2017年8月20日日曜日

自衛隊の「国防軍化」を阻むものとは何か?

自衛隊は「情報開示請求のできる行政組織」であり、軍事組織ではない
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e8%87%aa%e8%a1%9b%e9%9a%8a%e3%81%af%e3%80%8c%e6%83%85%e5%a0%b1%e9%96%8b%e7%a4%ba%e8%ab%8b%e6%b1%82%e3%81%ae%e3%81%a7%e3%81%8d%e3%82%8b%e8%a1%8c%e6%94%bf%e7%b5%84%e7%b9%94%e3%80%8d%e3%81%a7%e3%81%82%e3%82%8a%e3%80%81%e8%bb%8d%e4%ba%8b%e7%b5%84%e7%b9%94%e3%81%a7%e3%81%af%e3%81%aa%e3%81%84/ar-AAqj6Hn?ocid=spartandhp#page=2
日刊SPA

◆「自衛隊ができない10のこと10

 先般、稲田(元)防衛大臣がPKOの日報開示請求の対応で責任を問われ、陸幕長、事務次官などとともに辞任しました。(平成29年)世界の安全保障の常識から考えればPKOの活動で戦闘行為があったかどうかが問題とされることがすでに異常なのですが、自衛隊は「軍(軍のようなもの)」に見えたとしても、国内法でその組織は一般の「行政組織」です。悲しいことですが、自衛隊は「軍のような外見」をしていても決して「軍事組織」ではないということが今回の日報開示問題ではっきりしたと思います。

 やはり、「陸海空その他の戦力はこれを保持しない」と日本国憲法9条に明記されている状況で、「軍事組織をつくってはならない」というルールの下に作られた組織では「軍事組織」が持つべき重要な秘密保持の仕組みは持てなかったわけです。

 それでも自衛隊は以下のとおり軍としての体裁をととのえていますから、国際法上は「軍」として扱われます。

①遠方から識別可能な固有の徽章を着用していること(固有の軍服を着用)

②武器は外から見えるように携行すること

③団体の場合は、必ず指揮者つまり責任者がいること

④その動作において、戦争法規を遵守していること

 これがハーグ陸戦条約で規定されている交戦者の資格とされています。この要件をそろえている自衛隊は海外の他の軍から見たときは「軍」です。しかし、日本国内の自衛隊の取り扱いは、あくまでも他の省庁と同じ行政組織の一つなのです。
 これは非常に深刻な問題です。

 意外かもしれませんが、自衛隊にはすさまじい数のデスクワークが存在します。特殊車両を動かすためには道路を通る特別な許可が必要ですし、航空機が偵察やスクランブルなどの行動を起こすときも飛行計画を出しています。危険物取扱、消防法などなど無数の法律の規制に対し、他の行政組織と同じように手続きをして許可を得て行動しています。つまり、自衛隊の行動は無数の書類に縛られ追い回されているのです。ゆえに、他の行政組織と同じように法律の手続きに不備があれば行動ができなくなります。これは防衛出動時や治安維持活動の場合でも変わりません。さらに、近年では民事訴訟というリスクに対応するため、その行動の裏付けとなる証拠書類を準備し、記録を改ざんできないよう整理保管するようになっています。イザという時にマスコミや政府に説明するための記録を徹底的にとるのです。

 情報開示請求の根拠となる情報公開法は「省庁等行政機関の保有する文章等の情報はすべて開示すべき」という発想で作られています。20141210日に特定秘密保護法が施行されましたが、この法律で保護されるのは潜水艦や衛星写真などの最も機密とされる情報のほんの一部のみです。「軍」ならばその行動予定だけでなく、行動記録などを含めもっと広い範囲での秘密保持ができなければ作戦行動に支障をきたします。そもそも、防衛や外交など機微に渡る文書は原則非公開にするべきと国際社会では考えられています。何十年か後に然るべき手続きを経て、防衛外交上の文書は再度公開すべきかどうかを検討するというような方法が世界のスタンダードです。

 つまり、秘密保持よりも透明性と国民への説明責任の方が重視される組織なのです。防衛省(自衛隊)は軍事組織とは全く違う仕組みで動いているのです。
 問題が起こったときに事態を説明するための膨大な記録を残していく必要があるのは自衛隊が行政組織だからです。それゆえに詳細な情報が書類として蓄積されていることも明らかになりました。さらに、自衛隊の行動記録が知りたければ開示請求すればその情報が入手できることも世界中に報道されました。また、その開示方法や開示内容に不備があれば、軍事組織のトップ、陸上幕僚長や防衛大臣を即座に辞任させてしまえる脆さも明るみになりました。

 また、軍事組織上ではありえない統率力の弱さも今回の件ではっきりしました。内部からのリークで指揮官の足が掬われることは、軍事組織ではあってはならないことですが、行政組織である防衛省(自衛隊)では上官の命令は絶対ではないのです。

© SPA! 提供 日刊SPA


 (自衛隊の弱点)敵対する側から見れば、防衛省(自衛隊)が容易に部下からのリークや情報漏えいを許す組織であり、日報の有無という程度の瑣末な問題で大臣や陸幕長などの軍のトップを簡単に辞任に追い込めるひ弱な組織だと知る重要な出来事だったはずです。この軍事的な大失態を日本人だけが気づかなかったようです。

「これまで自衛隊は憲法違反と言われ、平和な日本には不要の税金泥棒であるとマスコミや世論に叩かれ続けてきました。その経験で“世間にとやかく言われないように”と過剰に反応するようになっているのです。我々には自衛隊員というだけで石を投げられた悲しい歴史があります」。自衛官OBJさんが日報問題について話してくれました。
「だから、世論に叩かれないように大量の書類を作って報告させる傾向が強くなり、書類がなければ安心しない上官が存在し、外部からの開示請求も書類があるので可能になるという悪循環が生まれます。結果、その書類作成に手間と時間をとられて訓練の時間が取れなくなる。それでは本末転倒です」

 防衛省には様々な情報開示請求が舞い込みます。そのたびに詳細なレポートを作成し開示の可否を審査するという対応が求められます。その審査にかかわる作業は「軍事組織」としてではなく「行政組織」としてどうなのかという観点から判断が下されるため、ますます「軍」としてのあるべき姿や能力が損なわれていきます。現行法上これは仕方ないことなのですが、そんな防衛省に軍事的な秘密が守れるのでしょうか? 

