2017年12月15日金曜日

北朝鮮の漂流船の正体 ~日本海の波濤をこえてやってくる脅威再び~

北朝鮮木造船の漂着に隠された一触即発の火種

高橋一也 (ジャーナリスト)

 師走間近の平成291129日午前、北の護りの要である海上自衛隊(海自)大湊地方総監部に緊張が走った。海上保安庁(海保)からのホットラインで、「津軽海峡の玄関口に位置する松前小島沖で国籍不明の木造船が漂流しているのを発見」との連絡があったからだ。総監部では当初、北朝鮮工作船の可能性も否定できないと身構えたが、急行した哨戒機P−3Cから伝送された写真を分析して、「エンジントラブルなどで漂流する漁船」と判断し、緊張は収まった。
 しかし、この「漂流する漁船」は、数日後にはメディアで大きく取り上げられることになる。海保による立入検査で、「朝鮮人民軍第854部隊」と書かれた標識が船体に付けられたことが分かると、メディアやネット上で「工作船」疑惑が持ち上がった。
騒動は北海道警察が乗員3名を松前小島の待避小屋から家電などを盗んだ疑いで逮捕したことで幕引きとなったが、その背景について政府が説明することはなかった。この騒動について、東京・市ヶ谷で北朝鮮情勢を分析する防衛省関係者は、「北朝鮮の木造船が続々と漂着する理由を紐解いていくと、弾道ミサイルよりも危険な火種が存在することが見えてくる」と明かす。
巨大企業「人民軍」に所属する北朝鮮漁船
 防衛省関係者は、北朝鮮木造船の漂着が増加した理由として、「金正恩の指示による漁業活動の強化と西高東低の気圧配置」の二つが挙げられるという。
 一つ目の理由は、金正恩(キム・ジョンウン)が政権を引き継いだ翌年の201312月に、朝鮮人民軍創設以来はじめてとなる「人民軍水産部門熱誠者会議」を開催して模範労働者を表彰したことに見出せる。これ以降、金正恩は毎年元旦に発表する「新年の辞」の中で、漁業強化を指導している。

 二つ目の理由である冬型の気圧配置とは、大陸に発生した高気圧(シベリア寒気団)の影響で日本海に強い西寄りの風が吹くことをいう。この荒れた日本海で整備不良の北朝鮮漁船は容易に遭難し、運が悪ければ転覆、運が良ければ日本まで流れ着くことになる。
 今年に入り発見された北朝鮮の漂着船は、海保のデータがあるここ4年間で最多の64隻(1210日現在)となっている。例年、冬型の気圧配置が始まる10月末頃から遭難した船が約1カ月かけて漂着するため、2月までは引き続きこのペースで漂着する可能性があるという。
 これまでの説明で分かるとおり、日本海で操業する北朝鮮漁船は従来も存在したが、特に今年は「漁労強化」の指示により操業隻数が増加したため、これに比例して何らかのトラブルに見舞われて日本に流れ着いた船も多くなったということだ。松前町で発見された木造船の乗員も、「9月に清津(チョンジン)を出港して日本海でイカ漁をしていたが、約1カ月前にエンジンが故障して漂流した」と供述している。
 しかし、この説明では、木造船が「工作船」ではないという根拠としては希薄だといわざるを得ない。防衛省関係者は、「北朝鮮の漁船の多くは形式上、朝鮮人民軍に所属し、これまで漂着した漁船の多くに軍部隊番号が記載されていた」と付け加える。
  
 実際に北朝鮮の公式メディアは、金正恩が昨年11月に、「人民軍527日水産事業所」と「人民軍18日水産事業所」を現地指導したことを伝えている。ここからはっきりと見て取れるのは、軍が漁業を行なっているという事実だ。
 人民軍に所属するからといって、それが必ずしも戦闘や諜報工作に供される訳ではない。人民軍は漁業もすれば炭鉱や工場も運営するという、“巨大企業”の側面も有している。

ナショナリズムに直結する漁業問題

 では、本題となる北朝鮮漁船の漂着という現象の背後にある、「弾道ミサイルよりも危険な火種」に話を移そう。
 北朝鮮の漁船が主に操業している海域は、日本海中央の大和堆と呼ばれるエリアで、ここは暖流と寒流が交わる日本有数の豊かな漁場だ。だが、このエリアは漁業関係者の間で、「竹島」を巡る“熱い海”としても知られている。
 1999年に発効した日韓漁業協定では、日韓双方が領有権を主張する竹島を“存在しないもの”として中間線を設定し、その周辺海域を「暫定水域」と定め、日韓両国がそれぞれのルールに従い漁業活動を行うこととした。その一方で、日本と北朝鮮の間には、1997年から93年まで結ばれていた民間漁業協定で中間線を基準とするEEZが確認されていたが、この協定は現在失効している。

 日朝韓3カ国の漁業関係図(著者作成)


