2015年11月17日火曜日

繰り返される惨劇・まだ終わらないテロとの戦い ~パリ同時多発テロ~

フランスの報復攻撃の可能性 パリ同時テロ
地域戦争から“世界戦争”に拡大

佐々木伸 (星槎大学客員教授)
20151116日(Monhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/5609?page=1

パリで先週末に発生したフランス史上未曾有の同時多発テロ。死者は15日現在で、129人に上り、重体の被害者も多い。オランド仏大統領は過激派組織「イスラム国」(IS)によるものと断定、ISも犯行声明を出したが、今回のテロは中東の地域戦争が「世界規模の戦争」に変貌したことを示しており、各国は対IS戦略の見直しが迫られる形になった。
ISのテロ作戦の転換
襲撃現場の一つになった「ル・カリヨン」レストラン(Getty Images
 今回の「パリの大虐殺」(米ワシントン・ポスト)の意味するところは明白だ。シリアとイラクという占領地を死守することに集中してきたISがテロ作戦を大きく転換し、地元から海外での大規模テロに踏み切ったことだろう。
  ISのライバルである国際テロ組織アルカイダは2001年の911米同時多発テロに象徴されるように、工作員を海外に送り込んで大規模なテロを実行するのが特徴的だった。これに対してISは、米主導の有志国連合を「イスラムの敵、十字軍」と非難しながらも、工作員を対外派遣することはせず、世界各国の支持者にテロを起こすよう呼び掛けるやり方にとどまってきた。
  1月の風刺新聞社シャルリエブドの襲撃とともに起きたユダヤ系スーパーの立てこもりや、チュニジアで発生した一連の観光客テロはこうした呼び掛けに呼応したテロであり、主役は地元で過激化した「ローン・ウルフ」(一匹狼)である。シリア・ラッカのIS本部がテロを計画し、実行犯も送り込むという組織的な手法は取られてこなかった。
  捜査を指揮するフランス検察当局のモランス検事によると、今回の実行犯は3班編成の7人。この7人が13日午後9時20分から2台の車を使って移動しながら次々に飲食店などで無差別銃撃し、独仏のサッカーが行われていた競技場で自爆テロを起こし、そして米ロックバンド「イーグルス・オブ・デスメタル」が出演していた劇場「バタクラン」を襲った。
  同検事によると、これまでに犯人2人の身元が判明。1人は仏情報当局の監視対象になっていたフランス国籍の過激派(29)。もう1人は競技場で自爆した男(25)で、シリアのパスポートを持っており、103日にギリシャのエーゲ海の島に入国した。
 この2人から推定できることは、実行犯7人が地元フランスとシリアからの派遣組の“混成部隊”であったことだ。ISが今回のテロを計画し、7人のうちの何人かを欧州に押し寄せているシリア難民に潜り込ませてパリに潜入させたと見るのが妥当だろう。
 ISが海外での大規模な組織テロを実行できる能力を示したものであり、今後も同様の事件を起こすことが可能だということだ。欧州に流入した難民は今年だけですでに80万人にも達しており、治安専門家の間では、ISの工作員が難民として紛れ込んでいることは早くから懸念されていた。

仏、近く報復攻撃も 

こうして見ると、1031日にエジプト・シナイ半島で起きたロシア機旅客機の墜落が大方の見るようにIS分派の爆弾テロだとすれば、それは今回のテロの布石だったようにも思われる。ISが海外で大規模なテロを実行できることを先だって示したからだ。


iStock
 それにしても、シャルリエブド事件が起きて以降、フランスはテロ警戒レベルを最高に上げ、若者らがISの拠点のあるシリアに向かうことを阻む法整備なども行って対策を取ってきた。しかし、こうした警備強化にもかかわらず、いとも簡単に破られたことに治安当局は大きな衝撃を受けている。
 欧州全体でイスラム教徒は1700万人に達し、フランスだけでも600万人(全人口の10%弱)もおり、治安当局は監視すべき人間が多すぎて対応仕切れていないのが実状だ。しかもこれまでは、一匹狼型のテロリストを監視する態勢を重視してきたが、今後は従来の組織型テロにも注意を払わなければならない。フランスだけではなく、米英なども対IS戦略の見直しは必至だ。
 今後の捜査の焦点はISがいつからテロを計画し、どのようにして標的を定め、実行部隊と連絡を取り合ったのか。武器の調達などの支援態勢をどう整えたのか。とりわけ米欧の情報機関にとって大きな謎の1つは、ISと実行部隊との連絡方法だ。


