2016年6月13日月曜日

【米中戦争の様相】「洋上決戦」が予測されながらも「実弾」が飛ぶこともない南シナ海

米中“洋上決戦”Xデー
米空母機動部隊派遣も・軍事専門家「中国が仕掛ける…」


 米国と中国の軍事的緊張がピークに達しつつある。習近平国家主席率いる中国が、南シ
ナ海の岩礁を勝手に埋め立てて軍事基地化しているため、オバマ米政権は海軍艦艇の派
遣を、日本を含む関係各国に通達した。反撃をチラつかせる中国。米中による“洋上決戦”の「Xデー」はいつなのか。軍事専門家は「今週末にも」「数日以内」と分析した。(夕刊フジ
 米国が海軍艦艇の派遣「フリーダム・オブ・ナビゲーション(航行自由)作戦」の腹を固めたのは、中国の暴挙が放置できないレベルに達しているからだ。
 中国は現在、南シナ海のほぼ全域を囲む9つの線からなる「九段線」(赤い舌)を引き、国際法を無視して南シナ海の大部分を「自国の領海だ」と主張。周辺国を力で恫喝し、複数の岩礁を埋め立てて軍事基地化を進めている。3000メートル級の滑走路を持つ人工島まで出現させている。
 米国や周辺国の抗議や警告に対し、習氏は、中国が南シナ海を一度も支配したことがないのに、「中国が行っている活動は、領土主権を守るための正当なものだ」と強弁した(ロイター通信のインタビュー)。
 これまで、「対中弱腰外交」と揶揄されてきたオバマ大統領も、今回ばかりは本気で激怒しているとされる。


 米海軍艦艇が派遣されるのは、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島だ。具体的には、中国が「領海」と強弁している人工島の12カイリ(約22キロ)内の海域が想定されている。
 米国家安全保障会議(NSC)のクリテンブリンク・アジア上級部長は20151020日、訪米していた河井克行首相補佐官に艦艇派遣を伝達した。
 習氏は20151023日まで、米国の同盟国である英国を訪問している。米国が英国のメンツに配慮するとすれば、「Xデー」は習氏訪英後とみられる。
 軍事ジャーナリストの井上和彦氏は「オバマ氏はようやく“中国の本質”に気づいた。今回こそは艦艇派遣に踏み切るだろう。早ければ今週末かもしれない」とし、「空母機動部隊の派遣もあり得る」と分析した。
 空母派遣となれば、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備されている、艦載機90機、兵員3200人、航空要員2480人という、世界最大級の原子力空母「ロナルド・レーガン」が、現地に向かうこともありそうだ。
 米国の空母機動部隊は、空母1隻を中心に、周辺をイージス巡洋艦やイージス駆逐艦、攻撃型原子力潜水艦などで護衛している。中国の動揺と混乱は必至だ。
 井上氏は「中国は、米国がそこまでやってくるとは思っていない。中国は何もできないのではないか」と語る。


 一方、航空自衛隊南西航空混成団司令を務めた佐藤守・元空将(軍事評論家)は「ここで艦艇を派遣しなければ米国の威信は失墜する。(派遣は)数日以内にも行われるだろう」としたうえで、「空母が派遣される可能性は低いのではないか」との見解を示した。
 それでも、「少なくとも、イージス艦をはじめ艦艇5隻は派遣するだろう。第7艦隊が中心となるが、各方面から艦艇が駆けつけるかもしれない。米国防総省は現場の指揮官の選定など、具体的な準備を進めているはずだ」と推察する。
 米国の「怒りの鉄拳」に対し、中国はどう対応するのか。脅えて動けなければ、習政権自体が持たなくなる。
 佐藤氏は「中国が仕掛けるかたちで、『小競り合い』が起こる可能性もある」と予測している。



《維新嵐》 アメリカは海軍の空母打撃群は、南シナ海へは派遣していません。精密度に疑問の多い共産中国の対艦弾道ミサイルでも米海軍空母艦隊への抑止は効いているようにみえます。アメリカ海軍の南シナ海での任務は「自由航行路を確保する」ことが一番にくるでしょう。陸上まで展開することはないはずです。

