2015年6月28日日曜日

機略戦の時代 ~日米同時サイバー攻撃の衝撃Ⅱ~

《共産中国からのお礼参りか?》

【米サイバー攻撃】400万人情報流出~中国、関与指摘に猛反発「無責任で非科学的だ!」

2015.6.5 19:33更新 http://www.sankei.com/world/news/150605/wor1506050035-n1.html
【ワシントン=小雲規生、北京=川越一】米連邦政府の人事管理局は20156月4日、政府職員の人事情報を管理するシステムがサイバー攻撃を受け、約400万人分の個人情報が流出した可能性があると発表した。攻撃元は調査中だが、米メディアは政府高官や議員の話として、中国が関与しているとの見方を伝えた。
 米中は今月22日から3日間、ワシントンで安全保障や経済問題を協議する「米中戦略・経済対話」を開く。オバマ米政権は中国による南シナ海での岩礁埋め立てに加え、一連のサイバー攻撃も対話に影響を与える可能性が出てきた。
 米政府の発表を受け、中国外務省の洪磊報道官は5日、「サイバー攻撃は匿名性を持ち、国をまたぎ、元をたどるのが難しいという特徴がある。『かもしれない』というのは無責任で、非科学的だ」とした上で、「米国は疑い深く、雲をつかむような不確かな話をしないよう望む」と疑惑を否定した。
 人事管理局は昨年、サイバーセキュリティーの体制を強化。その結果、今年4月にサイバー攻撃を受けたとの情報があることが確認された。政府職員の職務や業務評価などに関する情報に外部からアクセスされたとみられ、国土安全保障省や米連邦捜査局(FBI)が事態の全容解明に乗り出している。


米メディアは内務省など他の官庁も攻撃を受けたとして、情報機関の職員の個人情報が流出した可能性も指摘。米ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は「政府が受けた被害としては最大規模の事例のひとつだ」としている。
 司法省は5月、米半導体メーカーから機密性が高い技術を盗んだとして中国籍の6人を起訴。昨年5月には連邦大陪審が米企業にスパイ行為をしたとして、中国人民解放軍のサイバー攻撃部隊「61398部隊」の将校5人を起訴している。





《サイバー攻撃の中継に利用された国内サーバー》

【富山大にサイバー攻撃】サーバー経由で米国狙う

2015.6.7 17:05更新 http://www.sankei.com/west/news/150607/wst1506070033-n1.html
富山大は7日、工学部のサーバーが今年2月に海外から不正アクセスされ、米国へのサイバー攻撃の中継地点に利用されたと明らかにした。不正アクセスによる情報流出は確認されていない。
 富山大によると、2月27日未明に何者かが工学部のサーバーに不正アクセスしてウイルス感染させ、米国企業のサーバーに大量のデータを送りつけてダウンさせる「DDoS攻撃」をしていた。
 学内のコンピューターが同日正午すぎにインターネットに接続できなくなり、大学へのサイバー攻撃が明らかになった。

【大学サーバーサイバー攻撃中継に悪用される
201567 2146 http://news.livedoor.com/article/detail/10203547/
 富山大学(富山市)は7日、同大工学部のサーバーが海外から不正アクセスを受け、米国企業などに対するサイバー攻撃の中継点として悪用されていたと発表した。
 情報流出や企業の被害は確認されていない。サーバーの管理パスワードの設定が単純だったためで、同大は「セキュリティー対策の不備が原因」としている。
 発表によると、今年2月27日に学内でインターネットに接続できなくなる障害が発生。調査したところ、同月20~27日に米国、インド、香港から計4回の不正アクセスでサーバーのパスワードを破られ、同27日には米国企業などへ大量のデータを送り続ける「(ディー)DoS(ドス)攻撃」を約3時間半行っていたと判明した。
 同大総合情報基盤センターの沖野浩二助教は「サーバーの管理パスワードが初期設定のままだったことが、乗っ取られた原因。意識向上を図り、再発防止に努めたい」と話した。