 オランド大統領は今回のテロを「戦争行為」と非難し、あらゆる手段を使って反撃すると報復を誓った。フランスの報復が単に、ISに対する空爆強化に終わるのか、それとも2013年に西アフリカのマリに軍事介入したように地上戦闘部隊を投入するのか、シリア情勢の緊張が高まってきた。


【フランス軍による報復軍事攻撃】

フランス空軍、戦闘機10機などでISのキャ

ンプを攻撃 パリ警備も強化
配信日:2015/11/16 11:55
http://flyteam.jp/airline/french-air-force/news/article/55726
 フランス国防省は現地時間20151115日、1950分から2025分ごろにかけ、フランス空軍の戦闘機10機を含む12機で、シリア東部の「イスラム国(IS)」のキャンプ2箇所に、大型爆弾20発を投下、攻撃を実施したと発表しました。攻撃目標はISの武器弾薬庫、兵隊を募集するリクルートセンターを破壊したほか、訓練キャンプでした。
 また、フランス空軍はA340輸送機を使用し、カルカソンヌのフランス軍海兵隊第3落下傘歩兵連隊150名をトゥールーズからシャルル・ド・ゴールへ輸送し、パリ市内の警備を強化しています。

【ハッカーによるサイバー攻撃】

アノニマスが「イスラム国」に宣戦布告「戦

争は宣言された。お前たちを見つけ放さな

い」

2015.11.17 09:11更新 http://www.sankei.com/world/news/151117/wor1511170020-n1.html
 襲撃現場に近いレピュブリック広場では犠牲者の追悼のためミュージシャンによるピアノ演奏などが行われた。
 【パリ=森浩】パリ同時多発テロをめぐり、国際的ハッカー集団「アノニマス」が、多発テロへの犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」に対して、サイバー空間での“宣戦布告”をしたことが2015年11月17日明らかになった。
 動画投稿サイト「YouTube」に投稿された動画では、アノニマスの象徴とも言える仮面をかぶった人物がフランス語で「戦争は宣言された。準備も整っている。世界中からのアノニマスがお前たちを捕らえるだろう。お前を見つけ、そして放しはしない」と宣言。イスラム国へのサイバー攻撃を宣言している。

 アノニマスをめぐっては、日本国内で9月以降、イルカの追い込み漁で知られる和歌山県太地町役場や2020年東京五輪組織委員会などの公式サイトが相次いでサイバー攻撃を受けており、関与が指摘されている。

アノニマスはいったい何を攻撃しているの

か?ネット空間における「フリー」をめぐ

る問い

先の620日に可決された著作権法の改正を受けて、国際ハッカー集団「アノニマス」が官公庁などをターゲットとしたサイバー攻撃を開始した。その方法論には賛否があろうが、その前に一度確認しておきたい。そもそも、彼らは何を攻撃しているのだろう? インターネットにおける「自由」の擁護とは、いったい何を意味しているのだろうか?