 「開示請求を拒否できず部隊行動がバレバレになってしまう危険」に今になって自民党の一部が気づいたようですが、我が国の平和ボケはここに極まれりということなのです。

【梨恵華】

りえか。国防鬼女ジャーナリスト。「自衛官守る会」顧問。関西外語大学卒業後、報道機関などでライターとして活動。キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)を主宰

自衛隊を国防軍に変えることは現行憲法9条に違反しない。自衛戦争を行う軍隊を保持することがなぜいけないのだろうか?現行憲法は自衛戦争を否定しない、とまず内閣法制局が見解を変えるべきである。今までの軍事に関する憲法解釈がまちがってました、ごめんなさい、という勇気をもちなさい、官僚や政治家のみなさん。

自衛隊を「国防軍」にチェンジさせて何がいけないのか?
維新嵐

 現行憲法の9条の規定については、日本国が持つ武力、軍事力としての軍隊を「自衛」のための「自衛戦争」を行うための軍事力として位置付けるための条文であると解釈する方がよく理解できると思う。
 現行憲法が陸海空軍の戦力の不保持をうたっていたとしてもそれはあくまで「侵略戦争」を行うための軍事力を否定するということに過ぎず、国家の主権と独立を守るための「自衛戦争」まで否定したものではないことは、国際法の観点から理解できるのではないだろうか?
 これをあたかも侵略も自衛も戦争という名の付くものはすべて否定するなど解釈してしまうと国家が政治を行使する時の強制力として軍事力を行使できなくなってしまうことになり、独立国としての体裁をなさななくなる。国家が行使できる政治力としては軍事力と外交力は常にセットであるのが、世界的な通例であろう。
 
 このように考えていくと自衛隊を軍事組織として機能できなくさせている背景としては、現行憲法9条が元凶ではないことが理解できる。
 自衛隊を国際的にスタンダードな軍事組織として確立させないようにしている要素、国防軍として機能できなくさせている要素は、現行憲法の条文ではなく、そうさせたくない、我が国に軍事組織を持たせたくないと考えている「国民」の法解釈である。
 法律は「解釈」が重要なのである。
「集団的自衛権は保持するが、行使することはできない。」などというわけのわからない解釈を定着させて自衛隊の「国防軍化」を阻み、国民を騙し続けてきた元凶は何なのか?
 憲法改正して自衛隊を国防軍にしていく案を自民党が出した時に、顔面凍り付いてこれをつ必死になって否定した勢力がまさにその元凶なのではないのか?

 確かに機密内部文書がリークされたことで防衛大臣や陸幕長が解任される事態は異常である。田母神事件のように空幕長が民間の論文に投稿したことで辞任を強制される事態も憲法の表現の自由、思想良心の自由の侵害ではないのか?
 第二次安倍内閣が安全保障法制を国会に提出する時に、内閣法制局の長官をすげ変えてまで憲法解釈を変えたことをどうとらえるのだろうか?
 自衛隊をまともに我が国の「国防軍」としてまともに機能させるためには、まず内閣法制局の官僚や内閣を含めた政治家の法解釈がまず変わらないと実現は難しいであろう。

 財務官僚は自衛隊が嫌いで予算を切り詰めたいという意向が強いといわれるが、正式に国防軍という軍隊ができれば我が国に軍隊の利権が生まれる。そのことにより現在の政府内、とりわけ官僚の各省庁の利権が奪われるとでも思っている人たちが軍事利権は復活させまいとしていることもあるだろう。自衛隊改革の前に公務員制度改革が先なのかもしれない。
 

オスプレイの兵器装備としての信頼性は回復できるのか!?

オスプレイ墜落、米軍で重大事故多発の真因とは

「こうなることは予測されていた」の声も

北村淳
オーストラリア・シドニー沖の太平洋上を3機で編隊飛行する米海兵隊の輸送機オスプレイ。米海兵隊提供(2017629日撮影、資料写真)。(c)AFP/US MARINE CORPS/Lance Cpl. Amy PHANAFPBB News

