題や経済の5カ年計画の方をより大きく扱ったのである。

こうしたなかで最も驚かされたのは、中国のメディアが自ら南シナ海の人工島に「領海は存在しない」という論を展開してみせたことだ。
 伝えたのは『鳳凰ネット』であるが、引用しているのは中国の国際法及び国際海洋法の権威である劉楠来教授のコメントだ。 
中国の海洋法権威も合法と主張
 劉教授の見解は、記者がまず「アメリカのメディアでは中国の人工島には12カイリの領海を設定することはできない。500メートルの安全区が設定できるだけだとの主張があるが?」との問いかけに答える形で示されている。

劉教授 「満潮時に水没してしまうような岩礁に人工的に島を造ったとしても、そこに領海を設定することはできない。ただ、中国が南シナ海で手を加えているものには領海が設定できるものもある」

記者 「では、今回米軍艦が通過したところはどうでしょうか」

劉教授 「手元の資料を見る限り、あの2つの岩礁に中国の領海は設定できていない」

記者 「では、今回の米軍艦の侵入は問題がなかった?」

劉教授 「何も問題はない。合法的な行為だ」
 社会科学院の研究員である劉教授の見解は、当然のこと「商業化のために『人民日報』でかけないことを書く」ために創刊された『環球時報』の論調よりはるかに権威があるものであることは言うまでもない。
 中国国内でいま、こんな議論ができてしまうことこそ、中国から見た南シナ海問題の実相なのだ。
※まさにこれが共産中国の本音の部分をあらわしているんでしょう。違法行為を無理やり犯しておいて、形ができたら合法行為として世界へ訴える、こんなことが認められてしまったら、共産中国の周辺にある国は「脅威」が深まるしかないでしょう。海洋法規の活用、立案、海上警察権力、海軍力で権益を守るしかありません。




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