2016年7月17日日曜日

南シナ海南沙諸島領有問題でフィリピンが逆転勝利! ~自国に有利な国際裁定しか認めない共産中国は国際裁定を認めず~

中国の南シナ海領有権主張、法的根拠なし・常設仲裁裁判所
BBC News
20160713日(Wedhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/7275

   南シナ海に対する中国の領有権主張や人工島の建設などが国際法に違反するとして、フィリピンが中国を相手に提訴した裁判で、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は2016712日(18:00)、中国の主張に法的根拠がないと判断を示した。対する中国は、常設仲裁裁判所の判断を認めないと反発している。
各国が領有権を争う南シナ海問題を巡り、常設仲裁裁判所は、中国が独自に主張する境界線「9段線」について、国際法上の根拠がないとする判決を出した。南シナ海問題に関する、初の司法判断。中国が進める人工島造成などの正当性は、これで国際法上は認められなくなった。
仲裁裁判所はさらに、中国が9段線の内側で築いた人工島は、排他的経済水域や大陸棚が認められる「島」ではないと判断を示した。
中国は南シナ海の90%に対する領有権を主張しているが、周辺国も海域内の島や岩礁の領有権を主張している。
中国の習近平主席は判決を受けて、「中国の領土主権と海洋権益は、いかなる状況下でも、仲裁の判断の影響は受けない」と強調した。その一方で、近隣諸国との紛争解決を重視しているとも述べた。
今回の訴訟は、中国とフィリピン両国が批准している国際海洋法条約(UNCLOS)に基づいて進められた。仲裁裁判所の判決に法的拘束力はあるものの、裁判所は執行権限を持たない。
米国は判決を控えて南シナ海に空母と戦闘機を派遣していた。中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹紙「環球時報」は「武力対立」に備えるべきだと述べた。
中国海軍は領有権が争われている西沙(英語名パラセル)諸島付近で軍事訓練を実施している。
常設仲裁裁判所はフィリピンが提訴した15件のうち、少なくとも7件について同裁判所が判断を下すのが適切だとしており、ほか8件については検討を続けている。
中国は、常設仲裁裁判所の判決には従うべきでないとする自らの主張に対する国際的な支持を得ようとしている。中国の外交官らは相次いで、中国政府の立場を説明する記事を英語のメディアに寄稿している。
中国はまた、裁判所の判決拒否を支持する国が60カ国に上っているとしているが、公に表明した国はわずかだ。
(英語記事 International tribunal to make South China Sea ruling
仲裁裁判所の南シナ海判決尊重を・フィリピンが中国に呼びかけ
BBC News
20160714日(Thuhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/7302

   フィリピン政府は2016714日、南シナ海の領有権をめぐって対立する中国に対し、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が712日に下した判決を尊重するよう呼びかけた。
フィリピン外務省は文書で、15日からモンゴルで開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会合の場で、ペルフェクト・ヤサイ外相が仲裁裁判所の判決を取り上げると表明した。
同会合には中国の習近平国家主席も出席する。
仲裁裁判所は12日、南シナ海のほぼ全域にわたる中国の領有権の主張には法的根拠がないとの判断を示した。中国は判決を無視すると表明している。
中国は、南シナ海の領有権をめぐる争いは、仲裁裁判所の管轄外だとし、同国の活動に影響を及ぼさないとの考えだ。
モンゴルの首都ウランバートルで開かれるASEM首脳会合は、仲裁裁判所の判決後、最初の主要な外交の場となる。
会合には、南シナ海で同様に中国との領土問題を抱えるベトナムやマレーシアを含む53カ国の首脳が参加する。また、フィリピンにとっては、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領の新政権発足後、初めての国際舞台になる。
フィリピン外務省の文書では、会合でドゥテルテ大統領の名代を務めるヤサイ外相が、「ASEMの目的に沿う形で、南シナ海問題に対するフィリピンの平和的かつ法に基づくアプローチ、さらにすべての関係国が最近の判決を尊重する必要性について協議する」と述べられている。
仲裁裁判所の判決について、フィリピンが出した声明としては、これまで最も明確なものだ。
ドゥテルテ大統領は、ベニグノ・アキノ前大統領よりも融和的な立場を示しており、仲裁裁判所がフィリピンの訴えを認めた場合でも、中国と天然資源を共有する用意があると述べていた。
中国は、ASEM首脳会合は、南シナ海問題を「協議するのには適切な場でない」としている。
(英語記事 China should respect South China Sea ruling, says Philippines
提供元:http://www.bbc.com/japanese/36792604