 201785日、オーストラリア沖でオーストラリア軍と合同演習中のアメリカ海兵隊中型ティルトローター輸送機MV-22オスプレイが墜落した。搭乗していた26人中23人は救助されたが3名が死亡し、機体も失われた。
関連記事:普天間基地のMV-22B VMM-265)、豪クィーンズランド州で定期任務中に事故
配信日:2017/08/06 08:51http://flyteam.jp/airline/united-states-marine-corps/news/article/82678
VMM-265MV-22BLHD-6を発艦する様子
 アメリカ海兵隊第3海兵師団は201785()、オーストラリア・クィーンズランド州東部のショールウォーターベイの訓練エリアで16時ごろにMV-22Bオスプレイで事故が発生、搭乗していた隊員26名のうち3名の捜索、救助活動を展開していると発表しました。事故機は第31海兵遠征隊(31MEU)として派遣されていた第265海兵中型ティルトローター飛行隊(VMM-265)所属のMV-22Bで、沖縄の普天間基地に配備されている機材です。事故機は強襲揚陸艦USSボノム・リシャール(LHD-6)を発艦し、事故発生時は定期的な運用での任務中に発生し、着水したと説明されています。LHD-6に装備する小型ボートや航空機を使った捜索救助活動が直ちに行われています。31MEUは現在、ボノムリシャール遠征打撃群(BHRESG)と共にインド・アジア太平洋地域での定期的な展開任務の一環として活動、20177月は実動訓練「タリスマンセーバー17」に参加していました。
 この事故のおよそ1カ月前の2017710日(米国時間)には、米国ミシシッピ州でアメリカ海兵隊の空中給油・輸送機KC-130Tハーキュリーズが墜落し、搭乗していた16名全員が死亡した。
 連続して発生した航空機墜落死亡事故を受けてアメリカ海兵隊総司令官ネラー大将は、2017811日(米国時間)、全ての海兵隊航空部隊に対して、2週間以内に24時間の飛行停止・安全性再確認を行うよう命令を発した。
大規模な安全性の再確認作業を指示
 ネラー総司令官が発した24時間飛行停止命令は、海兵隊の航空部隊に一斉に飛行を停止させる命令ではない。2週間以内に海兵隊の全ての飛行部隊が、作戦任務(アメリカ海兵隊のドクトリンでは、海兵隊は36524時間常に戦闘に備えている)に影響が生じないよう、それぞれの航空部隊で調整して、交代で24時間の飛行停止を実施し、その間に徹底した安全性の再確認作業を実施せよ、という趣旨である。
 この種の安全性再確認のための飛行停止措置は、決して特殊な出来事ではない。ただし、特定の機種あるいは特定の部隊に対して発せられた飛行停止命令ではなく、海兵隊が運用する全ての航空機と全ての部隊に対して発せられた、極めて大規模な安全性再確認措置であるという点では異例と言えよう。
連発している「クラスAミスハップ」
 ネラー大将がこのような命令を発したのは、オーストラリア沖で3名の海兵隊員を失い、ミシシッピ州では16名もの海兵隊員を失うという死亡事故が連発したことももちろんあるが、それだけが理由ではない。ここのところ、様々な機種での「クラスAミスハップ」(いわゆる重大事故:Class A mishap)に分類される航空機事故が頻発している状況に鑑みてである。
 ちなみに、アメリカ海軍安全センターの定義によると、アメリカ海軍ならびにアメリカ海兵隊の航空機事故において、
1)死者が発生
2)永久全身障害が発生
3)航空機が全壊
4)機体に200万ドル以上の損失が発生
という4項目のうち1つ以上が生じた場合には、「クラスAミスハップ」に分類される。
 アメリカ海兵隊では、2016年と2017年だけでも18件の「クラスAミスハップ」が発生している。そのうち死者を出したのは6件に上っており、34名の海兵隊員の命が失われている。
 2016年度の海兵隊の「クラスAミスハップ」発生率は3.4210万回の飛行あたり3.42件発生)であり、2017年度の発生率はこれまでのところ4.56と跳ね上がっている。
 問題は海兵隊だけではない。アメリカ海軍安全センターによると、過去1年間(20168月から2017812日まで)の間に発生した「クラスAミスハップ」は、海軍機で13件(飛行中8件、地上5件、死者なし)、海兵隊機で11件(飛行中9件、地上2件、死者21名)となっている。アメリカ空軍でも陸軍航空部隊でも重大事故、あるいは重大事故につながりかねない深刻な故障などが多発しているのだ。(本稿執筆中にも、バーレーンでアメリカ海兵隊戦闘機が不時着し、搭乗員が緊急脱出をする事故が発生した。事故クラス分類はまだなされていない。)
強制財政削減により整備点検が不十分に
 アメリカ連邦議会下院軍事委員長のマック・ソーンベリー議員は、海兵隊をはじめとする米軍でこのような航空機事故が頻発している事態はかねてより予測されていたと指摘する。
 その元凶は、オバマ政権による国防予算の大幅削減策の目玉であった「強制財政削減」にあるという。2012会計年度から2021会計年度の10年間で、連邦支出は12000億ドル削減された。そのうちのおよそ半分は国防費であった(本コラム2013926日参照)。ソーンベリー氏は強制財政削減の即時撤廃を主張し続けている。
 ソーンベリー氏をはじめとする強制財政削減の即時撤廃派の人々によると、軍事費が強制財政削減によって逼迫したために、
1)新型航空機の調達が滞り、長年にわたって使い込み、安全性が(新鋭機に比べて)低い航空機を使用せざるを得ない
2)軍用機の整備点検費用が不十分となり、航空機に故障が生じやすくなる
3)十分な訓練費用を確保できなくなり、パイロットの錬成度も低下する
といった深刻な悪影響があると指摘している。
 そして、国防予算の大削減以降、「クラスAミスハップ」が多発しているだけではなく、「クラスB」や「クラスC」に分類される航空機事故に至っては発生件数が倍増している。実はその状況も、すでにトランプ政権が発足する以前から指摘されていた。
 ソーンベリー議員、そして強制財政削減を撤廃し国防費を“正常”な状態に戻すように主張している人々は、強制財政削減がアメリカ軍の航空機運用だけでなく、アメリカ軍の戦力そのものを弱体化させている原因であるとして改めて強く非難している。