【緊迫・南シナ海】

米イージス駆逐艦「12カイリ内」3時間航行

中国は「追い払った」と主張、食い違い

2016.1.30 23:23更新 http://www.sankei.com/world/news/160130/wor1601300067-n1.html

【北京=川越一】米国のイージス駆逐艦が2016130日、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島にあるトリトン(中国名・中建)島から12カイリ(約22キロ)内を事前通告なしで航行した。同島を実効支配する中国を牽制(けんせい)するのが狙いとみられ、中国側は「中国の関係法規を尊重、順守せよ」と強く反発している。

米国防総省によると、今回派遣されたのは、米海軍横須賀基地所属のイージス駆逐艦カーティス・ウィルバー。行き過ぎた海洋権益の主張に異議を唱える「航行の自由作戦」の一環として実施された。領有権を主張する中国、ベトナム、台湾のいずれにも事前通告はしなかった。
 南シナ海で同作戦の実施が確認されたのは、昨年10月、スプラトリー(中国名・南沙)諸島にある人工島付近にイージス駆逐艦ラッセンを派遣して以来。米国は艦船派遣を3カ月に2回以上の頻度で続ける方針を示していた。
 米国防総省当局者は米CNNに対し、今回の派遣について「海洋権益の過度の主張に対する挑戦だ」と説明した。


 これに対し、中国国防省の楊宇軍報道官は2016130日、談話を発表し、「米側の深刻な違法行為は、この海域の平和と安定を破壊した。断固たる反対を示す」と強く反発した。
 中国外務省の華春瑩報道官も「米国に対し、中国の関係法規を尊重、順守し、両国の相互信頼と地域の平和と安定に役立つことを多く行うよう促す」などとする談話を発表した。
 米駆逐艦は約3時間、12カイリ内を航行したとされる。楊報道官は「島嶼(とうしょ)部隊と海軍が米軍艦に警告を発し、追い払った」と主張しているが、米側は航行時、周辺海域に中国海軍の艦船はいなかったとしており、主張が食い違っている。

中国の海上民兵、過去2回の「航行の自由」作戦中米イージス艦を包囲~米司令官明かす~

中国に強い懸念伝達

2016.5.8 06:52更新 http://www.sankei.com/world/news/160507/wor1605070060-n1.html

米太平洋艦隊のスウィフト司令官は201656日、南シナ海で米軍が過去2回実施した「航行の自由」作戦で、派遣したイージス艦が「海上民兵」と呼ばれる武装した漁民が乗り込む船に囲まれたと明らかにした。ワシントンでの講演で語った。
 海上民兵は最近、南シナ海で増加傾向にあり、中国政府が関与しているとの見方が出ている。
 スウィフト氏は「中国海軍の高官と海上民兵について意見交換し、強い懸念を伝えた」と述べた。偶発的な衝突を防ぐため、米中両国の海軍同士の協議が必要だとの考えを示した。スウィフト氏によると、2015年10月に「航行の自由」作戦で派遣されたイージス駆逐艦ラッセンと、2016年1月に派遣されたイージス駆逐艦カーティス・ウィルバーの周囲に海上民兵が乗った船が近寄ってきたという。(共同)

《維新嵐》 九段線による南シナ海の「領海化」、南沙諸島や西沙諸島の人工島建設などみていると国内法によってあらかじめ「領土主権」を主張してから、中国海警に守られた民兵が対象の島までの海域を固めて、相手国の海上警察機関を締め出した後に、法執行機関が入り、最後に民間人?が居住してきます。人民解放軍は最後にやってきて港や空港を抑えます。
 こうした狡猾な共産中国の海洋戦略に対して、アメリカが南シナ海の「自由航行権」を主張、確保するための軍事作戦が「FOP作戦」です。
 ただ空母打撃群の派遣はなく、イージス艦艇が1隻通過するという作戦です。
 おそらく海洋軍事力がアメリカ優勢な今の状態では、紛争は起こりにくいかと思います。
共産中国が、自国領海だと主張する南シナ海の島嶼群を軍事要塞化して、第一列島線の内側を領海化する形になって、外洋作戦の可能な艦艇を配備、戦略爆撃機、戦闘機を配備しだすと本当に紛争がおきかねません。
 ただイージス戦闘艦1隻が通行しただけですが、今の共産中国には政治上大きな不都合があるらしく抗議レベルに抑えています。見方を変えれば、イージス艦1隻で南シナ海の自由航行権は守られているといえるでしょう。