「国際法順守を」とけん制
アキノ前比大統領
南シナ海問題を巡り国連海洋法条約に基づく仲裁手続きを在任中の2013年に申し立てたフィリピンのアキノ前大統領は20167月13日、仲裁判断について「この問題について意見を述べた全ての国は、国際法順守を表明しているはずだ」と強調し、仲裁判断受け入れを拒否している中国を強くけん制した。
 アキノ氏は声明で「フィリピンの主張が全て認められており、大変喜んでいる」と判断内容を歓迎。「長年続いてきた紛争が、恒久的な解決に近づいたことは疑いない」と、南シナ海のほぼ全域で権益を有するとの中国の主張が、判断で明確に退けられたことを高く評価した。

 南シナ海問題で中国に対し厳しい姿勢で臨んできたアキノ氏に対し、中国との2国間対話を模索するドゥテルテ大統領は依然、見解を示していない。(共同)

南シナ海問題、裁定を「紙くず」と切り捨てる中国
「アメリカ黒幕説」を展開する理由

石 平 (中国問題・日中問題評論家)

 20160714日(Thuhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/7294

フィリピンの新政権は中国にどのような姿勢で臨むのか

2016712日、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、南シナ海における中国の主張や行動は国連海洋法条約違反だとしてフィリピンが求めた仲裁手続きについての裁定を公表した。それは、中国が南シナ海の広い範囲に独自に設定した「九段線」に「法的根拠はない」と明確に認定した画期的な裁定であった。
 この裁定内容は、南シナ海の主権に関する中国政府の主張をほぼ全面的に退けたものだ。いわゆる九段線の「歴史的権利」が完全に否定されることによって、南シナ海全体への中国支配の正当性の根拠が根底からひっくり返されたのである。中国が南シナ海でやってきたこと、これからやっていくであろうことのほとんど全ては、国際法の視点からすれば、まさに「無法行為」と見なされたのである。