 日本海中央の大和堆は日本と韓国、北朝鮮の漁業権益が複雑に交差していることが分かるだろう。日韓間には暫定水域が存在しているが、日朝間にはそのような緩衝地帯は存在しない。そればかりか、両国の排他的経済水域(EEZ)は漁場である大和堆付近で重なっている。
 海保は今年8月までに、日本のEEZ内で不法操業する北朝鮮漁船に対して、巡視船の放水銃を使用するなどして800隻以上を退去させたと発表した。そして、この過程で巡視船が北朝鮮漁船から小銃を向けられたことも報じられた。海保は具体的な海域を明らかにしていないが、漁業関係者などの証言から、日朝が衝突した海域は大和堆周辺であることが明らかになっている。
 海保による対策は対処療法に過ぎないが、日中間の係争地となっている尖閣諸島と異なり、北朝鮮は日本に対抗するだけの海軍力や海上警察力を有していない。このため、海保が海域警備を続ける限りは、北朝鮮による不法操業を抑えることができるだろう。
 このような中、ある海保関係者は、「韓国政府が実務レベルで、北朝鮮漁船の取締りを緩和するよう非公式に要請してきた」と憤慨する。韓国政府の意図はどこにあるのか。
 今年5月に就任した文在寅大統領はいわずと知れた対北朝鮮融和派の人物で、文政権を誕生させた韓国世論もこの姿勢を概ね支持している。韓国政府が「取締りの緩和」を求めた理由には、この韓国世論が背景にあるという。
 韓国政府実務レベルの懸念は、日本が北朝鮮漁船に対する取締りを強化すれば、北朝鮮にシンパシーを抱く韓国マスコミや世論の“反日”姿勢が強まり、韓国政府は日本と対北朝鮮問題で協調することが難しくなるということだ。緊迫化する朝鮮半島情勢を鑑みれば、韓国政府の立場も理解できなくもない。
 そして、この韓国側の懸念こそが、先に防衛省関係者が述べた、「弾道ミサイルよりも危険な火種」の正体だ。普段は意識することが少ない漁業問題は、実はナショナリズムに結びつきやすい性質を持っている。捕鯨問題やEEZ・大陸棚問題等から分かる通り、問題が文化や領土・資源に直結するため、一度噴出すれば政府は世論を抑えることが困難になる。
 北朝鮮による弾道ミサイルの脅威が高まり、アメリカによる北朝鮮攻撃も非現実的な話でなくなった時に起こった「工作船」疑惑に、政府はだんまりを決め込んでいる。それは、火種に息を吹きかけて炎にしないための判断だろうが、その判断は果たして正しいのだろうか。朝鮮半島をめぐる危険水位が最高潮に達した現在、正確な情報とそこから導出される見通しを国民に伝えることが政府の責務ではないのか。

※ついにきました。北の「特殊工作員」戦術。あたるかあたらないかわからない脅威?の弾道ミサイルよりもこちらの方が怖い。日本人が拉致された悪夢がありますからな。

漂着船の正体は「朝鮮人民軍」 
北の攻撃に備えが無いのがニッポンだ
北朝鮮の漂着船「木造」に懸念
2017129 94 http://news.livedoor.com/article/detail/14004762/

 単なる胸騒ぎでは済まなかった。
 「朝鮮人民軍第854軍部隊」。北海道松前町の無人島に一時避難した木造船の正体だ。
 乗員が避難した漁業者用の避難小屋は入り口がこじ開けられ、テレビや冷蔵庫、炊飯器などが無くなっていた。北海道周辺の海を担当する第1管区海上保安本部と北海道警、地元漁協などは4日に被害状況を調査、船から日本製のテレビなどが見つかり、乗員は「島から持ってきた」との趣旨の話をしていることが判明した。
 1管は、島の高台にある灯台の電源用ソーラーパネル(縦119センチ、横197センチ)36枚のうち4枚が無くなり、港の防波堤付近で平成29124日、配線が切られた状態で見つかったと明らかにした。灯台の付属施設も入り口の南京錠が壊され、何者かが侵入した痕跡があった。道警は窃盗容疑で事情を聴いているが、「遭難」が「事件」に様相を変えた。
 北朝鮮では、軍が農業や漁業などの生産活動にも従事しているとされるが、窃盗も厭わない。
 北朝鮮からとみられる木造船が日本海沿岸で漂流・漂着した件数が、11月は28件確認された。海上保安庁の集計による。11月に限ると過去4年で最多だ。
 海保によると、漂流や漂着の今年の総数は12月4日時点で64件。船内や周辺の海上では北朝鮮人とみられる18人の遺体が見つかり、42人の生存が確認された。船の漂流・漂着は25年80件26年65件27年45件28年66件と推移している。
 11月以降は波が高くなる季節にもかかわらず、簡素な船で無理な操業を強行する理由は「冬季漁業戦闘」と称する食糧確保があるという。
 慢性的な食糧不足に加え、国際社会の経済制裁が効果をあげ、いっそう逼迫している。朝鮮労働党機関紙、労働新聞(11月24日付)は「冬季漁獲戦闘」の成果を紹介、漁民らを激励する記事を掲載した。北朝鮮メディアは漁を「戦闘」、漁師を「戦士」などと呼んでいる。 
 漂着が大きく報道されたのは、11月23日。秋田県由利本荘(ゆりほんじょう)市の海岸に木造船が漂着、乗組員8人が漂着した。彼らは出漁中に遭難、朝鮮語で「北朝鮮から来た」と話した。8人は早期帰国を希望している。
 海保によると、北朝鮮からの漂着船に生存者が確認されたのは平成27年1月以来。
 この後、24日には秋田県男鹿(おが)市沖で漂流中の船を発見、船内から8遺体を発見27日には青森県深浦町と佐井村それぞれの海岸で船を発見29日、北海道松前沖で漂流中の船を発見、乗組員は10人12月2日新潟県佐渡市に転覆した船と2遺体を発見4日、秋田県にかほ市で1遺体と木片山形県鶴岡市の3遺体が発見された。
 山形にで発見された遺体は黒のセーターや防寒着などを着用し、2人の作業着の左胸には、故金日成主席の肖像画が描かれ金色に縁取られたバッジがついていた。
 彼らは単なる漁民なのか。
 高まる緊張の中、日本の失態が相次いだ。北朝鮮に寄港した制裁違反の貨物船が日本に出入し、漂着した木造船がなくなった。
 菅義偉官房長官は11月22日の会見で、北朝鮮に寄港した疑いのある香港船籍の貨物船が3日に千葉港に入港していたことについて、「国際社会と連携して北朝鮮に圧力を強化する中、このような事案があったことは断じて許すことはできない」と厳しい表情で応えた。
 さらに11月23日夜に秋田の海岸に漂着した漁船は、船舶係留施設「本荘マリーナ」付近の防波堤につながれていたが、25日午前の段階で船がなくなっていた。県警などは天候の回復を待って船内の積載物を調べる予定だったが、漁船は失われ、「証拠」は消えた。
 こうした対応に地元の佐竹敬久秋田県知事も「本当に漁船なのか。スパイ船なのか。8人だけなのか」「しっかりと船を調べないと。移動できるときに移動して証拠の保全をすべきだった。住民に不安を与え、捜査の機会を逃した」と話したが、核心を突いている。
 懸念はこれだけにとどまらない。
 自民党の青山繁晴参院議員は11月30日の参院予算委員会で「北朝鮮が兵器化した天然痘ウイルスを持っているというのは国連の専門官の間でも常識だ。もし上陸者に一人でも感染させられた人がいたら、ワクチンを投与しないと無限に広がっていく」と述べ、バイオテロにつながりかねないとの認識を示した。
 木造船はレーダーで見つかりにくく、武装難民やテロのための工作員の上陸に利用される危険性が指摘されている。警察や海保任せでは対応できないのはわかりきっている。
 「12月17日」とか「18日」とか、米が北朝鮮に軍事攻撃する「Xデー」をマスコミが書き連ねているが根拠の無い話には思えない。
 朝鮮半島有事の際、避難民が大挙してやってくる。工作員も混入していると考えられるが、憲法上の制約やら法の不備で、その備えがないのがニッポンなのだ。(WEB編集チーム 黒沢通)
※朝鮮人民軍の漂着船を北朝鮮当局が回収してくれるのならともかく(それが常識です!)後片付けの費用を負担して処理するのは納得がいかない心境です。