 このようにオーストラリア沖でのオスプレイ墜落事故は、日本とは違った論点において、アメリカ国内でも国防に関する議論を高めるきっかけとなっている。
《維新嵐》国防に関する予算、軍事費は特に大きく削減されるとそれまで執行されていたところの項目をきりつめないといけなくなりますから、部品供給であったり、整備費用であったりといったところの質の低下を招くのでしょうか。オスプレイの事故多発の原因が、オバマ政権時代の予算削減により本来必要な予算執行まで削減してしまって、いくつかのところで質的低下を招き、大きな事故につながっているとしたら十分是正される問題でしょう。
 オスプレイは今やコマンダーの輸送だけではなく、災害救助にも不可欠な装備になっていますね。安全性確保は大きな課題でしょう。
陸自と米海兵隊の訓練「ノーザンヴァイパー」、MV-22も参加
配信日:2017/08/17 20:24  http://flyteam.jp/airline/japan-ground-self-defense-force/news/article/83085 VMM-262MV-22B、三沢基地でノーザンヴァイパーで実施した降下訓練
 防衛省は2017818()から、陸上自衛隊とアメリカ海兵隊の部隊が810()から828()に実施している実動訓練「ノーザンヴァイパー」にMV-22Bオスプレイが参加すると発表しています。オーストラリア・クイーンズランド州ショールウォーター・ベイ訓練場の沖合で飛行中に発生したMV-22Bの事故を受け、自治体からも安全性について懸念が示され、防衛省、陸上自衛隊とアメリカ海兵隊で調整が続けられてきました。「ノーザンヴァイパー」には、航空機の運用として、陸自からUH-1CH-47など、アメリカ海兵隊から第36海兵航空群第265海兵隊のMV-22Bをはじめ、CH-53UH-1AH-1などを使用する予定でした。
オスプレイの解説


性能比較 CH-46E MV-22B
最高巡航速度 267㎞/h 446㎞/h
最大航続距離 1110㎞ 3590㎞
武装行動半径 139㎞ 602㎞
安全上昇高度 3050m 7620m
上昇最高速度 8.71m/sec 11.80m/sec
機内最大積載重量 2270㎏ 9070㎏
機外最大積載重量 2270㎏ 6800㎏
武装行動半径: 完全武装した海兵隊員を積載した状態での作戦行動半径
CH-46E:最大定員12名 MV-22B:最大定員24名

2017年8月11日金曜日

アメリカによる「予防的先制攻撃」の矛先 ~北朝鮮と共産中国~

強力な国連決議で近づいた「北朝鮮先制攻撃の日」

重大決意に直面することになる安倍政権

北村淳
北朝鮮国内の非公表の場所で打ち上げられた北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」。朝鮮中央通信(KCNA)配信(2017728日撮影、同月29日配信)。(c)AFP/KCNA VIS KNSAFPBB News

 米国時間の201785日、アメリカが提出していた北朝鮮の核ミサイル開発に対する経済制裁決議案が、国連安全保障理事会で承認された。
中国やロシアも賛成した今回の国連安保理決議2371号は、これまでになく厳しい経済制裁手段が盛り込まれた強力な制裁である。トランプ大統領やアメリカ外交当局は、その内容について自画自賛している。
 しかしながら、「この国連決議によって、北朝鮮のICBMを含んだ核ミサイル開発プログラムが頓挫し、米軍による軍事攻撃オプションは姿を消すであろう」と考えるのは早計だ。
極めて強力な経済制裁決議である(とアメリカ政府が考える)国連安保理決議2371号は、トランプ政権にとって北朝鮮に対する経済制裁の最後の一手と考えることができる。ということは、今回の国連決議が効果を奏さずに状況がさらに悪化した場合、むしろアメリカによる軍事攻撃というオプションが発動される可能性が高まったと言わなければならない。
北朝鮮に時間を与えてきた国連決議
 北朝鮮の核実験やミサイル開発に対する国連安全保障理事会の経済制裁決議は、2006年の決議1718号を皮切りに、2009年(1874号)、2013年(2087号、2094号)、そして2016年(2270号、2321号)と連発されている。それに加えて、アメリカ、韓国そして日本も独自の経済制裁を実施している。
ところが、国連安保理決議1718号から10年以上経過して、それらの経済制裁が何を生み出したのかというと、アメリカ本土を攻撃可能な核弾頭搭載大陸間弾道ミサイルを手にする能力である。経済制裁の目的は全く達成されなかったどころか、真逆の結果が生じてしまったというのが歴史的事実だ。
 北朝鮮に対する経済制裁決議が出される都度、北朝鮮あるいは東アジアを専門とする米軍関係戦略家たちは、「また北朝鮮に(核ミサイル開発のための)時間を与えてしまった。ホワイトハウスや国務省などは、本気で北朝鮮の脅威を感じていないのか?」と疑問を呈してきた。北朝鮮のミサイル技術や核技術が伸展すればするほど、軍事オプションは厳しい状況に追い込まれる。戦略家たちは「アメリカ本土に到達するICBMまで手にした場合は、どうするつもりなのか?」と、今日の状況を危惧していた。しかし、その危惧は現実のものとなってしまったのだ。
 したがって、このような考え方に立つ軍関係者たちが、「北朝鮮に再び時間を与えて多数のICBMを生み出させたり、核ミサイル技術のさらなる性能向上を計らせたりするほど、ホワイトハウスや外交当局が間抜けとは思えない」と考えても無理からぬところである。つまり、「いきなりアメリカ本土が危険に晒されていることを口実に北朝鮮に先制攻撃を仕掛けるのは、国際社会の手前、乱暴に映りかねない。しかし、国連決議に対する重大な違反を口実に軍事オプションを発動するならば、それなりに格好がつく。だから今回の強力な経済制裁決議は、まさにそのための布石なのだ」というわけだ。
北朝鮮に対する「予防戦争」を準備
 実際に、今回の決議案に対する根回しがほぼ決着していた先週には、アメリカ国家安全保障問題担当大統領補佐官ハーバート・マクマスター陸軍中将が、北朝鮮に対する軍事オプションに対して念を押すような発言をしていた。
 マクマスター補佐官はアメリカのテレビ番組におけるインタビューで、アメリカは北朝鮮に対する「予防戦争」の計画を準備していることを明言した。これまでもトランプ大統領はじめ政権幹部たちは「北朝鮮に対するあらゆるオプションはテーブルの上に載っている」と軍事攻撃の可能性を否定していない。マクマスター中将も、アメリカが準備している北朝鮮に対する軍事オプションの存在を公の場で強調したのだ。
予防戦争とは、“ほぼ確実な軍事的危機が迫っており、現状のまま手をこまねいているとさらに大きな危機を招いてしまうと考えられる場合に、そのような脅威を未然に除去するために先制攻撃によって開始される戦争”を意味する。要するにマクマスター補佐官は、場合によってはアメリカは北朝鮮に対する先制攻撃を敢行するとの決意を表明したのである。
「アメリカ市民を守るためには仕方がない!」
 かねてより北朝鮮に対する先制攻撃を研究してきた米軍関係者の多くは、金正恩政権首脳たちを一斉に葬り去る作戦、北朝鮮の核ミサイル関連施設を短時間のうちに壊滅させる作戦、または両作戦を同時に実施する大規模作戦など、米軍による先制攻撃によって引き起こされる北朝鮮軍の反撃によって、米軍と韓国軍だけでなくソウル周辺の一般市民(外国人も含む)にも甚大な損害が生ずることをシミュレートしている。
 そのような犠牲に加えて、かなりの高い確率で、米軍の策源地である日本に対して多数の弾道ミサイルが撃ち込まれることも予想されている。その場合には、当然のことながら、日本国民の間にも多数の死傷者が出ることが不可避と考えられる。
北朝鮮の対日攻撃用弾道ミサイルの射程圏
アメリカによる北朝鮮に対する先制奇襲攻撃が開始されてから30分から1時間程度で北朝鮮軍の弾道ミサイル部隊が全滅できなかった場合には、日本にもスカッドER弾道ミサイルやノドン弾道ミサイルが撃ち込まれ、少なからぬ数のミサイル弾頭が着弾することとなる。