【進化するアメリカの空母打撃群】

米軍の最先端ドローン「X-47B」、まさかの開発中止
“空飛ぶロボット兵器”の未来に暗雲

米海軍が将来の戦闘攻撃機として導入を予定していた無人機X-47Bの開発が中止された。レーダーに映らないステルス性を備え、かつ遠隔操縦の必要なく、全自動で多くの作戦行動を行えると期待された新鋭の無人機だったが、2016年年3月に計画中止が発表された。専門家が「将来、有人戦闘機はなくなる」と指摘するなか、最新技術をつぎ込んで誕生した“有望なルーキー”がなぜ落第したのか。(岡田敏彦)

人の操縦なしに自動着艦

 X-47Bは2003年に開発が始まったX-47Aの発展型。米航空機大手ノースロップ・グラマン社が主導し研究開発してきた。その特徴は、操縦士の操作なしで空母に発着艦し目的地への飛行や帰投も可能で、こうした自動飛行ができる無人機(UAV)はX-47Bが史上初だとされている。
 現在米軍が実用化している無人機「RQ-1プレデター」や「MQ-9リーパー」は遠隔操縦方式で、攻撃、偵察ともに地上の誘導基地にいる操縦者による操作が必要だった。
 X-47Bはこうした操作が不要だ。飛行する際も、あらかじめプログラムされたルートをたどるのではなく、目標地点での作戦内容などに応じて人工知能(AI)が自分で最適な飛行経路や高度などを考え、結論を出し、実行する。いわば「空飛ぶロボット兵器」だ。


主武装も未来的で、将来的にはレーザー光線と高出力マイクロ波を採用する案があった。敵地の奥深くに侵入し、発射段階の敵弾道ミサイルを破壊する能力を付与する方針だったのだ。
 革新的なコンセプトのX-47Bは2011年2月に初飛行した。同5月には、当時の海軍将官が「2018年には無人艦載機(X-47B)を運用開始する計画に変更はない」と強調。その後、米CNNテレビ(電子版)などによると、2013年5月には原子力空母「ジョージ・H・ブッシュ」からの射出(発艦)試験に成功し、同7月には航行中の空母への自動着艦という歴史的なミッションに成功していた。
 さらに2015年4月には空中給油にも成功し、海軍当局は「空中給油を自立的に出来れば、無人機の利用範囲と飛行作戦の柔軟性が増す」と高く評価していた。
 にもかかわらず、米海軍は2016年3月10日、「予算上の理由」で開発計画を中止したと明らかにした。最新鋭の“夢の兵器”に予算が付けられなかった理由は、「機械VS人類」の戦いにあった。

有人から無人へ

 世界的には、次期主力戦闘機は無人機になるとの予測がある。無人機のメリットは、人が耐えられないような高G(重力加速度)を伴う機動が可能となり、格闘戦において有人機より機敏な行動が可能となるからだ。


さらに重要な点として、敵の地対空ミサイル基地などの戦闘機にとって極めて危険なターゲットに対し、人的損失を考慮することなく攻撃できるという利点もある。しかしこれは、戦闘機操縦者にとって諸手を挙げて歓迎できる話ではない。
 米空軍では、ベトナム戦争以来こうした敵ミサイル基地の攻撃、つまり敵防空網制圧という特殊任務専用の「ワイルドウィーゼル」(野イタチ)機を開発、運用してきた。F-105GサンダーチーフやF-4GファントムIIなど、過酷な任務をこなすため、レーダー妨害装置など高度な電子戦装備を設けた専用機がワイルドウィーゼル任務に充てられてきた。
 ちなみに米空軍三沢基地に駐留する第35戦闘航空団所属機の垂直尾翼に大きく描かれたテイルコード「WW」は、ワイルド・ウィーゼル任務に当たってきた伝統に由来する。
 米海軍もEA-6Bプラウラーといった、特殊な電子戦機で敵防空網制圧任務を行ってきた。
 こうした過酷で特殊技能と並外れた勇気を必要とする任務を遂行することは、戦闘機操縦者にとっては栄誉でもある。誰も出来ない困難な任務を遂行してのけることは、戦闘機操縦者が自身の優秀性を示すうえで最も確実かつ誰の目にも見える“チャンピオンベルト”であり“金メダル”なのだ。