どのように窮地から脱するつもりなのか
 裁定の内容は事前に察知していたものの、中国政府の受けた衝撃はやはり大きかったようだ。裁定が公表された712日午後5時過ぎ(北京現地時間)直後から、中国外務省は裁定に猛反発する政府声明を発表し、外務大臣の王毅氏も口調の厳しい談話を発表した。その1時間後、国営新華通信社は裁定を「単なる紙くず」と罵倒するような強烈な論評を配信した。
 翌日、人民日報は一面で本件に関する政府の2つの声明を並べたのと同時に、三面全体を使い、九つの論評・記事を掲載して批判と罵倒の集中砲火を浴びせた。
 一連の批判の中で、中国政府や国営メデイアは裁定を口々に「茶番」や「紙くず」だと切り捨てている。しかし裁定が単なる「茶番」や「紙くず」なら、中国政府と国営メディアはそこまで猛烈な反撃に出る必要はないだろう。中国側がそれほど神経質になって総掛かりの反撃キャンペーンを展開していること自体、裁定の結果が中国政府にとっての深刻なボディブローとなって効いていることの証拠である。
中国政府は当初から、裁定の結果を一切拒否する方針であった。しかしここまでくると、騒げば騒ぐほどいわば「無法国家」としてのイメージを国際社会に定着させていくだけで、中国の国際社会からの孤立はますます進むだろう。そして今まで、南シナ海における中国の行動を厳しく批判しそれを阻止しようとしてきた米国や日本及び周辺関係諸国は、今後一層中国の無法的な行動を封じ込めようとするだろう。未曾有の窮地に立たされたのはどう考えても、中国の習近平政権である。
「日米陰謀論」? その根拠は…
 習政権は今後、一体どのようにして窮地から脱出して体制を立て直そうとするのだろうか。実は、裁定公表の直前から現在に至るまで、中国政府と配下の国営メディアが放った一連の反撃の言説から、彼らの考える対応策の概要を垣間みることができる。
 裁定に対する中国側の批判や反発の言説の特徴の一つが、裁定を米国が主導して日本が加担した、「外部勢力の陰謀」だと決めつけている点である。
 たとえば78日、人民日報の掲載論評は来るべき裁定について、「仲裁裁判所の裁定は提訴から裁定までのプロセスのすべてが、アメリカがアジア太平洋地域における自らの主導的地位を維持するために設けた一つの“罠”だ」と論じて、アメリカこそが裁定の「黒幕」であるとの珍説を展開した。
 711日、裁定公表の前日、人民日報は再び裁定に関する論評を掲載したが、その論評も明確に、フィリピン政府による提訴の背後にアメリカの「アジア回帰戦略」があったとの見方を示し、「アメリカ黒幕説」をより具体的に展開した。
 同じく11日、国営通信社の中国新聞社も裁定に関する記事を配信したが、最後の部分で専門家の話を引用する形で、「南シナ海に関する今回の裁定は、アメリカの政治的操作の結果である」と結論づけた。
 同日、もう一つの国営通信社である新華通信社も裁定に関する長文の「検証記事」を配信したが、冒頭から、「今回の裁定は、アメリカがその背後で操り、フィリピンがその主役を演じてみせ、日本が脇役として共演した反中茶番である」との見解を示した。「アメリカ黒幕説」をさらに肉付けたものであると同時に、日本までを「陰謀」の加担者として引きずり出したのだ。
 こうして中国側は「アメリカ黒幕説」の一つの形を整えたつもりかもしれないが、その根拠はあまりにも脆弱である。
「アメリカ黒幕説」の唯一の根拠は、柳井俊二氏という一人の日本人の存在である。
 人民日報や新華通信社の主張によると、元駐米大使である日本外交官の柳井俊二氏は、国際海洋裁判所裁判所長の在任中、オランダ・ハーグの仲裁裁判所の仲裁裁判官の5人中4人を任命したという。だからこそ、中国に不利な裁定が出たわけである、というのだ。中国側はまさにこの一点を以って、南シナ海裁定は「アメリカ主導、日本加担の茶番」だと認定した。
 正気な人ならば、この程度の根拠による「黒幕説」はこじつけにもならない荒唐無稽なものであると一目で分かるだろう。反論にも値しないような出鱈目というしかない。
 しかし中華人民共和国政府は堂々と、まさにこの根拠にもならない「根拠」を以って、アメリカという国を裁定の「黒幕」だと断定し、日本までを「加担者」に仕立ててしまった。中国はそこまでして、一体何を企んでいるのだろうか。
「法への抵抗」から「正義の戦い」へ?
 中国政府はそこまで無理をしてでも、アメリカを「黒幕」に仕立てようとしたのには、二つの狙いがあろう。
 一つはすなわち、裁判所の裁定それ自体の正当性を根底からひっくり返すことにある。つまり、裁判所を操っているのは自らの覇権を守ろうとするアメリカであり、そして今回の裁定は単なるアメリカの私利私欲から発した謀略の結果であれば、もはや何の公正性も正当性もない。したがって中国政府は当然、それを完全に無視し、拒否することができるのである。