 このように米軍の先制攻撃によって韓国や日本の一般市民、すなわち無辜の非戦闘員が被る損害の甚大さに鑑みると、これまでは米政権が北朝鮮に対する軍事攻撃に踏み切ることは至難の意思決定であると考えられてきた。
 しかしながら、北朝鮮がアメリカ本土を射程に収めた核弾頭搭載ICBMをほぼ確実に手にしてしまった現在、そうした想定は通用しない。「軍事力を行使してでも北朝鮮の核ミサイル開発能力、ならびに金正恩政権を葬り去らないと、これまでのシミュレーションの比ではない計り知れない犠牲を被りかねない。何といっても、その犠牲はアメリカ本土で生活する一般のアメリカ国民にも及ぶのだ」といった論理が浮上し、まかり通ることは十二分に推察できる。
安倍政権は覚悟を決めるとき
 かつて太平洋戦争の終盤において、米海軍首脳などは、無数の非戦闘員まで殺戮してしまう原爆の使用に異議を唱えていた。それにもかかわらず、「原爆攻撃により、数十万の米軍側の損害を避けることができる」という正当化理由を振りかざして、二度にわたり原爆攻撃を実施したアメリカである。
「今この時点で北朝鮮の核ミサイル開発施設を壊滅させ、金正恩一派を葬り去らないと、100万人以上のアメリカ市民が犠牲になりかねない」といった正当化理由によってマクマスター補佐官が明言した「予防戦争」が発動される日は、国連安保理決議2371号が発動されたために近づいたのかもしれない。
 もちろん、トランプ政権が北朝鮮に対する先制攻撃の最終決断をするに当たって、多数の人的物的犠牲を覚悟しなければならない日本に対して、そして軍事同盟国である日本に対して、先制攻撃の容認、そして協働要請を打診してくるのは当然である。
 安倍政権は、日本国民の大きな犠牲を覚悟の上でアメリカによる「予防戦争」に賛同するのか、それとも日本国民の生命財産を保護するために「予防戦争」に断固反対して他の手段を提案するのか、腹を決めておかねばならない時期に突入したのだ。

《維新嵐》ついに国連はアメリカに北朝鮮への攻撃のお墨付きを与えました。イラク戦争と異なる点は、ここのところでしょう。国際社会は、北朝鮮の弾道ミサイルの発射と核弾頭の開発を「国際社会への脅威」ととらえていますね。北朝鮮は、国際社会を敵に回したわけです。

金正恩政権打倒の方法、米国政府が具体的に検討へ

一瞬も目を離せない段階に突入した北朝鮮情勢

古森義久
朝鮮中央通信(KCNA)が配信した、大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を視察する金正恩朝鮮労働党委員長(右)の写真(201774日配信、資料写真)。(c)AFP/KCNA VIA KNSAFPBB News

 北朝鮮の米国への軍事対抗姿勢が強まるにつれ、トランプ政権の内外で、北朝鮮のレジームチェンジ(政権交代)作戦が再び真剣に論じられるようになってきた。
 米国の歴代政権が長年、目標の1つとしてきたのが、金政権を崩壊させるレジームチェンジ策である。現時点では成功の確率はまだ決して高いとは言えないが、北朝鮮の軍事脅威の高まりはトランプ政権にこれまでにない強い危機感を抱かせ、北朝鮮人民軍の最高幹部の反乱を煽ることで金政権を打倒するというシナリオが浮上してきた。