北朝鮮船:山形・鶴岡で解体作業始まる
毎日新聞

2017年12月14日

 山形県は平成291214日、鶴岡市に漂着した北朝鮮籍とみられる木造船の解体作業を実施した。海岸法に基づいた措置で、「所有者」が名乗り出ていないため、費用は国と自治体の負担となる。同種の漂着船がある他の自治体も同様に処分しなければならないという。
 この日は県が委託した建設会社の作業員6人が、海岸道路近くに横付けされた全長約7メートルの木造船を電動ノコギリで前後に分割するなどして解体。順次、重機でトラックに積み込んだ。燃える部分は焼却する予定という。
 木製の船体は腐った部分もみられた。エンジンや配管類は赤くさび、作業員は「現役の船とは信じられないほどの古さ。よく動いていた」と驚いていた。船首部にハングルと船番号とみられる数字があるが、国籍や所有者を明確にうかがわせる物はまだ見つかっていないという。
 県によると、木造船は11月21日に海岸で発見された。所有者に名乗り出るよう求めていた12月8日の公告期限を過ぎたため、解体が決まった。処分費用は数十万~100万円前後の見込み。国に補助申請できるが、最大2割を地元負担しなければならないという。【的野暁】

※いい加減にしろ!金正恩!こんな始末もできないなら、拉致被害者をすべて我が国に返還し、政権から退くべし!

海上保安庁:松前小島灯台も被害500万円「なぜこんなことを」

毎日新聞
© 毎日新聞 北朝鮮から来た木造船の乗組員によって荒らされた小屋と灯台=北海道松前町沖で2017年12月9日

北海道松前町の無人島・松前小島に一時避難した北朝鮮の木造船の乗組員3人が、島の避難小屋にあった発電機を盗み窃盗容疑で逮捕、送検された事件。近くの松前小島灯台の施設も、鍵を壊されて携帯発電機などがなくなったほか、太陽光パネルを外されるなどの被害を受けた。容疑者は特定されていないが、海上保安庁函館海上保安部は11日に北海道警松前署へ被害届を提出。灯台を管理する同庁の交通部企画課の担当者は「なぜこんなひどいことを」と、ため息交じりで対応に追われている。【米田堅持】

 松前小島灯台は1923年10月に初点灯した。平均水面から灯火までの高さは23メートルで、レンズからの光は約33キロ先まで届く。当初は灯台守と呼ばれる職員が常駐したが、75年に無人化された。戦争で灯台が攻撃目標となった時期を除けば、灯台が人為的に破壊されたり中の物品が盗難に遭ったりすることはなかった。「陸上で信号機を盗む人はいない。灯台は地元にとって必要な施設で、盗難や破壊されることを考えたことはなかった」と担当者は困惑を隠せない。
 松前小島灯台の施設からなくなっていたのは、携帯発電機(時価15万円)▽冷蔵庫(同1万5000円)▽ガスコンロ(同3000円)▽10キロのガスボンベ(同1万円)▽石油ストーブ(同1500円)▽ポリタンク4個(同2000円)ーーのほか、工具の入った工具箱(同1000円)やプラスチック製の箱2個(同1000円)といった生活に密着したものが多い。近くには外された太陽電池モジュール4基(同480万円)もあり、破壊された鍵(同1万500円)などと合わせ、被害総額は約500万円に上る。
 1基につき6枚の太陽光パネルを組み合わせた太陽電池モジュールは、縦117センチ、横194センチ、厚さ3.5センチと畳より一回り大きく、重さは約30キロ。1人で持ち歩くのは困難だ。「鍵は特注したもので工具がなければ壊せない。なぜ、こんなひどいことをするのか。太陽電池モジュールはどうするつもりだったのか」と、担当者のあきれとも憤りともつかない言葉が続く。
 台風など自然災害による修繕費はもともと予算に組まれているが、人為的な破壊は想定しておらず「予算外」の被害。太陽電池モジュールは全部で168基設置されており、灯台は通常通り稼働しているものの、人命に関わる施設だけに、早期に復旧すべく関係機関と調整を始めている。「太陽電池モジュールが使えれば被害は少なく済むのだが……」。外されたモジュールが使用可能かどうかは、再び接続してみないと分からないという。
 人為的に破壊されて灯台の機能に影響が出た例としては、96年12月にアジア系の密航者が鹿児島県トカラ列島の臥蛇(がじゃ)島灯台に潜伏し、鹿児島航路標識事務所に消灯警告信号が送られたケースがある。この時は、現地を見回った同事務所の職員が密航者を確認し、巡視船が向かう騒ぎとなった。また、同年4月には長崎県男女群島にある女島(めしま)灯台に中国漁船の乗組員が上陸し、灯台守たちからの通報を受けて急行した巡視船が男女6人を不法入国で緊急逮捕している。しかし、いずれも松前小島灯台ほどの被害を受けることはなかった。
 女島灯台を最後に灯台守が姿を消してから今年で11年。灯台守たちにかかる負担が大きすぎることから、数十年かけて無人化されてきた経緯を考えると、灯台を再び有人化するのは難しい。松前小島灯台のような無人島にある灯台は全国に100基以上あり、すべてに対して早期に大がかりな対策を施すのも困難だ。担当者は「センサーなど新たな装置を入れたら、それに見合う電力を確保するために太陽電池などを追加設置しなければならない。衛星回線を使わないと通信できない場所も多く、管理を強化しようにも、予算と人員には限界がある」と頭を抱えている。