無人機は、この誇りをエヴィエイター(米海軍航空機操縦者)から奪うものではないか-。X-47B計画の裏では、こうした考えが、米海軍の空母航空団の戦闘機操縦者とそのOBにして軍高官となった者たちの間に広がっていたのだ。
 さらに大きな危機も見え隠れしていた。現在の米海軍主力戦闘機はF/A-18ホーネットとスーパーホーネットで、後継機にはF-35が決定している。そのF-35の後継機として、X-47B(の実用型)は有力候補に挙がっていた。現実化すれば、米海軍空母には無人機だけが配備され、有人機はなくなってしまう。将来、米海軍から「戦闘機操縦者」という職種を根絶する可能性を含んでいたのだ。海軍内部から積極的な計画推進の声が出ないのは当然だ。
 そんななか、X-47Bの欠点も明らかになった。

成功の陰で

2013年7月に無人機として初めて空母への着艦に成功したX-47Bだが、この際は着艦に4回チャレンジしている。1回目と2回目は成功したが、3回目は着艦直前に中止。4回目は空母への着艦コースにのる前にAIが中止を決め、陸上の飛行場に着陸していた。X-47Bに搭載されている3機のAIが着艦までの飛行経路について、それぞれ違う結論を出したため“多数決”で結果を出すことができず、着艦中止の判断を下したとされている。


一部では3回目と4回目を「着艦失敗による事故を未然に回避した」と褒める声もあったが、X-47Bに与えたコマンド(命令)は「着艦しろ」なのだから、実験が成功裏に終わったとは言い難いだろう。
 空母は常に位置と移動方向を変え、気温や高度は航空機の速度に影響を与える。さらに波で上下左右揺れる空母の甲板も問題なら、レーダーに映らないことを重視した結果として垂直尾翼も水平尾翼もないことによる操縦性の特異さ、問題を複雑にする。
 こうした問題を解決するためには、膨大な実験を伴うプログラムの開発とフィードバック、新しい誘導機器の開発が必要だ。
 しかし、米国では海軍のみならず軍全体の予算がオバマ政権下で強制的に削減され続けている。昨年末の米海軍の艦艇数は272隻。同海軍は「第一次世界大戦以降で最低の数字」と訴えていた。2020年代には308隻に増やす計画があるが、予算削減の流れは変わる気配がない。こうした状況下で、X-47Bの開発を続けなければならない必然性は乏しい。

 結局、X-47B開発計画は中止となり、かわりに戦闘・攻撃能力がなく、偵察もしくは空中給油だけが可能な無人機「MQ-25スティングレイ」の実用化を進めることが決まった。小型で簡易かつ安価なMQ-25なら、“人のライバル”となるには力不足ではあるが、だからこそ空母に居場所ができるかもしれない。

X-47Bドローン(AI搭載で自立飛行が可能なロボット兵器)
こちらのロボット戦闘機は、ロボットであるがゆえにF-35の後継戦闘機としては白眼視されているようです。

【維新嵐】 X-47Bの開発中止は、AIの性能と人的な役割分担、職域の侵害不安から、わからない話ではありません。偵察用無人機MQ-25スティングレイの運用は、きたるべきX-47B改良のためのいいデータを生み出せるでしょうか?
 そしてX-47B完成の時は、「洋上の海上紛争がおきるリスク」は増してくるかもしれませんね。