金正恩を「権力の座から切り離す」
 トランプ政権が北朝鮮レジームチェンジ作戦を実行する可能性は、マイク・ポンペオCIA(中央情報局)長官の20177月下旬の発言により注視を集めるようになった。
 ポンペオ長官はコロラド州アスペンで開かれた国際安全保障に関するフォーラムで、次のように発言した。
「北朝鮮の核問題に関して最も危険なのは、核兵器を管理する人間の特殊な性格だ。だからトランプ政権の対処としては、核兵器とその特殊な人物とを分離してしまうことが重要だ。核兵器自体の能力と、その核兵器を管理して実際に使うかもしれない危険な人物とを切り離してしまうことだ」
ポンぺオ長官のこの発言は、金正恩労働党委員長を核兵器から引き離す、つまり「権力の座から切り離す」というトランプ政権側の意図として解釈された。北朝鮮の核問題に対処するために金政権を打倒してレジームチェンジを図るという戦略目標である。
中国をあてにしたのは間違いだった
 トランプ政権内部でこのレジームチェンジ作戦志向が急に強くなったのも無理はない。北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の脅威が予想以上のスピードで高まり、その一方で、中国に要請していた北朝鮮への圧力強化策が結果をもたらさないことが明白となったからだ。
 北朝鮮は74日と28日に、米本土に届くと称するICBMの発射実験を強行した。米側ではこの弾道ミサイルが本格的長距離弾道ミサイルかどうかはいまだ疑問視されているが、北朝鮮のミサイル開発が米側の予測を越える速度で進んでいることは明らかとなった。
 他方、トランプ大統領は4月上旬に習近平主席との米中首脳会談に臨んだ際、北朝鮮への大規模な経済制裁の実施を要請した。北朝鮮が経済的に最も依存している国は中国である。その中国が北への石油の輸出の停止に踏み切れば、金正恩氏も核開発を断念、あるいは中断せざるをえないだろうという期待が米側では大きかった。
 だが、トランプ大統領が求めた「100日間の猶予期間」が過ぎても、中国は北朝鮮に画期的な経済制裁を課そうとはしなかった。
 このためトランプ大統領は、7月上旬から中国への失望や批判を表明し始めた。実際の政策でも、南シナ海で中国への抗議の意味を込めた「航行の自由作戦(FONOP)」を再開したり、北朝鮮との取り引きを続ける中国企業への制裁措置、台湾への兵器売却など、中国政府の嫌がる動きを再び始めるようになった。
 その結果、トランプ政権としては、北朝鮮の核武装を阻止するためには、もはや中国に頼ることはせず、韓国や日本という同盟諸国とともに独自の対応策をとるという政権発足当時の立場に引き戻される形となった。
いよいよ一瞬も目を離せない段階に
 トランプ政権にとっては、最後の手段とも言える軍事手段に頼らず北朝鮮内部での争いによって金正恩政権が倒れれば理想的、ということなる。では、具体的にどのようなレジームチェンジを考えているのか。
この点で参考になるのは、元CIA長官の特別顧問で朝鮮情勢にも詳しいハーバート・メイヤー氏が7月下旬に一部の米国メディアに語った言葉である。メイヤー氏は共和党のレーガン政権時代に国家情報会議の副議長を務め、トランプ政権にも近いという。
 メイヤー氏の発言の内容は、主に以下のとおりである。
・金正恩委員長の独裁体制を軍事面、政治面で実際に動かしているのは、合計二十数人から三十数人の要人たちである。米国情報機関は、その要人たちが誰であるかを知っている。要人たちへの個別かつ秘密の接触は技術的に可能である。
・それらの要人たちのうち特に軍部を動かす人民軍の最高幹部の特定の将軍たちに、トランプ大統領の意向として、北朝鮮の国家体制の保持を条件に金正恩氏の打倒を促す。
・北朝鮮が金体制下でこのまま核やミサイルの開発を進めれば、やがて米国には軍事攻撃以外の選択肢がなくなる。それは朝鮮民主主義人民共和国の国家体制の消滅を意味する。
・トランプ政権はこうした見通しを北朝鮮の一部の将軍に知らせて、国家を救うための金正恩氏への反乱とその打倒を促す。その場合には、金政権の打倒や崩壊に中国も同意したことを北側の将軍たちに伝えられるようにする。

 トランプ政権内では、こうしたレジームチェンジ作戦が具体的に計画されているようである。北朝鮮情勢はいよいよ一瞬も目を離せない段階に突入したと言ってよいだろう。

《維新嵐》今すぐにでも弾道ミサイルと核弾頭の開発と実験をやめるか、あくまで自衛戦争の理由で大国に「武威」を示して外交政策を展開するのか、北朝鮮がどうでるのでしょう?いずれにしても「戦争」による解決を選択することは、北朝鮮の「自滅」の序曲になるでしょうね。アメリカなど大国を相手に「戦争」をできる国ではないです。

ドナルド・トランプ「炎と怒りの発言」

トランプ大統領の「炎と怒り」発言受け
マティス米国防長官・北に「自国民の破滅回避」を警告

【ワシントン=黒瀬悦成】マティス米国防長官は20178月9日、北朝鮮情勢に関し声明を発表し、ミサイル発射などの挑発行為を続ける金正恩(キムジョンウン)体制に対し「体制の終焉(しゅうえん)や自国民の破滅につながるような行動を検討するのをやめるべきだ」と警告した。「自らを孤立させる道を選ぶことをやめ、核兵器を追い求めるのを断念しなくてはならない」とも指摘し、核・ミサイル開発の放棄を迫った。
 マティス氏が北朝鮮に対して強硬なメッセージを発するのは異例。トランプ大統領が8日、北朝鮮が米国を脅迫し続ければ「炎と怒りに見舞われる」と軍事攻撃を言明したのに一定の歩調を合わせた。
 マティス氏はまた、米国と同盟諸国は「地球上で最も適切かつ準備万端で強固な防衛能力と攻撃能力を備えている」と強調しつつ、北朝鮮の脅威に対しては「米国務省が外交的解決を目指し全力を尽くしている」と指摘し、米政権が現段階では外交解決を目指す方針であることを改めて打ち出した。