【日本人なら忘れてはいけない「特殊工作員による拉致」という「侵略」】

【大韓航空機爆破30年】実行犯の金賢姫元工作員インタビュー 「めぐみさんは金正日一家の秘密を知ってしまった」

産経新聞

【ソウル=桜井紀雄】乗客乗員115人を乗せた大韓航空機が1987年に爆破されたテロ事件から平成291129日で30年となる。実行犯の金(キム)賢姫(ヒョンヒ)元工作員(55)が韓国国内で産経新聞のインタビューに応じた。金元工作員は拉致被害者の横田めぐみさん(53)について、生存情報を確認したとして「生きている」と強調。めぐみさんが金(キム)正日(ジョンイル)一家の日本語教師を務めるなど、金一家の秘密を知ったことが、北朝鮮が帰国させない最大の理由だとする見方を明らかにした。
 金元工作員は1984年6月ごろ、同僚工作員の日本語教育係だっためぐみさんと一度面会したことがある。テロ事件前には、帰国した拉致被害者の蓮池祐木子さん(61)と写った妊娠しためぐみさんの写真を目にし、その後、韓国人拉致被害者の夫との間に女児を出産したと聞いたという。

 北朝鮮がめぐみさんの死亡を主張していることについては、工作員教育に関わったことに加え、「公開しては困る秘密を知ってしまったからだ」だとし、「一番は金正日一家との関わりだ」との見方を示した。めぐみさんは離婚後に一家の日本語教師を担っていたとの情報を得たともしているが、詳細は「分からない」という。金正恩(ジョンウン)朝鮮労働党委員長が幼少時に日本語を学んでいたことから、金一家の子供たちが対象だった可能性もある。

 わずか13歳のめぐみさんを拉致した理由については、北朝鮮は当初、外国人を「金日成(イルソン)革命戦士」に教育し、工作に活用する目的だったが、欧州で失敗し、工作員教育係などに目的が変わったと説明した。

 米政府が北朝鮮をテロ支援国家に再指定したことに関連し、後ろ盾だった中国も現在、国連制裁に参加しており、経済的に「長くは維持できず、5年たてば変化をみせる」と予測。金委員長が核・ミサイル開発にこだわる理由は「米国と交渉し、平和協定を結んで在韓米軍を撤退させた後、韓国を(社会主義体制下に)赤化統一することが最終目的だ」と指摘した。

 北朝鮮に残された両親ら家族について、事件直後に平壌から追放され、死亡したと最近、脱北者から聞いたことも明らかにした。
 金元工作員の長男は高校生、長女は中学生に成長。共に学校では第2外国語として日本語を習い、日本にハマっているという。長男は日本のゲームやアニメ映画「君の名は。」に夢中になり、「ただいま」や「ごちそうさま」と日本語であいさつする、と明らかにした。

《維新嵐》しかしこの話をみるにつけ、北朝鮮の非人道性が痛いほどわかりますね。人権もくそもあったものではありません。人の人生を何だと思っているんでしょう。拉致問題の解決は、今の北朝鮮の政治体制をしきる金正恩政権、金政権体制が転換、つまり崩壊しなければ解決はできないかもしれません。国外へ出られると現政権に都合の悪い情報がでるから横田さんは死亡扱いにされているわけです。逆にみれば、横田めぐみさんをはじめ拉致被害者を救出し、そこから得られたインテリジェンスこそが北朝鮮の政権転換の鍵といえるでしょう。軍事攻撃が万能な特効薬ではないかと思います。

【動画リンク】

横田めぐみの現在【2017】真実や生存の可能性!金正恩の実母なの?

アニメ「めぐみ」

【動画】

横田めぐみの現在【2017】真実や生存の可能性!金正恩の実母なの? https://www.bing.com/videos/search?q=%e6%a8%aa%e7%94%b0%e3%82%81%e3%81%90%e3%81%bf%e5%8b%95%e7%94%bb&qpvt=%e6%a8%aa%e7%94%b0%e3%82%81%e3%81%90%e3%81%bf%e5%8b%95%e7%94%bb&view=detail&mid=B4804709C23F5E07F122B4804709C23F5E07F122&FORM=VRDGAR  
https://www.bing.com/videos/search?q=%e6%a8%aa%e7%94%b0%e3%82%81%e3%81%90%e3%81%bf%e5%8b%95%e7%94%bb&qpvt=%e6%a8%aa%e7%94%b0%e3%82%81%e3%81%90%e3%81%bf%e5%8b%95%e7%94%bb&view=detail&mid=A0EB3A59D7722252EFEDA0EB3A59D7722252EFED&rvsmid=B4804709C23F5E07F122B4804709C23F5E07F122&FORM=VDRVRV  
横田めぐみは、北朝鮮で何と呼ばれていたのか? 
https://www.youtube.com/watch?v=aBgN_aET3jI  
北朝鮮が横田めぐみさんら拉致被害者を返さない理由【金賢姫(キム・ヒョンヒ)】 https://www.youtube.com/watch?v=5mmGDmXLNLs

日本人や韓国人の拉致は、北朝鮮による「国家主権の侵害=侵略」です。朝鮮戦争で半島を赤化統一できなかった北朝鮮からすれば、韓国もアメリカ軍の後方兵站基地となっていた日本は「敵国」であったのです。
我が国は朝鮮戦争に掃海部隊を送り込んで機雷掃海活動に活躍していますから、連合国の側として北朝鮮からみれば敵国なんです。
邦人を拉致されたままにして十分な解決をみなければ、我が国は北朝鮮に侵略されたままになっており、彼らの国家的暴力に敗北した、という形になるのです。
邦人拉致を全面的に解決することは、北朝鮮の特殊工作の失敗を彼らに認めさせることになり、我が国が北朝鮮に「完全勝利」したということになります。拉致の問題は政治的な意味と無関係ではないのです。

