2016年10月16日日曜日

【東トルキスタン情勢】共産中国から独立することができるのか?

母国語を奪われた詩人の「大統領」に聞く中国の侵略と核の脅威

■アフメットジャン・オスマン氏■1964年中国新疆ウイグル自治区ウルムチ生まれ。新疆大学からシリアのダマスカス大に留学しアラビア文学を研究。ウイグル語、アラビア語で多くの詩集を刊行。トルコ経由でカナダに亡命し、現在はカナダ在住。


海外で活動するウイグル人の組織の一つで、「東トルキスタン」(中国・新疆ウイグル自治区)の独立を目指す「東トルキスタン亡命政府」の大統領、アフメットジャン・オスマン氏(52)が、16日に都内で開かれるシンポジウムに出席するため来日した。詩人として知られ、日本でも詩集を出版している同氏は、中国の政策で固有の文化が奪われつつあるウイグル族の現状や組織の成り立ちを語った。

--「東トルキスタン亡命政府」とは、どのような組織か
 「海外に追放された、あるいは逃れたウイグルの亡命人士がつくった組織で、2004年9月、世界中の8つのウイグル人の組織のトップがワシントンに集まり、正式に成立しました。4年に一度の総選挙で大統領や首相を選出します。憲法や国会があります。メンバーは、世界中に散らばっていますが、主なメンバーはトルコ国籍を持ち、トルコに住んでいます。カナダ、アメリカ、ドイツにも多くのメンバーがいます」

「憲法において、東トルキスタン亡命政府は、1933年に成立した東トルキスタン・イスラム共和国と44年に成立した東トルキスタン共和国(※1)の独立の遺志を継ぐ政府であるとはっきり記されています。この憲法での独立は、奪われた独立を取り戻すという概念で、新たに中国から独立するということではありません。侵略されて、奪われた主権を取り戻すために、私たちは今、戦っています。中国の政権は私たちを分離主義者というが、まったくのでたらめです」

--海外のウイグル人の組織では、世界ウイグル会議が知られています
 「われわれも、世界ウイグル会議も、ウイグルのため、東トルキスタンのために働く組織としては同じです。ただ、目指すところや方法に少し違いがあります。亡命政府は中国の、東トルキスタンで行われているいかなる政策も無視します。東トルキスタンは中国によって不法に侵略された土地。中国の政権はそこでいろんな政策を実施する資格がない。私たちはそれを認めません」

--どのような活動に力を入れているのか
 「東トルキスタンが、中国に植民地化されてしまった問題を国際社会に認識してもらうことが目下の最大の任務です。中国政府は、新疆はいにしえより中国の不可分の一部とい言っているが、その嘘が、受け入れられているのかと疑問を投げかけ、国際社会の正義感を呼び起こしたい。中国政府は東トルキスタン独立運動とイスラム原理主義のテロだとレッテルを貼っているが、自分の土地から侵略者を追い出す運動は、正義の運動であり、イスラムの運動とは無関係だということも訴えていきたい」

--「詩人」がどのような経緯でこのような運動に携わるようになったのか
 「私は今でも、詩人です。母国語で詩を書く、書きたい詩人です。私は詩を書いて、母国語で書いた詩が自分の故郷で出版禁止になるという現実に直面しました。私が愛して詩を書いた私の母国語は中国のバイリンガル教育という、実質的には漢語教育の下でなくなる危機に向かっているのを目の当たりにしました。魚は水で生きているように、私たち詩人は言語、言葉の中に生きているものです。中国政権は私のような人間が呼吸している母国語をなくそうと政策を立て、一生懸命にそれを実行しています」

「私は自分の母国語を守ることは自分を守ることだとさとった詩人であるかもしれない。私は自分の母国語を守るために中国の政権、政策と戦わなければならない立場におかれました。母国語を守ることは私の祖国、侵略された大地を守るということ。守るためには独立を勝ちとらないといけないということに目覚めました」

--どのようにウイグルの言葉が失われているのか
 「中国政府が唱ったバイリンガル教育は、2つの言語を母国語のように話せるウイグル人を育成する方針でしたが、ふたをあけてみると、大学でウイグルの先生がウイグルの学生に中国語で授業をする。ウイグル語で授業をしてはいけないということになった。授業だけではく、クラス会議も中国語で開く。現在、ウイグル語と中国語の両方を使っていいのは、幼稚園、保育園、小学校の低学年までで、これもそのうちなくなります」
 「もう一つ非常に憤りを感じるのは、ウイグル文学だけはウイグル語で教えていいということだったのですが、ウイグルの伝説や物語が全部取り除かれて、中国の文学から訳されたものをウイグル語で教えているのです。ウイグル人は言葉だけでなく、自分たちの文学や伝説、物語というものもわからなくなってきている」