一方、ティラーソン国務長官は9日、東南アジアから米領グアムに向かう機中で記者団に対し、トランプ氏の発言は「外交的な表現を理解しているとは思えない金正恩(朝鮮労働党委員長)が理解できる言葉を使って、北朝鮮に強いメッセージを送ったのだと思う」と説明した。
 国務省のナウアート報道官は9日の記者会見で「米政府の立場は一致している」と主張。一方、複数の米当局者はCNNテレビに対し、8日のトランプ氏の発言は「アドリブだった」と語っており、両長官の発言は、同氏の「爆弾発言」と政権の方針に一貫性を持たせるため、つじつま合わせを図ったとみられる。

トランプ氏の「炎と激怒」に反発

北朝鮮、グアムにミサイル攻撃検討と

BBC News

北朝鮮の国営・朝鮮中央通信(KCNA)は201789日、太平洋上の米領グアムに対して中長距離ミサイル攻撃を検討していると伝えた。ドナルド・トランプ米大統領が「炎と激怒」で北朝鮮を攻撃すると威圧した数時間後のこと。これに先駆けて米紙ワシントン・ポストは、北朝鮮が核弾頭の小型化に成功した可能性があると伝えている。
KCNAは、朝鮮人民軍が「中長距離戦略弾道ロケット火星12で、グアム周辺を炎で包み込むための作戦を慎重に検討している」と伝えた。「全面的な検討と完成」をもって最高司令部に作戦を報告した後、金正恩氏の命令で実行する方針という。
これに先駆けてトランプ大統領は8日、記者団に対して、「北朝鮮はこれ以上、米国を脅さない方がいい。世界が見たこともない炎と激怒で対抗する」と述べた。
大統領発言の前には、米紙ワシントン・ポストが、米情報関係者の話として、北朝鮮が核弾頭の小型化に成功しており、米本土に届く核ミサイルの開発も予想よりかなり早く完成しそうだと伝えている。大陸間弾道ミサイル(ICBM)に加えて、ミサイルに搭載可能な核弾頭を入手すれば、北朝鮮は攻撃能力を持つ核保有国ということになる。
北朝鮮は7月に2回、ICBM発射実験を実施。これを受けて国連安全保障理事会は5日、中露を含む全会一致で、北朝鮮の主要外貨獲得源となっている石炭や海産物などの輸出を全面禁止する追加制裁案を可決した。追加制裁によって輸出額が3割減ることになる。
制裁可決に北朝鮮は「主権の激しい侵害だ」と強く反発。制裁決議案をまとめた米国に「代償を支払わせる」と表明していた。
一方で、トランプ大統領の発言に対して海軍出身で米政界重鎮のジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州、共和党)は、「自分が見てきた偉大な指導者は、行動する用意がなければ相手を脅したりしなかった。トランプ大統領に行動する用意があるのか、確信がもてない」と述べた。


小さいが重要なグアム
·         面積541平方キロのグアムは、フィリピンとハワイの間の太平洋上に位置する火山島。
·         合衆国憲法が完全適用されない「未組織、未編入」の米領で、人口約163000人。
·         島の約4分の1を米軍基地が占める。人員約6000人が配備されており、さらに数千人を追加配備する予定。
·         南シナ海、朝鮮半島、台湾海峡などアジア太平洋地域で緊張が起こりやすい地域に近く、米軍にとって重要な足がかりとなる。



グアムの米戦略爆撃機、北朝鮮へ先制攻撃の準備整う・米NBCテレビ報道

【ワシントン=黒瀬悦成】米NBCテレビは20178月9日、国防総省が北朝鮮に対する先制軍事攻撃の選択肢の一つとして、米空軍のB1戦略爆撃機による北朝鮮の弾道ミサイル発射基地などに対する精密爆撃を実行する準備を整えたと伝えた。トランプ大統領による命令があれば、いつでも実行できる状態にあるとしている。
 複数の軍当局者がNBCに語ったところでは、空爆には米領グアムのアンダーセン空軍基地に配備されているB1爆撃機を使用。戦闘機による護衛と電子戦機や空中給油機の支援の下、北朝鮮国内にある約24カ所のミサイル基地や実験場、関連施設などを攻撃するとしている。
 米空軍は5月末から今月8日にかけて、B1爆撃機をグアムから朝鮮半島上空などに飛ばす予行演習を計11回にわたって実施している。うち数回は航空自衛隊と韓国空軍の戦闘機がB1を護衛する共同訓練を行った。
 B1爆撃機は、爆弾や射程千キロ以上の長距離空対地ミサイル(JASSM-ER)などの通常兵器を最大約60トン搭載することができる。グアムには現在、6機のB1が配備されている。
B1-B戦略爆撃機
ロックウェル・インターナショナル

【北朝鮮の狙い】ミサイル・日本上空通過も=グアムに4発発射計画
時事通信

【ソウル時事】20178月10日の朝鮮中央通信によると、北朝鮮軍の金絡謙・戦略軍司令官は201789日、中距離弾道ミサイル「火星12」4発を同時に米領グアム島周辺に向けて発射する計画を検討していると表明した。計画では、ミサイルは「島根、広島、高知の各県上空」を通過し、グアム島周辺30~40キロの水域に着弾することになると述べた。
 飛行距離は3356.7キロ、飛行時間は1065秒(17分45秒)を想定。8月中旬までに作戦計画を最終完成させた後、核戦力の総司令官である金正恩朝鮮労働党委員長に報告し、発射待機態勢で命令を待つことになるという。
 具体的な作戦計画を公表することで、米国や日本を強くけん制する狙いがあるとみられる。 