拉致被害者の家族の高齢化が問題になり、実際に逝去される方もみえますが、拉致された邦人のみなさんも高齢化しているのです。望郷の思いに苛まれながら北朝鮮で亡くなられた方もいます。拉致された時に13歳だった横田めぐみさんが現在50歳をすぎています。

拉致被害者やそのご家族が亡くなられたから邦人拉致の問題は終わりではありませんが、人としてご生存されているうちに別れ別れになっているご家族のみなさんがまたもう一度再会して一緒に暮らせるようにしてあげたい、という思いは、生きているうちしか成し遂げられません。だから日本人が一丸となって、この問題を風化させず、解決=金王朝体制打倒のために妥協してはいけないのです。
 
小泉内閣の下での拉致被害者5人とその家族の帰国は確かに拉致問題解決へむけて大きな大きな前進でしたが、まだ終わりではありません。あの時の帰国もはじめから日朝で決められたことではありませんでした。拉致被害者5人が帰国してから、自らが身体を決めた末の結果なのです。しかし拉致問題解決の方法の一つは達成されました。
 
北朝鮮への完全勝利をめざして、政府も国民も「挙国一致」で立ち向かいましょう!
核兵器でなくても軍事攻撃でなくても北朝鮮の現体制は打倒できます。インテリジェンスこそが彼らに勝利できる鍵なのではないでしょうか?






日本のミサイル装備とサイバー戦略 ~付編アジア情勢~

米国から買うより日本で造るべき長距離巡航ミサイル

兵器や装備を生み出す力も国防力の重要な要素
北村淳
航空自衛隊が調達を予定しているF-35Aステルス戦闘機(出所:航空自衛隊)

 日本国防当局は、航空自衛隊の戦闘機から発射する長距離対艦巡航ミサイルを導入することを発表した。ミサイルの種類としては、空自で調達が開始されている最新鋭F-35Aステルス戦闘機に搭載する「JSM」(ノルウェー、コングスベルグ社製)、空自の現主力戦闘機F-15Jを改装して搭載可能な「JASSM-ER」「LRASM」(共にアメリカ、ロッキード・マーチン社製)がリストアップされている。
方向性は島嶼国家防衛の鉄則に合致している
 小野寺五典防衛大臣によると、「海上自衛隊艦艇を攻撃しようとする敵艦艇を、敵のミサイル射程圏外から、空自戦闘機が発射する長距離巡航ミサイルで攻撃することが可能となる。とりわけ北朝鮮の弾道ミサイル防衛に従事するイージス駆逐艦を防御するために、この種の長射程ミサイルの導入は不可欠である」という。

アメリカ空軍機によりテスト中の「JSM」(オレンジ色のミサイル、写真・米空軍)   
たしかに、現在空自が保有している空対艦ミサイル(93式)、海上自衛隊が保有している艦対艦ミサイル(90式)、そして陸上自衛隊が保有している地対艦ミサイル(88式、12式)はいずれも最大射程距離が200キロメートル以下であり、中国海軍の最新式艦対艦ミサイルや艦対空ミサイル、それに対地攻撃ミサイルの射程圏外から、中国艦隊を攻撃することはできない。
 それらの現有対艦ミサイルと違い、JSMの最大射程は500キロメートル、JASSM-ERの最大射程は930キロメートル、そしてLRASMの最大射程は560キロメートルであり、最大射程400キロメートルの対艦ミサイルを装備している中国海軍艦艇と海上自衛隊が戦闘を交える際に、中国艦艇の攻撃射程圏外から中国艦艇を攻撃することが可能となる。このようなスタンドオフ対艦ミサイルを装備することによって、海上自衛隊艦艇の防御が強化されることは間違いない。ただし、「北朝鮮の弾道ミサイル防衛に従事する海自イージス駆逐艦を防御するために、スタンドオフ対艦ミサイルが必要」という説明は意味不明であり説得力に欠ける。なぜなら、北朝鮮の弾道ミサイルは、アメリカが北朝鮮に先制攻撃を加えない限り、日本に対して撃ち込まれることはあり得ない。すなわち、上記の説明は、北朝鮮を中国軍が支援して日本と戦闘を交える状況にしか該当しないからだ。
 だが、このおかしな説明部分には目をつぶれば、「日本に軍事侵攻を企てる中国艦艇や航空機が装備する各種巡航ミサイル(対地、対艦、対空)の射程圏よりも長射程の巡航ミサイルを手にする」という方針は、「敵海洋戦力を日本の領域からできる限り遠方で撃退し、日本領域に寄せ付けない」という島嶼国家として遵守すべき原則に合致した正しい国防方針ということができる。
日本にも造り出す能力はある
 しかし、国防当局の姿勢には大きな疑問も付きまとう。なぜ、その方針を実施するための道具を外国から調達するのかという疑問である。
 小野寺大臣が公言しているように、海自艦艇の作戦行動の安全性を確保するのが、JSMJASSM-ERLRASMを輸入する目的であるならば、敵のミサイル射程圏外から敵艦艇を攻撃可能なスタンドオフ対艦ミサイルを日本自身が開発して調達すればよいのである。
もちろん、日本にそのような長射程巡航ミサイルを開発する技術力が存在しなければ輸入に頼らざるを得ない。しかし、上記の射程距離200キロメートル以下の各種対艦ミサイルはそれぞれ射程距離や精度の向上が図られており、政府がゴーサインを出せば、技術的には中国海軍に対するスタンドオフ対艦ミサイルを開発する技術力・製造能力を日本は保有している。
実戦配備まで時間がかかりすぎる
 また、「日本周辺、東シナ海、そして南シナ海の軍事情勢は緊迫の度合いが急激に高まっており、一刻も早く長射程対艦巡航ミサイルを手にする必要がある。日本独自の各種長射程対艦ミサイルの開発を待っていたのでは遅いため、JSMJASSM-ERLRSAMを輸入する」というのであれば、それも理に合わない。なぜならば、それらの外国製スタンドオフ対艦ミサイルの実戦配備が可能になるのは、どんなに早くとも45年は待たなければならないからだ。
 ノルウェーのコングスベルグ社が開発中のJSMが作戦運用可能になるのは2025年とされている。また、それを搭載する空自の新鋭F-35A戦闘機も、2021年以降に予定されているバージョンアップを経なければJSMを搭載することができない。JSM同様、ロッキード・マーチン社が開発中のLRSAMが実戦配備が開始されるのも数年後からである。当然ながら、アメリカ空軍から調達配備が開始されるため、空自が手にするにはさらに年月がかかることになる。
 JASSM-ER(米国内での調達価格は11359000ドル)は既に実戦配備されている。しかし、JASSM-ERを搭載する予定の空自のF-15J戦闘機は、敵戦闘機との戦闘を想定して設計されている。そのため、艦艇や地上目標を攻撃するためのF-15E戦闘爆撃機に相当する能力を持たせるように大改装しなければ、JASSM-ERを運用することはできない。このような大改修を多数の戦闘機に施すには、かなりの年月と莫大な費用がかかる。つまり現在実戦配備中のJASSM-ERといえども、空自が実戦配備するまでには数年は必要となる。
要するに、「国産の各種対艦ミサイルの射程を延長させてスタンドオフ対艦ミサイルを生み出すには時間がかかるため、手っ取り早く実戦配備するために海外から輸入する」という理由には説得力がないのである。アメリカやノルウェーからスタンドオフ対艦ミサイルを調達して、空自に実戦配備されるまで45年近く、あるいはそれ以上も年月を要するのであるならば、むしろ日本自身が現有の対艦ミサイル技術を基にしてスタンドオフ対艦ミサイルを生み出した方がはるかに早く配備でき理にかなっている。
兵器の安易な海外依存は危険
 兵器や防衛装備を外国製に依存しているのは、食料や飲料水を海外に依存しているのと類似している。もし、供給国の都合で重要部品などの供給がストップした場合、それらの輸入兵器は使用できなくなってしまう。
 今回のスタンドオフ対艦ミサイルを海外から調達するという発想に限らず、日本政府は、主要兵器や各種装備を安易に輸入(それも主としてアメリカから)に頼ろうとする傾向が強すぎる(参照:本コラム「不可解極まりない『時代遅れのAAV-7』大量購入」)。
 そもそも、国防力とは、軍隊の規模や能力だけでなく、兵器や装備を生み出す力も重要な要素であることを日本国防当局は失念しているのではなかろうか?
 日本自身が生み出す技術力の製造能力を保有している兵器や防衛装備に関しては、国際常識に合致させて、極力日本自身の努力によって造り出さねばならない。日本政府は、スタンドオフ対艦ミサイル導入という正しい政策を実現させるために、安易に外国製ミサイルを輸入するという誤った手段を撤回する必要がある。