《大学機関の個人情報も狙われていた!》

【早稲田大にサイバー攻撃】職員ら3300人の「個人情報」流出…半年気付かず

2015.6.22 17:41更新 http://www.sankei.com/affairs/news/150622/afr1506220023-n1.html
早稲田大は22日、「標的型メール」によるサイバー攻撃で、職員の事務用パソコンがウイルス感染したと発表した。職員を中心にした延べ約3300人の氏名などの個人情報が流出した。
 感染に気付くまで半年かかった。早大は「重大かつ深刻な事態と認識し、全力を挙げて原因究明と再発防止に取り組んでいる」とコメント。警視庁に被害を相談している。
 早大によると、昨年12月11日、職員が医療費通知を装ったメールの添付ファイルを開いて感染。この職員のパソコンが遠隔操作され、管理用パスワードが盗まれ、他の事務用パソコン数台も感染した。
 6月5日、教職員と親交がある外部機関からの指摘で発覚。同大は、長期間気付かなかった理由を「未知のウイルスだったため」としている。
 また、早大はこの件とは別に、大学のスケジュール管理サイトのトップページが外部からの不正侵入で改ざんされたと発表した。

☆☆☆

※我が国の年金機構と同じような時期に、アメリカ人事管理局へも個人情報流出を狙った標的型ウイルス攻撃を行うということで、共産中国や北朝鮮が疑われるのは仕方がないことでしょう。
 ただサイバー攻撃は、ステルス性の高い攻撃であるが故に、確実にしかけた国を特定できないことが、攻撃をうける側の不利な点なのです。
 そして攻撃側は、攻撃する側のIPアドレスなどの痕跡を消すために、複数のサーバーを経由して攻撃を行うことはもはやよく知られたところです。
 特にDDOS攻撃については、あらかじめ「ゾンビ」といわれる第三者のPCを操作して攻撃をしかけるため、まず攻撃元の特定は不可能といわれています。
 我が国も自衛隊内部に、サイバー空間防衛隊がたちあげられました。防衛省がハッカーの採用をはじめています。これは、サイバー戦争時代では決して不可思議な動きではなく、この気持ち悪い「侵略攻撃」に対処していくためには、まだまだ十分な対処とはいえません。
 サイバー戦争に「専守防衛」論は通用しません。
重要なことは、いかに早く先手をとって主導権を握り、効果的なステルス攻撃を行うか?です。
攻撃主体、国家中枢を直接破壊する「機略戦」なのです。


【米連邦人事管理局からのサイバー窃取】ワシントンポスト紙社説:「中国の下手人に報復準備を始めるべき」

岡崎研究所

20150806日(Thuhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/5216
米ワシントンポスト紙は75日付で、米連邦人事管理局(OPM)のデータベースへの不正な侵入により大量の個人情報が流出した問題を取り上げて社説を書いています。
 すなわち、OPMから秘密の情報がまた大量に流出した。OPMは過去、現在および将来の連邦職員の身元調査の情報がどの程度流出したか明らかにすることになっている。身元調査は機微で個人的な事項を含み、多くの人間が恐喝のリスクに晒される。流出した件数は数百万に達するらしい。これは64日に発表された420万人の連邦職員の個人情報の流出とは別の事案である。
 オバマ大統領はもっと立腹して然るべきである。OPM長官はデータが如何に機微であるかを知っていたのに、扉の隙間が開いていた。泥棒は最も高度の秘密を扱う公務員に係る個人的な詳細な情報という宝の山を持ち去った。これは容認し難い失敗である。OPM長官アーチュレッタは議会で責任を否定し、非難されるべきは下手人であると述べた。
 国家情報長官クラッパーは中国が最も怪しいといっている。FBIは中国とは特定しなかったが過去に中国との関係が指摘されていた「Sakula」と呼ばれるものなどいくつかのマルウェアを特定して警告を発した。ロイターによれば「Sakula」は医療保険会社Anthemに対して使われたものだという(註:今年2月に表沙汰になった)。下手人は軍事や産業に係る秘密を盗む通常の部局ではなく、中国国家安全部に属する別のグループだという。これは憂慮すべき事態であり、中国の情報機関はAnthemOPMから得たデータを使ってスパイ活動の対象とし得る米国人の選別を企てるかも知れない。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5216?page=2