 もう一つの狙いは、アメリカを「黒幕」だと決めつけることによって、今回の裁定の一件を、「中国vs仲裁裁判所」の構図から、「中国vs強権国家・アメリカ」という戦いの構図へとすり替えることであろう。中国は最初から仲裁裁判所の裁定を一切拒否する構えであった。しかしそれは、仲裁裁判所に対する中国政府の抵抗だと国際的に認識されていれば、中国の分は悪い。国際社会から「裁判の結果に抵抗する無法者」のように認定されてしまう。
 しかしそうではなく、仲裁所は単なる操り人形であって、アメリカという国こそがその「黒幕」であるなら、中国の裁定拒否はもはや「法への抵抗」ではなく、アメリカの強権に対する中国の「正義の戦い」となるのである。
 まさにこの二つの理由を以って中国は、宣伝機関の総力を挙げてアメリカを「黒幕」に仕立てようとしていた。それがもし成功していれば、中国は国際法のルールに公然と反抗するような無法国家として見なされるのではなく、むしろアメリカの陰謀に敢然と立ち向かう「勇士」として評価されるのかもしれない。そして、中国政府が今回の窮地からやすやすと脱出できるのではないかと習政権が計算しているのであろう。
アメリカと関係を深める各国
 しかし、この虫の良すぎる計算が思惑通りになるかどうかは実に微妙だ。柳井俊二氏の存在と働きだけを根拠にしてアメリカを「黒幕」に仕立てるのはあまりにもいいかげんであり、国際社会を信頼させることは到底無理であろう。政府の情報遮断と洗脳にさらされている中国国内の一般市民以外、誰もそんな出鱈目を信じはしない。中国政府の宣伝は結局、自国民を欺く以外にほとんど効果がないだろう。
 そして、アメリカを「黒幕」に仕立てた以上、習近平政権は今後、より一層厳しい姿勢でアメリカと対峙していかなければならない。それは、アジア太平洋地域における中国自身の孤立に拍車をかけることとなろう。
 現在のアジアでは、日本が米国との同盟関係を強化しているだけでなく、一時「親中」と言われた韓国も、中国からの反対を押し切ってアメリカから最新型迎撃ミサイルの導入に踏み切った。「中国一辺倒」の偏った外交から脱出して親米へと再び戻ったと言えるだろう。東南アジアでは、同じく南シナ海の領有権問題で中国と対立しているベトナムも最近、アメリカからの武器禁輸全面解除などの「特別待遇」を受けて、関係緊密化を急いでいる。
 このような状況の中で、中国がアメリカと全面対決の姿勢を明確にすればするほど、中国から離れたり距離を置いたりする国はさらに増えてくるであろう。
 つまり、窮地から脱出するためにアメリカを「黒幕」に仕立てる習政権の策は逆に、中国にとってますます窮地を作り出しかねない。結局自らの首を絞めることとなるだけである。
フィリピンとの直接対話に賭ける中国
 そうすると、中国にとっての最後の「起死回生策」は結局、裁定のもう一方の当事者であるフィリピンと直接対話による解決を図ることである。
 習政権にとって幸いなことに、南シナ海裁定が出る前から、フィリピンで政権交替があり、中国に強硬姿勢のアキノ政権から今のドゥテルテ政権に変わった。そしてドゥテルテ新大統領は度々、中国と対抗ではなく対話の道を選ぶとの発言をしている。
 したがって中国政府としては今後、極力フィリピン新政権との対話の糸口を見出して、両国間の直接対話に活路を見出そうとするであろう。当事者同士が直接の話し合いによって問題解決の道を探す、という姿勢を示すことによって、裁判所の裁定を無力化してしまい、アメリカや日本からの「干渉」を跳ね返すこともできるからである。
 だからこそ、今回の裁定に対する一連の批判・反発においては、中国政府と国営メデイアは、裁定の出発点となったフィリピンの提訴に対し、「悪いのはフィリピンの前政権」ということをことさらに強調し、新大統領への批判を一切避けている。そして、裁定が公表された直後の王毅外相の談話では、フィリピン新政権の姿勢に「留意した」とし、フィリピン政府との直接対話に意欲を示しているのである。
 もちろん、フィリピンとの直接対話が上手くいくかどうかは未知数だ。新政権は、南シナ海問題で中国と対話することによって経済援助やインフラ投資などの経済的利益を中国から引き出す魂胆であろうが、それでも、そのためにフィリピンが南シナ海の主権問題を中国に譲歩するようなことはまず考えにくい。主権問題を棚上げにしての対話がどこまで成果を挙げられるのかは分からない。
 しかも、裁定が中国の主張を全面的に退けたことで、今、中国との対話において優位に立つのはフィリピンであり、主導権を握っているのはドゥテルテ大統領であると言っても過言ではない。フィリピンとの対話が中国政府の思惑通りに進む保証はどこにもないのである。