《維新嵐》まず長距離巡航ミサイル導入配備を決断したことに前向きな評価をしたいと思います。クラスター爆弾を自ら廃止してしまった愚により低下したであろう対地攻撃能力を向上させることになるはずです。また対艦攻撃、とりわけ共産中国が保有する空母への威嚇に十分効果を発揮していくのではないでしょうか?
国産の方が配備に融通がきくのは間違いないところでしょうが、我が国が巡航ミサイルを配備することは過去に例のないことを考えると巡航ミサイル購入にあわせて、運用するノウハウというソフトウェアを学ぶことも不可欠となる。まずは外国製を購入がベターかとは思います。

どちらかといえば↓の方が早急な対策ではないでしょうか?
予算以上に早急な国防対策といえるでしょう。

「サイバー防衛局」見送りへ、新設の余地乏

しく官邸が難色か 

「攻撃で大規模交通事故も」と疑問の声
政府が総務省の要望していたサイバーセキュリティー専門局の新設を見送る方向で最終調整に入ったことが201712月9日、分かった。モノのインターネット(IoT)時代の到来でサイバー攻撃の危険性の増大が懸念され、総務省は省庁で初のセキュリティー専門局を新設して対策を強化する考えだった。だが、政府全体の局数が法律で定められており新設の余地が乏しいことなどから、官邸が難色を示しているという。
 北朝鮮などからのサイバー攻撃リスクも高まる中、局の新設を見送り対策がおろそかになれば、政府の姿勢が問われることにもなりかねない。
 総務省が新設を目指す「情報セキュリティ政策局」は、これまでの課から局に格上げし、人員拡充を図るなど体制を整備して、政府全体のサイバー攻撃対策を強化するためのものだ。総務省は、さまざまな機器がインターネットにつながるIoT時代では、想定していなかったような大規模なサイバー攻撃が起きる恐れがあるとみている。


局新設の構想は高市早苗前総務相が掲げて、野田聖子総務相が引き継いだ。総務省は8月末に平成30年度の機構・定員要求で新設を求め、官邸と調整を進めてきた。「高市氏は麻生太郎財務相や菅義偉官房長官とも今年4月から交渉を進めてきた。麻生氏から内諾を得ていたようだ」(総務省関係者)。しかし、政府全体の局の定数が残り2つしかないことなどを理由に官邸は、新設を見送る方針を示してきたという。局の定数は国家行政組織法で97と定められており、現在の局数は95に達している。官邸は代案として、総務省のサイバーセキュリティー担当の政策統括官の下に参事官を増員するなどの体制強化を検討しているという。
 サイバー攻撃に詳しい政府関係者は「例えば準天頂衛星の『みちびき』が攻撃を受けると滑走路や道路などの誤情報を流せる。そうなれば飛行機や自動車の大規模な事故も起き得る。対策の強化は急務だ」と見送り方針を疑問視している。

《維新嵐》総務省の傘下組織、天下り組織というのが気に入らないです。官邸サイドもそれを気にしたのかもしれません。サイバー防衛戦略は官邸、内閣府に集約させるべきでしょう。内閣に情報局をたちあげて防衛省のサイバー防衛隊を実行部隊としたSIGINTセクションとするのがよいかと思います。省庁のサイバー戦略を横断的にまとめあげ内閣府で一括的に運用する、国のサイバー戦略をふくめたSIGINTの戦略は、内閣府が政治主導する形でなければ、無意味な官僚利権として天下り機関となり有名無実化することは明白です。そうなったら予算をドブに捨てるようなものです。SIGINTの戦略は、自衛隊の国防と同じくらい重要な意味をもちますから、官僚の利権のダシにされることはあってはなりません。