スパイ活動は国際関係で平素見られることであるが、これは通常の事態ではない。中国は9月に習近平とオバマの円滑なサミットを望んでいるが、オバマは直ちに憤激し、泥棒はテーブルでのハーモニーとは両立しないと告げるべきである。それでも北京が平然と構えるのであれば、米国は中国の下手人を目標とした報復の準備を始めるべきである。二国間関係の全てを危険に晒す要はないが、泥棒は懲らしめられねばならない。それが将来の攻撃を抑止する唯一の途である、と述べています。
* * *
 OPMからの個人情報流出は、64日に発表された分にとどまらず、中国による大規模な諜報活動であると疑われ、深刻な問題として受け止められています。
 通常、人民解放軍の部局が仕掛けるサイバー攻撃は軍や産業の情報を標的にしていますが、今回の事件は中国の情報機関による工作にとって有用な情報(住所、氏名、学歴、軍歴、外国との接触記録、病歴、破産歴など)の取得を狙っていると見られることに米国は警戒感を強めているということです。今回の事件の下手人とされる国家安全部に属するグループについては、その規模など分かっていないようです。

 今年4月に発表された国防総省のThe Cyber Strategyという文書はサイバー攻撃に対する抑止について述べていますが、サイバー攻撃には通常の意味での抑止は働かないと思われます。同文書は、米国の利益に対するサイバー攻撃には適当な手段をもって反応する、と述べています。北朝鮮のインターネットの外部との接続が切断された事態が、北朝鮮が下手人とされるSony Pictures Entertainment に対するサイバー攻撃に対する米国の報復ではないか、と噂された事案がありました。この種の報復措置が何らかの抑止の効果を持つ可能性はあります。社説が結論でいうように、何らかの措置を検討して然るべきではないかと思います。今年4月には、サイバー攻撃の下手人に対する制裁の発動を可能にする大統領令が成立しています。


【リスク回避からリスク許容へ】サイバー空間において積極的に動く中国
岡崎研究所
20150810日(Mon)  http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5231

 米ジェームスタウン財団のマティス研究員が、National Interest誌ウェブサイトに76日付で掲載された論説にて、最近の中国のサイバー攻撃等の活発化について解説し、中国はインテリジェンス政策において、リスク回避からリスク許容へと態度を変えた、と論じています。すなわち、2000年代のどこかの時点で、中国はインテリジェンス政策において、リスク回避からリスク許容へと態度を変え、特にサイバー空間において、より積極的に活動するようになった。
 中国の方向転換は、二つの意味で注目すべきである。一つは、中国の表面的な協調姿勢にもかかわらず、インテリジェンス活動の積極化は、中国が対立と競争を想定している点である。二つ目は、中国ウォッチャーの多くが、中国のサイバー空間での活動と国家のインテリジェンスおよび安全保障部門の動きとを結びつけて来なかった点にある。
 1985年、中国情報部門の職員が米国に亡命した事件を契機として、鄧小平は外交部の主張を容れ、改革開放政策に悪影響が及ぶとの理由で、海外でのインテリジェンス活動に制限を加えた。だが2010年に、スウェーデンにおいて中国の諜報活動が発覚した。おそらくその前に、中国は対外インテリジェンス活動の制限を撤廃したように見受けられる。近年に至り、アメリカなどの政府関係ネットワークへの侵入事件と中国の関連が頻繁に指摘されている。
中国がインテリジェンス活動に関するリスク計算を変更した理由として、以下の数点の要因の組み合わせが考えられる。一つ目が、必要性の増大だ。急速に拡大する海外権益を保護するために、インテリジェンス能力の向上は急務である。二点目に、官僚組織の力関係の変化がある。
 1980年代、インテリジェンスを司る国家安全部と軍内の関連部門は外交政策において大きな影響力を持っておらず、「中央外事工作領導小組」にも参加していなかった。しかし、近年、中国の対外政策の決定プロセスは多元化し、外交部の影響力は相対的に低下し、国家安全部の影響力は増大している。
 三点目に、過去に海外活動のリスクを過大評価していたとの中国の判断もあろう。それと関連して、四点目に、中国の経済的重要性の急増もあり、中国の脆弱性は低下したと判断されている。中国の指導者は、海外でのインテリジェンス活動が中国の平和発展に影響を与えるとはもはや考えていないように見受けられる、と指摘しています。
出典:Peter Mattis,The New Normal: China's Risky Intelligence Operations’(National Interest, July 6, 2015
http://nationalinterest.org/feature/the-new-normal-chinas-risky-intelligence-operations-13260
* * *
 中国のいわゆるスパイ活動は、主に中国系の人脈を通して行われて来ました(例えばD.ワイズ『中国スパイ秘録:米中情報戦の真実』参照)。旧ソ連と比べてもかなり立ち遅れていました。最近のサイバー空間での活動の活発化は、その遅れを、ハイテクを駆使した手法により挽回しようとするものなのでしょう。実際に諜報要員を海外に展開するよりは手間も省けますし、一見、安全です。
 インテリジェンス活動の活発化は、中国の対外姿勢に関する大きな質的変化の最中の動きであり、中国の対外強硬姿勢の顕在化と軌を一にしています。鄧小平の重しが取れたということであり、資金も豊かになり、国家安全部及び軍情報部門の活動はさらに活発になることを覚悟しておくべきでしょう。
 しかし、中国にとり安全な職務達成手法であったはずのサイバー攻撃が、目下、米国をはじめ世界の強い反応を引き起こしています。米側は、そのために必要な措置は取り始めているはずであり、ここでも中国は「作用・反作用の連鎖」に入り込んだと言えるでしょう。