【グアムに度重なる脅し】背景に空軍基地配備のB1爆撃機の存在


 北朝鮮からミサイル攻撃を警告された米グアムの住民の間では、過去に同様の脅しを北から受けた経緯から、警告を「プロパガンダだ」などと冷静に受け止める向きが強い。グアムの米軍基地は太平洋地域で、同盟国に頼らず米領に配置する最西部の主要拠点とされ、北朝鮮はグアムから飛来する戦略爆撃機を警戒してきた。一方、米朝が挑発や非難の応酬を繰り広げる中、偶発衝突を懸念する声も高まっている。
 北朝鮮が、あからさまに軍事的な「脅し」をグアムに向けたのは、今回が初めてではない。
 朝鮮人民軍総参謀部は昨年9月、米爆撃機の展開を非難する声明の中で、「グアムを地球上から消す」と過激な表現で警告した。金正恩・朝鮮労働党委員長も2013年、米軍に対する攻撃計画の立案を軍に命じる中、グアムを攻撃対象として挙げた。
 北朝鮮の激しい敵対姿勢の背景にあるのは、グアム・アンダーセン空軍基地に配備された戦略爆撃機の存在だ。発見されにくい低空で長距離飛行が可能なB1爆撃機は、同基地から朝鮮半島まで2時間弱で飛行。北朝鮮の弾道ミサイル発射などの挑発に対し、米軍はB1をグアムから朝鮮半島方面に飛来させて牽制し、北はそのたびに強く反発してきた。


 一方、北朝鮮による「警告」を受けても、現地住民は落ち着いた対応をみせている。「北朝鮮はいつも他国を脅してきた。今回もプロパガンダのひとつだ」。AP通信によると、祖父や兄弟が米海軍に勤めていたという住民(60)は、そう話して北朝鮮の脅しを突き放した。
 ただ、住民に警戒感が強まっているのも確かだ。バス運転手(37)は米ABCテレビに、「少しパニックになっている。本当に攻撃されるのなら、グアムを脱出したい」と話した。

 1898年に米西戦争の結果、米領となったグアムでは、米本土との間に温度差を感じる住民もいる。北朝鮮がことさらグアムに「脅し」をかける背景に、米からの離脱を求める住民に揺さぶりをかける狙いがあるとする見方もある。

【共産中国による南シナ海の現状変更に対する戦術】

3ケ月ごとに2回実施へ
アメリカが北朝鮮への抑制の一手段として共産中国との関係、力をあてにすればするほど、共産中国に対して「借り」を作る形になります。そのため南シナ海や東シナ海で進行している共産中国による「海洋覇権戦略」について、及び腰になり結果アメリカが対日戦で獲得してきた「既得権益」が脅威にさらされ、失われるリスクが高まるのです。「航行の自由作戦」で完璧だとはアメリカ政府も考えてはないでしょうが、あまり北朝鮮問題に対して過度に共産中国の「支援」をあてにできない事情はありますね。

現政権2回目・米軍、航行の自由作戦(西沙諸島)
中国「米艦船が領海に勝手に侵入した」と反発
 米FOXニュース電子版によると、米軍艦船が2017年7月2日、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島周辺で、他国の海洋権益の主張に対抗する「航行の自由」作戦を実施した。米国防当局者が明らかにした。5月25日以来で、トランプ政権下では2回目。
 南シナ海で実効支配を固める中国をけん制する狙い。北朝鮮の核・ミサイル開発抑止に向け圧力をかけ、影響力行使を迫る思惑もありそうだ。中国外務省の陸慷報道局長は談話で「(米艦船が)領海に勝手に侵入した」と主張し、「強烈な不満と断固とした反対」を表明した。
 米当局者によると、米海軍のミサイル駆逐艦ステザムが、パラセル諸島のトリトン島から12カイリ(約22キロ)内の海域に入った。陸氏によると、中国は軍艦と戦闘機を出動させ、海域から離れるよう警告した。米太平洋艦隊は「これまでと同様に今後も定期的に『航行の自由』作戦を続ける」としている。(共同)

現政権3回目・米が中国造成の人工島12カイリ内で「航行の自由作戦」(南沙諸島)
【シンガポール=吉村英輝】ロイター通信は2017810日、米政府高官の話として、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島のミスチーフ(美済)礁にある中国が造成した人工島の12カイリ(約22キロ)内で、米駆逐艦ジョン・S・マケインが同日、「航行の自由」作戦を実施したと伝えた。
 トランプ政権は今年5月にも、同じくミスチーフ礁の人工島の12カイリ内で、航行の自由作戦を実施。7月には、南シナ海のパラセル(西沙)諸島周辺でも実施した。今回の実施が確認されれば3回目となる。
 南シナ海で実効支配を固める中国を牽制(けんせい)し、北朝鮮の核・ミサイル開発抑止に向け、影響力行使を迫る思惑もありそうだ。
 中国はミスチーフ礁に造成した人工島の周囲12カイリを「領海」と主張。航空機の格納庫や滑走路の建設が進められており、スプラトリー諸島での中国の軍事拠点のひとつとなっている。


「航行の自由作戦」に中国反発・艦船派遣し、米に警告
20178/11() 2:13配信 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170811-00000007-asahi-int
朝日新聞社
米海軍のミサイル駆逐艦が南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島周辺で「航行の自由作戦」を実施したことに対し、同諸島の領有権を主張している中国の外務省は2017810日夜、「米軍の行動は国際法に違反し、中国の主権を著しく害している」と反発するコメントを出した。中国軍も艦船を派遣して、米艦船に同海域から出るよう警告。米側に厳正な申し入れをするという。
 同省はまた、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国が6日の外相会議で、南シナ海で衝突を予防するための「行動規範」(COC)の枠組みに合意したことに触れ、「やっとできあがった良好な状態を域外勢力が乱そうとたくらんでいる。南シナ海の軍事化を進めているのは誰なのか」と米側を批判した。
 米軍による南シナ海での「航行の自由作戦」はトランプ政権下で3回目だった。(北京=延与光貞)
《維新嵐》アメリカは、自由航行の権利を守るための軍事作戦を実行、共産中国は自らがいうところの「領海」を守るための外交戦。これも「米中戦争」?