【小型化、ステルス化、精密誘導の進化で実弾を伴う紛争を抑止できるのか?】

アメリカ海軍については、以下のような問題点も指摘されています。質の高い艦艇の数を揃えることも求められています。超大国にはそれなりの問題もありますね。

【危機に瀕する米海軍の優位性】抑止力維持に艦艇増強を
岡崎研究所
20160212日(Frihttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/6063
米国のシンクタンク、ハドソン研究所米海軍力センター所長のクロプシーが、201616日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙で、中国の海軍力の増強に鑑み、米国は海軍力を思い切って増強する必要がある、と述べています。論説の要旨は以下の通りです。
iStock
レーガン政権時の半分以下まで落ち込んだ艦艇数
 中国が自前の空母の建設を発表するなど、海軍力を増強している。一方、2011年の予算強制削減などにより米国防省の予算が1兆ドル削減された結果、米海軍の艦艇数はすでに272隻に減っている。これは30年前のレーガン政権末期の半分以下である。
 米国は、世界で抑止効果を上げるとともに、もし抑止が敗れた場合に戦いに勝つための先端兵器が必要である。そのために約350隻の戦闘艦が要る。その内訳は以下の通りである。
 空母を、西太平洋、ペルシャ湾、そしてふたたび地中海に配備するため、現在の11隻から16隻に増やす必要がある。
 供給艦(物資を供給する艦艇)は現在29隻だが、倍増する必要がある。
 潜水艦については、中国は2020年までに6978隻の潜水艦を保有する予定なので、米国は、同年に70隻を保有する見込みだが、維持修理、ローテーション等を考慮すれば、90隻は要る。
 水陸両用艇は、地中海におけるロシア、中国、イランのプレゼンスの増大、ISによるリビアの港町Sirteの占領から、米国は冷戦時代のプレゼンスが必要であり、海軍と海兵隊で45隻が必要である。
 大型水上戦闘艦、駆逐艦、巡洋艦は、米艦隊の背骨であり、潜水艦を追尾し、空母を守るので、16隻の空母を守るため、少なくとも100隻を要する。
 小型戦闘艦(沿岸戦闘艦LCSと呼ばれるもの)は、フリゲート艦の攻撃、防御能力を備えた30隻が要る。
 高速船(陸軍と海兵隊の小規模部隊と装備品を運ぶもの)は、現在の11隻の計画は妥当である。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6063?page=2
 合計350隻で、年240億ドルの建造費がかかる。2045年までに350隻の目標を達成するには、海軍の造船予算に毎年75億ドル追加する必要がある。中国の建造計画、世界の他の挑戦を考えれば、30年以内により規模の大きい艦艇が必要とされよう。
 これは確かに高価であるが、世界における米海軍の優位を譲るよりは安い。中国の海軍力増強を考えれば、このままでは米国の海軍力の優位は危うい。米国は種々の脅威が増しているのに後退はできない。

出典:Seth CropseyS.O.S. for a Declining American Navy’(Wall Street Journal, January 6, 2016
http://www.wsj.com/articles/s-o-s-for-a-declining-american-navy-1452124971
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艦艇増強は必要経費
 この論説のキー・フレーズは、提案の米海軍力増強計画は高価であるが、米国の世界における海軍の優位を譲るよりは安いという文言です。
 確かに、空母を現在の11隻から16隻に、潜水艦を2020年までに現在の見通しの70隻を上回る90隻にし、さらに米艦隊の背骨である大型水上戦闘艦を少なくとも100隻にして、艦艇数全体を現在の272隻から350隻に増やすという計画は高くつきます。
 しかし、中国の海軍力の増強に直面し、このような艦艇の増強をしないと、世界における米海軍の優位が失われてしまうのであれば、優位を保つための必要経費と考えようということです。それはその通りでしょう。世界における海軍力の優位が米国から中国に移れば、パックス・アメリカーナの終焉であり、その戦略的意味合いは計り知れません。米国はなんとしてでも、そのような事態の到来は避けるべきであり、米議会は強制削減を含む国防費の削減の戦略的意味を真剣に考えるべきでしょう。






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