 中国の諜報分野での活動の度合いが、中国の自国に対する敵対度を測るメルクマールとなります。これは、まさに軍事安全保障の世界の話です。つまり、実際の行動がすべてであり、世界はそれにより相手の意図を判断します。外交と違い「玉虫色の解決」はありません。南シナ海や東シナ海の問題と同様に、習近平の新外交路線は、厳しい試練に直面しています。9月の訪米までにどう調整するのでしょうか。それによって中国の対外姿勢の見定めがつくと思われます。



機略戦の時代 ~日米同時サイバー攻撃の衝撃~

日本年金機構個人情報流出事件

 メディア報道でも衝撃をもってうけとめられた日本年金機構への一連のサイバー攻撃については、ネットに流出した個人情報が125万人といわれていますが、実際はさらに流出されているのではないか、といわれています。
 年金は国民の老後を支える貴重な財産です。そこにウイルス攻撃をしかけるということは、日本政府そして日本国民全体への「攻撃」とみられ、現代における「侵略戦争」とみなしても何ら問題はないでしょう。
 TV報道では、我が国で使われない、隣の赤い国の漢字がタイトルに使われていたと伝えていましたが、お隣の赤い国による「侵略」であったとしても、ウイルス感染を知っていながら事実を隠ぺいし、個人情報の流出を防げなかった年金機構にも大きな過失責任が問われなければなりません。
 国家中枢への「侵略攻撃」を防ぎ、国民の財産と生命、権利を守るために政治家や官僚だけではなく国民全体で「防衛意識」を共有し、実行すべきであると考えます。

《平成2761日》

【年金情報125万件流出】大量メールで不正アクセス・警視庁捜査
会見する(左から)日本年金機構の真保栄修基幹システム開発部長、水島藤一郎理事長、徳武康雄理事=1日午後、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)

2015.6.1 17:21更新 http://www.sankei.com/affairs/news/150601/afr1506010021-n1.html
公的年金の保険料徴収や給付実務を担う日本年金機構(東京)は1日、ウイルスメールによる不正アクセスを受け、基礎年金番号や氏名など年金に関する個人情報計125万件が外部に流出したと発表した。同日までに情報の悪用などの被害は確認されていないが、流出件数は今後、さらに拡大する可能性もあるという。機構から通報を受けた警視庁は捜査を始めた。
 日本年金機構によると、流出したのは、
(1)基礎年金番号と氏名(約3万1千件)(2)基礎年金番号と氏名、生年月日(約116万7千件)(3)基礎年金番号と氏名、生年月日、住所(約5万2千件)
 -の計約125万件。一部は同一の加入者情報が重複している可能性がある。
 1日、記者会見した機構の水島藤一郎理事長らによると、5月8日、職員がウイルスの入った添付ファイルを開封したことで、不正アクセスが発生。その後、ウイルス対策ソフト会社に解析を依頼したが、同様のメールは18日までに、大量に機構側に送られてきた。メールの内容はそれぞれ異なり、最初に開封した職員とは別の複数の職員が開封していたという。
 その際、加入者への通知などの用途で使われている情報系システムなどに保存されていた個人情報のファイルが流出したとみられる。