--16日に開く「中国・核の脅威シンポジウム」(※2)の趣旨は
「1964年10月16日、中国政府は、東トルキスタンで最初の核実験を行いました。この日を私たちは東トルキスタンが喪に服した記念日としています。その後も核実験は繰り返されました。その被害の実態を明らかにして、ユネスコの記憶遺産に申請するための署名活動をしたい。被害の実態を科学的に実証した上で、中国政府が、核実験の被害を受けた民に対して賠償をするよう、国連に訴えていきたい」

※1 東トルキスタン・イスラム共和国と東トルキスタン共和国はかつて独立を宣言した

※2 シンポジウムは16日午前11時~ 東京都千代田区鍛冶町の「TKP神田駅前ビジネスセンター」で開かれ、ウイグル人医師のアニワル・トフティ氏らも登壇予定。 

【関連リンク】




【外交戦】
 ウイグルについての記述はありませんが、人権問題への糾弾となれば含まれてくると考えられます。チベットやウイグルの独立運動が盛んになれば、共産中国の海洋侵略への牽制になると考えられます。

米、中国の人権弾圧を糾弾
迫害逃れてきた北朝鮮国民をも犯罪者扱いする苛酷さ

 米国の国政は大統領選挙に激しく揺れ、オバマ政権も末期を迎えて、すっかり機能を低下させたようにもみえるが、一部ではなお堅固な継続性を実感させられた。10月上旬に中国政府の人権弾圧をまとめて糾弾した「中国に関する議会・政府委員会」の活動である。
 同委員会は2000年に特別立法で設置され、中国の人権状況を精査して米国側の対中政策に反映させることを任務とする。立法府、行政府両方の代表で構成される。その今年の年次報告書は習近平国家主席の下での共産党政権が自国民の人権をかつてない規模と激しさで弾圧する実態を迫力ある記述で伝えていた。
 その総括の主要点は以下だった。

 第一の特徴はイデオロギーの強制画一で、共産党の政治思考に絶対の忠誠を示さない動きはすべて厳しく抑圧され、懲罰を受けるという。今年2月には官営紙主筆が当局への批判や提案を自由にすべきだと主張して即座に制裁を受けた。
 第二は共産党独裁体制に合致しない思考を「中国の復活に反する危険な外国の価値観」として排する動きだという。習近平政権は「中国の夢」の名の下に巨大な野望を語る際、民主主義などの国際的な普遍思想を「中国を害する外国思想」として敵視する。

 第三は自由で平等な市民社会の概念を国家安全保障への脅威と断じる動きだという。中国当局が今年4月に施行した外国の非政府機関(NGO)規制の法律は中国社会で自主的に活動する団体や個人を「中国の民族の団結を乱し、国家の安全を害する」と断じた。
 第四は共産党支配を正当化する法律の選別的な利用だという。中国当局は今年5月、人権尊重を主張した中国人の弁護士や活動家計約20人を逮捕したが、その法的根拠として「国家治安を危うくした」という法律の規定を適用した。当局は独自に法律を作り、その一部を政府批判分子の弾圧に利用するという。
 第五の特徴は経済不安と労働争議への二重の弾圧だとされる。最近の中国は経済面の不安や労働者の不満が共産党統治の正当性に影を投げているが、共産党政権は労働者の不満を直接に抑圧すると同時に経済の不調を伝える中国メディアの報道を厳しく規制し、実際よりもバラ色の構図を投射させているという。
 同年次報告書は以上の特徴を指摘する一方、人権弾圧の具体的な細部を合計約350ページにわたって詳述していた。国際的な意味あいの強いチベット人やウイグル人への弾圧の強化も多数の最新の実例があげられていた。

 外国関連でとくに注視されたのは中国当局による北朝鮮国民への苛酷な扱いで、以下の記述があった。
 中国領内に入った脱北者は原則としてみな拘束し、本国へ強制送還している▽中国には難民や亡命者を保護する法律がなく迫害を逃れてきた人をも違法入国として犯罪者扱いする▽中国の国境警備強化のため、脱北者の韓国への亡命が11年以来、減少を続けている▽北朝鮮からの中国入国は女性が圧倒的に多く、人身売買がなお増えている。
 米国のこうした中国の人権弾圧への批判は課題の普遍性を考えれば、日本でも表明すべきではないか。(ワシントン駐在客員特派員)

《維新嵐》 我が国の親中派の論理、姿勢は今の共産中国の外交姿勢のままでは危険すぎるものでしょう。「日中友好」は、中国共産党が対日的に優位にたつ形であることが明白だからです。そして軍事的な覇権主義だけでなく、軍事以外の「侵攻手段」を駆使してくることがわかった今日、我が国は「反中」政策に転換すべきときなのではないでしょうか?

ウイグルの現状と難民救援の必要性



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