 結局、裁定に従う形で南シナ海での膨張主義政策を放棄するのが中国にとっての本当の「起死回生策」となるはずだが、それがどうしてもできないのは、中華帝国の伝統を受け継いだ習近平政権の救い難い「難病」である。南シナ海の秩序と平和を守るための国際社会の戦いは、今後も続くのであろう。
仲裁裁判後の共産中国の態度は?

中国、南シナ海に防空識別圏を設定する権利ある=外務次官
ロイター

(主張)中国、南シナ海に防空識別圏を設定する権利ある=外務次官

[北京 13日 ロイター]中国外務省の劉振民・次官は2016713日、中国には南シナ海に防空識別圏(ADIZ)を設定する権利があるが、実行するかどうかは中国が直面する脅威のレベルによるとの認識を示した。また、南シナ海問題をめぐり、フィリピンとの2国間協議を再開することを望んでいると述べた。
オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、南シナ海問題をめぐる判決で、中国が独自に設定した境界線「九段線」について「法的根拠はない」とするなど、中国側の主張の多くを否定する内容の判断を示した。

中国が裁定後もフィリピン漁船追い出し・仲裁裁が「不法」と認定したスカボロー礁で ~国際裁定そんなの関係ねえ!~
【シンガポール=吉村英輝】フィリピンのABS-CBN放送(電子版)は2016714日、南シナ海を巡る仲裁裁定でフィリピン漁民らの伝統的漁業権が認められたスカボロー礁(中国名・黄岩島)へ同国の漁船が接近を試みたところ、中国海警局とみられる監視船などから妨害を受けたと伝えた。
 同礁は、フィリピン北部ルソン島沖約200キロで、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあるが、中国が2012年から実効支配を始め、フィリピン漁民を排除してきた。仲裁裁判所は、同礁は「岩」であり、周辺海域はフィリピンや中国など周辺国の漁民の漁場と認め、中国船によるフィリピン漁船への妨害を不法と認定した。
 同テレビの記者らが同乗した漁船は14日、同礁に近づいたが、裁定前と同様に、中国の漁船や中国海警局とみられる船から岩礁内への立ち入りが妨害されたという。中国当局者らしき制服姿の男がゴムボートからフィリピン漁船へ望遠レンズを向ける様子も伝えられた。

比政府、「紙くず」発言で対中配慮を転換か?国際会議ASEMで仲裁裁定を議題に

【シンガポール=吉村英輝】フィリピン外務省は20167月14日、声明を発表し、モンゴルで15~16日に開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議で、中国を相手取り比側が「全面勝訴」した、南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定を取り上げ、「関係当事者が裁定を尊重する必要性」を訴える方針を明らかにした。
 フィリピンのヤサイ外相は12日、仲裁裁定について「内容を精査する」とし、中国に一定の配慮を示していた。だが、中国は13日、フィリピンに対し、「裁定を紙くずと認識して棚上げし、交渉のテーブルにつくことを希望する」(外務次官)と表明。これを受け、南シナ海問題への「ルールに基づく対応」をASEMの場で訴えることにした。
 今回のASEMは先月末に発足したドゥテルテ新政権にとり「初の国際会議」で、ヤサイ氏が大統領の代理として出席する。

アメリカの姿勢は?