【アジア情勢を概観】

米中の勢力は、いまだ米優位
米国がもつ「4つのエース・カード」

岡崎研究所
 米ハーバードのジョゼフ・ナイ教授が、2017113日付け英フィナンシャル・タイムズ紙に寄稿した論説で、米国は地政学、貿易、エネルギー、通貨の分野で大きな優位を維持しており、対中国優位は現政権下でも変わらないと、パックス・シニカ論に反駁しています。要旨は次の通りです。

先の中国共産党大会により習近平は新たな皇帝になったと言う人もいる。習近平は中国を「偉大で強力な」大国だと呼び、一帯一路構想を売り込んだ。
 米国は嘗て世界最大の貿易国、二国間資金貸付国だった。今日100以上の国にとり最大の貿易相手国は中国である(米国が最大の貿易相手国となっている国は57)。中国はインフラ投資に向こう10年間に1兆ドルを貸し付ける計画だ。しかし、米国は衰退し中国が地政学上のゲームに勝っていると言う論者は正しいのだろうか。
 米中が持つカードを見れば、米国に賭けた方が得だということが分かる。米国には四つのエース・カードがある。第一のエース・カードは地政学である。トランプはNAFTA敵対という間違った政策を取っているものの、米国は大洋と親米の隣国に囲まれている。中国は14の国と国境を接し、そのソフト・パワーにとりマイナスとなるインド、日本、ベトナムとの領土紛争を抱えている。
 次のカードはエネルギーである。嘗て米国はエネルギー輸入国だった。しかしシェール革命のお陰でエネルギー輸出国になり、IEAは北米が向こう10年の間にエネルギー自給を達成するとの見通しを出している。他方で中国は中東依存を高めている。輸入石油は米国が海軍プレゼンスを維持する南シナ海を通らねばならない。この脆弱性を克服する方策は三つしかない。供給ルート確保のために米国との海軍対立を回避するか、ロシアからの天然ガス依存を高めるか、化石燃料から再生エネルギーに転換し内燃機関を禁止するかである。中国は第二と第三の選択肢を追求しようとしているが、脆弱性克服には何十年と掛かるだろう。
 第三のカードは貿易である。高いレベルの経済相互依存は、米国を中国との「相互経済確証破壊」の関係において慎重にさせるが、その慎重さが失われた場合、中国の依存度の方が大きく米国より失うものが大きくなる。ランド研究所によれば太平洋で非核の戦争になった場合米はGDP5%を失うが、中国はGDP25%を失うと算定している。
 最後のエース・カードは米ドルである。世界で人民元による外貨準備はたったの1.1%にすぎない(64%が米ドルで保有)。1年前に人民元はIMFの特別引出権(SDR)基準通貨の第五の通貨となり、多くの者はこれで人民元が米ドルにとって代わる始まりだと述べた。しかし、実際には人民元による国際決済は2015年の2.8%から現在では1.9%に縮小している。信頼できる準備通貨になるためには十分な資本市場や正直な政府、法の支配が必要であり、中国はそれらすべてを欠いている。
 強いカードも向こう見ずなプレイヤーによりプレイを間違うことがある。しかしこれら四つのエース・カードはトランプ政権下でも失われずその後も続くだろう。パックス・シニカの到来と米国時代の終わりを主張する者はこれらのパワーの要素を良く勘案すべきだ。
出典:Joseph Nye,‘America still holds the aces in its poker game with China’Financial Times, November 3, 2017
https://www.ft.com/content/80961dbc-bfc5-11e7-823b-ed31693349d3
ナイは、米国衰退論に一貫して反駁してきました。米国は地政学、貿易経済、エネルギー、通貨の分野で大きな対中優位を持っていると主張しています。中国がエネルギーの脆弱性を克服する方策は、南シナ海での米海軍との対立を止めるか、ロシアの天然ガスに依存するか、再生エネルギーへの転換と石油内燃エンジンの禁止をするか、三つしかないとの議論は興味深いです。
 論説からは、トランプに批判的なナイの姿勢も行間に窺われます。
 ナイの議論には、基本的に同意できます。米国衰退論は、多分にジャーナリスティックなものです。過剰な自信を持った中国が、頻りに米国衰退論を述べ始めたことに多くの米国人は反発しました。しかし、数点指摘しておきたいことがあります。
 第一に、米国のパワーの優位は変わっていませんが、日欧や中国等との「相対的な優位」の幅は縮小してきています。その意味で、米国が政策を誤らずに、経済力、技術力などを強化していくことが重要です。例えば、米外交問題評議会のリチャード・ハース会長等は、強い外交には先ず国内を強くすることから始めるべきだと議論しています。
 第二に、ナイの四つのエース・カードに追加するとすれば、米国のリベラル・デモクラシーという価値(文化)でしょう。これこそが中国の最大の脆弱性です。中国は、民主主義や国際協調といった価値や文化を欠いています。一部の国は中国の資本が欲しいため、あるいは中国の強圧のためにその影響下に入るかもしれませんが、利益の合致は一定限度の緊密な関係の基盤になりうるとしても、信頼に基づく真のパートナーシップにはならないでしょう。この点で中国が変わらなければ、中国は真に指導的な大国にはなれないでしょう。
 第三に、米国が世界から撤退すると「役割の空白」が生じます。米国がその方向に進まないよう同盟国等が影響力を行使することが重要です。この点がトランプ政権発足当初に強く懸念されましたが、その後トランプが世界と一定のエンゲージメントをしていることは、ともかく救いです。
 しかし、貿易に関するトランプ政権への不安は解消されていません。トランプは11月の訪日の間も二国間の貿易不均衡が問題だと述べ、相互主義を強調する等、時代錯誤的な国際貿易観は変わっていません。
 第四に、習近平外交の目玉である一帯一路政策の先行きは未だ分かりません。この構想には、増える外貨をリサイクルせねば経済が回らないという防御的な側面もあります。またインフラ事業はAIIB等中国の借款で賄われますが、それは過度の中国依存や返済焦げ付きの問題を引き起こしかねません。