違法ダウンロードに対する刑事罰を盛り込んだ改正著作権法の成立に抗議するかたちで、国際ハッカー集団「アノニマス」が、625日から官公庁、政党、日本レコード協会といった組織のウェブサイトへのサイバー攻撃を敢行して話題を呼んでいる。
その手法の賛否について意見は分かれそうだが、そもそも議論の主題がどこにあるのか、いまひとつ判然としない気がしないでもない。ネット上の議論などを見ていても、どうも、インターネットの普及・拡大によって深く考察されるようになってきた、いわゆる「フリーカルチャー」をめぐる議論と、「ネットはなんでも無料(フリー)」という状況認識とが、ごっちゃになって論じられているように見えもするのだが、どうだろうか。
ネットユーザーを潜在的な「盗っ人」とみなすことに反対することは、必ずしも「違法ダウンロード万歳!」を意味することにはならないはずで、ここをめぐって論点がすれ違っているのかもしれない。
『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック―クリエイティブ・コモンズによる創造の循環』という著作をこの5月に発表し、NPO法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパンの理事を務めるドミニク・チェンが、本誌に意見を聞かせてくれた。
「フリーカルチャーの『フリー』は、『自由』を意味する『フリー』で、それは、『WIREDUS版編集長のクリス・アンダーソンが謳った『フリー』とは異なる概念なんですね。現状では、この2つの異なる概念がごっちゃになることが多いのかもしれません。クリス・アンダーソンのいう『フリー』『フリーミアム』は、マーケティング手法の話であって、フリーカルチャーがテーマとしている『インターネット上における自由とは何か』という議論とは、まったく位相が異なります。フリーカルチャーにおいては、いかに法律を遵守したうえで、法律の限界を乗り越えて、ネットユーザーが求める『自由』を実現するかということを議論し、実践しているのです」
加えてチェン氏は、自身はアノニマスの賛同者ではないと強調したうえで、今回のアノニマスの行動について、以下のような見解を示してくれた。
「サイバーテロを誘発し公的な情報インフラを危険に晒している点において、安全保障の観点からもこうした既得権益優遇処置がいかに失策であるかを物語っています。同時に、文化を愛する人々を潜在的な犯罪者やテロリスト扱いすることの対価でしょう。アノニマスの声明文を読む限り、サイバー攻撃の是非はさておき、彼らの主張は政策決定プロセスにおいて無視されて続けてきたネットユーザーの声を代弁していると思えるからです」




パリ標的なぜ…イスラム過激派、シリア空爆反発
20151115 1738http://news.livedoor.com/article/detail/10834177/
【パリ=三好益史】フランスでは2015年年1月、政治週刊紙「シャルリー・エブド」などを狙った連続銃撃テロ事件が発生した。
 その後も各地でテロ未遂事件が続き、仏政府は、全土に1万人の兵士を展開して警戒にあたってきた。パリでは今月30日、196か国・地域から首脳らが参加する国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)の開幕を控え、警備はさらに強化されていたが、今回の同時テロを受け、オランド大統領は1500人の兵士を追加動員した。
 イスラム過激派が相次いでパリを標的とするのは、世界中から多くの観光客が集まる「花の都」で、犯行が注目を集めやすいことがある。また、フランスはアフリカに派兵し、イスラム過激派の掃討作戦を続けている上、シリアで「イスラム国」への空爆を続けている。「イスラム国」は報復として、フランスをテロ標的の一つに挙げていた。
 政教分離を国是とし、公共の場からイスラム教色排除を積極的に進めていることも背景にある。
 フランスは2004年には公立学校でイスラム女生徒のベール着用を禁止し、11年には公共の場で顔を覆うベールの着用を禁じた。シャルリー紙が預言者ムハンマドの風刺画を出版して襲撃されると、政府は同紙への支持を表明した。過激派にとっては「敵」と映る。

《維新嵐》2001年のニューヨーク同時多発テロ、2004年のロンドン同時多発テロに続いて、おこってはならないテロ事件が発生してしまいました。
 テロの首謀者は、日本人戦場ジャーナリストの後藤健二さんや湯川はるなさんをむごたらしく殺害した悪魔の集団ISが犯行声明をだしているが、間違いなく彼らであろう。
 上の記事のように、今回のテロはフランスという国家がイスラムの敵とみなされたところから発生したもののようであるが、もはや誰がやったのか、とかテロの「大義」だとかは問題ではないように思う。

 ただ大勢の罪のない民間人が痛ましい最後をとげられたということである。
観光客がよく訪れるカフェ、ライブの会場、国際試合が行われていたサッカースタジアムなど「社会的」な反響の大きいであろう場所を選んでテロ攻撃を行っていることがうかがえることから、典型的な無差別テロといえる。
 犠牲になられた方々には心からお悔やみ申し上げるが、いつまでこのような非人道的なテロから人類が束縛されるのであろうか?
 ISの政治的な目的は、達せられたとしても多くの方々の人生の将来を奪う権利なんてあるわけがない。
 テロは絶対許さない。
庶民それぞれが、身に降りかかる危機や「攻撃」にしたたかに対応するようでなければ、卑劣なテロを抑止、撲滅することなどできない。日本人もいつ犠牲がでるかわからない国際情勢ではありますが、ぶれずにテロリスト撲滅にむけて自分は何ができるのか、見つめなおしてみましょう。


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