米見解、中国は不快感表明
仲裁判断は法的拘束と見なすべき
ロイター2016713()630分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160713-00000014-reut-n_ame

国際的な仲裁裁判所が、中国には南シナ海の海域内の資源に対する歴史的な権利を主張する法的な根拠はないとの判断を下したことについて、米政府は12日、仲裁判断は最終的かつ紛争当事国を法的に拘束するものと見なすべきであり、緊張を高める理由にしてはならないとの見解を示した。
アーネスト米大統領報道官は「判断を挑発行為に関与する機会として用いないよう、すべての当事者に求める」と呼びかけた。またこれに先立ち、国務省のカービー報道官は「南シナ海における紛争の平和的解決という共通目標に大きく貢献するもの」とした上で、「米国はすべての当事者がそれぞれの責務を順守するよう希望する」と述べた。

こうしたなか、中国国営新華社通信によると、中国政府は国務省報道官の声明に強い不快感を表明。外務省の陸慷報道局長は米国の声明に強く反対するとした上で、米国の行為は法の精神や国際法の規範に反するもので、領土問題において一方だけ支持しないとの宣言にも逆行していると述べた。
《維新嵐》 アメリカの共産中国の海洋覇権戦略に対する「抑止戦略」がまちがいでないことが認められました。国際外交はアメリカ有利になっています。
仲裁裁定後初の国際会議・巻き返しに必死の中国の李克強首相「国際法の曲解に反対」

 2016年7月15日にモンゴルの首都ウランバートルで開幕したアジア欧州会議(ASEM)首脳会議で、中国の李克強首相は「国際法の曲解と二重基準に反対する。地域で合意された規則を順守すべきだ」と訴えた。オランダ・ハーグの仲裁裁判所による仲裁手続きが、2002年に東南アジア諸国連合(ASEAN)との間で調印した「南シナ海行動宣言」に違反するとの中国の主張を念頭においた発言だ。
 仲裁裁定が示されて以降初めての大型国際会議となったASEMで、李氏は「中国は国際秩序と国際法の守護者であり、地域の平和安定の推進者だ」と強調した。当初、中国は「南シナ海の問題を扱うべき場ではない」と主張していたが、中国の主張が完全に退けられた裁定の履行圧力を警戒。会議と並行して開かれている二国間協議を利用し、一枚岩になれないASEANや欧州連合(EU)の切り崩しを露骨に図っている。
 李氏は14~15日にかけ、ASEANの中でも中国に傾斜するラオス、カンボジアの両首相と相次いで会談した。中国外務省によると、ラオスのトンルン首相は「中国の立場を支持し、中国とともに努力して南シナ海の平和と安定を守りたい」とし、カンボジアのフン・セン首相も「当事国同士の対話による解決を支持する」と応じた。


南シナ海の領有権をめぐって争うベトナムのグエン・スアン・フック首相との会談では「中国が裁定を承認せず、受け入れないという立場は明確だ」と強調。中国外務省によると、グエン首相は「仲裁裁定に対する中国の立場を尊重する」と語ったという。
 中国は裁定をめぐって共同声明の発表を検討しているEUに対しても、くさびを打ち込んでいる。そのターゲットは近年、中国が重要な外交パートナーとして積極的な経済投資に乗り出している中東欧諸国だ。
 王毅外相は15日、ハンガリーのシーヤルトー外務貿易相と会談し、同氏から「外部圧力は問題解決には役立たない」との言葉を引き出した。
 中国の習近平主席は今年3月のチェコに続いて、6月にも中東欧最大の貿易相手国ポーランドを訪問し、多項目にわたる経済・貿易協定を締結した。こうした中国マネーを求める一部の欧州諸国への働きかけが功を奏し、共同声明案は「ここ数日で内容が顕著に薄められている」(ロイター通信)という。

「日本は当事国ではない。干渉するな」 中国の李克強首相が首脳会談で要求 ~ほとんど八つ当たり~

中国の李克強首相は15日の安倍晋三首相との会談で、南シナ海問題で「日本は当事国ではない。言動を慎み、騒ぎ立てたり干渉したりするな」と要求した。中国国営新華社通信が伝えた。
 李氏は「南シナ海問題における中国の立場は国際法や(南シナ海問題の解決に向けた)『行動宣言』に完全に合致している」と主張。沖縄県・尖閣諸島の周辺で中国艦船の航行が相次いでいる東シナ海問題については「双方が意思疎通を図り、誤解や判断ミスを防いでいくべきだ」と述べた。(共同)





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