ジョセフ・ナイ『中国に優しい地政学』
奥山真司の地政学

共産中国をめぐる問題は存在します。完全無欠な国家経営はありません。共産中国が現体制のままで世界の覇権を掌握することは、遠すぎる道のりでしょう。

軍の改革を進めてきた習近平が抱える問題

岡崎研究所
米国在住華人によって運営されている中国情報ウェブサイト多維新聞のライターである穆堯が、1025日付けの論説で、新しく選出された中国共産党中央軍事委員会について分析しています。要旨は次の通りです。

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 20171025日、中国共産党の新しい最高指導部と同時に、中央軍事委員会の構成も決定された。観察者にとって意外だったのは、委員の数が増えるどころか減少し、陸軍、海軍、空軍、ロケット軍、戦略支援部隊のトップが委員にならず、江沢民時代の7人体制に戻ったことである。
 新しい軍事委員会において、副主席は2名のままで、許其亮と張又侠が就任した。許其亮は空軍出身で、第18回党大会(2012年)で次席副主席として軍事委員会に入った。ここ5年間、許は習近平に重用され、中央軍事委員会の巡視工作領導小組組長を務め、習近平の権威を高めるのに貢献した他、2015年末に進められた大規模な軍改革においても中央軍改革領導小組常務副組長を務め、実質的な執行者として活動した。今回、筆頭副主席だった范長龍が定年退職し、許がその後を継いだ。
 張又侠は建国時の上将張宗遜の息子であり、「紅二代」だ(宮本注:習近平とは父親同士が同郷の戦友)。第18回党大会前、副主席の最有力候補と思われていたが、郭伯雄、徐才厚などの影響力、様々な利害関係のために、総装備部部長として序列末尾の委員に就任するに留まった経緯がある。張又侠は軍の中でも数少ない実戦経験を持つ軍人だ(1979年の中越戦争やその後の1984年の中越軍事衝突に参加)。張又侠は副主席として軍の訓練を担当すると思われる。
 前ロケット軍司令員の魏鳳和は副主席への昇格は叶わなかったものの、委員には留任した。委員の筆頭にあることから推測して、来年の全人代で国防部長に就任するものと思われる。国防部長は軍事外交を担当し、実権のない名誉職と言えなくもないが、1993年以来、総参謀部長と総装備部長が交替で就任してきた。今回の党大会前には、統合参謀部参謀長の房峰輝が国防部長になると思われたが、党大会代表の名簿にも掲載されず、摘発されて調査を受けていると報じられた。この状況での魏鳳和の国防部長就任は順当であろう。
 他の3名の委員はそれぞれ聯合参謀部参謀長の李作成、政治工作部主任の苗華、中央軍事委員会規律検査委員会書記の張升民だ。これらの人選も順当である。聯合参謀部と政治工作部はもともと「半レベル高い」総参謀部と総政治部の直接的な後継組織であり、その責任者が軍事委員会に入るのは自然である。中央軍事委員会規律検査委員会書記が軍事委員になるのも当然だ。習近平政権の五年の間、もっとも目立った活動は反腐敗であり、軍内においても例外ではない。その中心となった規律検査委員会の地位は向上している。2015年の軍改革で規律検査委員会が政治工作部と分離し、格上げされたことで、権限が拡大した。
 第19期中央軍事委員会の構成は完全に変更され、胡錦濤時代の四総部(総参謀部、総政治部、総装備部、総後勤部)及び各軍種の責任者が軍事委員会入りする伝統は放棄され、江沢民時代の構成に戻った。規模は11人から7人に縮小された。五大戦区、五大軍種及び軍事委員会に属するその他の組織の責任者はもはや中央軍事委員会に入れないことがわかった。この変化は、部門利益によって軍事委員会主席の権限が弱体化することを抑止し、軍事委員会の意思決定機能を強化するであろう。
出典:中央委大瘦身 重返江期体制(多維新聞, October 25, 2017
http://news.dwnews.com/china/news/2017-10-25/60019657.html
今回の中央軍事委員会の人事は、習近平による人民解放軍改革の一つの集大成を示しています。習近平の軍改革は、軍令は基本的に制服に残しつつ、軍政(人事と管理)は中央軍事委員会に集中させるものでした。陸軍中心の8大軍区を、統合作戦を可能とする5大戦区に改変し、4総部体制も15機関体制に変え、個々の組織の力を削ぎました。腐敗体質を改め、現代戦を戦えるようにする軍の大改革でした。人事も急速に進め、自分の息のかかった人物を多く登用しました。中央軍事委員会の6人の制服組の内分けは、陸3、ロケット2、空1となりましたが、もはや誰も正面から習にノーと言える人物はいません。
 習近平は、党中央の核心となり、人民解放軍の最高統帥となり、ついに習近平思想が党規約に盛り込まれました。中央軍事委員会も、政治局常務委員会と同様、もはや胡錦濤時代のように多数決で物事が決められることはありません。人民解放軍についても名実ともに習近平の軍隊になったと言うことができます。
 しかし、党全体に対する習近平の権力集中により生じる問題と同じ問題が、軍においても起こり得ます。例えば、中国専門家で米クレアモント・マッケナ大学教授のMinxin Peiは、Foreign Affairs誌のウェブサイトに111日付けで掲載された’China’s Return to Strongman Rule-The Meaning of Xi Jiping’s Power Grab`と題する一文で、「習に対する党の抵抗は官僚機構から起こり、それは権益ネットワークの再構築を習が許さない限り、官僚機構の忠誠心は去る(という形をとる)」と言っています。そして「官僚たちは、上の政策の実施をサボタージュすることになり、その結果、経済がスローダウンすれば習の権威もたちどころに失われることを官僚たちは知っている」と言います。これは、適切な観察と言ってよいでしょう。
 人民解放軍においても、この「権益のネットワーク」をどう処理するのかという問題があります。「戦い、勝つ」軍隊にするためには、動機付けが不可欠ですが、高邁な理念や「夢」で動く人の割合は世界中どこでも多くはありません。金銭的な動機付けが激減した分だけ対外強硬路線で埋め合わせる、などということだけは勘弁願いたいものです。