機構は19日に警視庁に捜査を依頼。28日に警視庁から、情報流出が確認されたとの連絡を受けた。社会保険を支払うための基幹システムへの不正アクセスは確認されていない。
 また、流出した個人情報約125万件のうち、約70万件はパスワードが設定されていたが、それ以外は設定されておらず、機構の内規に違反した状態だったという。
 機構は5月8日以降、順次、全国の施設でインターネットへの接続を遮断。情報流出があった加入者に対して文書で通知し、年金に関する手続きがあった場合は本人確認を徹底する。また、基礎年金番号を変更して対応する。
 安倍晋三首相は1日、「国民の皆様にとって大切な年金だ。年金受給者のことを第一に考え、万全を期すように厚生労働相に指示をした」と述べた。官邸で記者団の質問に答えた。
 塩崎恭久(やすひさ)厚労相は同日、記者会見し「悪意をもった攻撃を防げなかったことは遺憾」とし、省内に第三者委員会を立ち上げる考えを示した。
 ■日本年金機構 不祥事が相次いだ社会保険庁の廃止に伴い年金業務を引き継ぎ、平成22年1月に発足した組織。地方自治体などと同じ「公法人」との位置付け。約1万2千人(今年4月1日現在)の職員を抱えているが、公務員ではない。国からの委託で、年金加入記録の管理や保険料の徴収、年金の支払いなどを行う。本部は東京都杉並区にあり、地方ブロック本部が9カ所、年金事務所が312カ所ある。

【情報狙い無差別攻撃】複雑経路「捜査は困難極める」

2015.6.1 22:27更新 http://www.sankei.com/affairs/news/150601/afr1506010041-n1.html
日本年金機構から、ウイルスメールによる不正アクセスで、年金情報約125万人分が流出したことが1日、明らかになった。漏れたのは基礎年金番号や氏名など。職員のメールが狙われる典型的な「標的型メール」攻撃で抜き取られていた。不正アクセスの狙いは何なのか。警視庁は事実関係の確認を進めるなど捜査に着手したが、標的型メールによる不正アクセスは海外のIPアドレス(インターネット上の住所)を使用したうえ、サーバーを複数経由することが多く、送信元の追跡には難航が予想される。
 年金機構に送られた標的型メールは、不特定多数に大量に送られるメールとは異なり、特定の組織や人に送られるため、セキュリティーソフトで遮断される前に、標的とするメール受信者まで届いてしまうことが多い。


メールには文書ファイルやURLなどが添付されており、これらをクリックするとウイルスに感染。このパソコンを通して、組織システム内へのウイルス拡散▽情報収集▽機密情報の外部への漏洩(ろうえい)▽システムの破壊-といった被害へ発展するケースもある。
 今回の不正アクセスも複数の職員がメールに添付されたファイルを開いたことが原因とみられており、こうした構図で情報漏洩が拡大した可能性が高い。
 大手セキュリティー会社「シマンテック」によると、こういった攻撃は10年ほど前から世界各国の企業や政府機関で発生。一人でもファイルやURLを開かせてしまえば攻撃は成功するといった、手口の効率性が要因の一つとされる。同社の浜田譲治・主任研究員は「メールの内容を対象の団体に合わせるという意味では標的型だが、もはや標的にされていない団体はなく、無差別といってもいいくらい。今や攻撃してくる国もさまざまで『サイバー紛争時代』といえる」と説明する。
 標的型攻撃の目的は「情報」だ。厚生労働省は「今回流出した情報だけで他人へのなりすましはできない」と説明するが、「住所、氏名、生年月日があれば十分いろいろな詐欺もできる。何らかの理由で国民の情報を欲したグループがいるはずだ」と浜田氏は警鐘を鳴らす。

警視庁は同省のLANシステムや職員のパソコンの解析を進め、発信者の特定を進める方針だ。しかし標的型攻撃を含むサイバー犯罪の多くは、接続経路の匿名化を図るためのソフトウエアを使用していることが多く、捜査関係者は「捜査は困難を極める可能性もある」とみる。全容解明がどこまで進むかは未知数だ。
 年金機構のデータが漏れたことで、抜き取られた年金情報を基に新たな犯罪が起きる可能性がある。浜田氏は「年金関係のメールは偽物の可能性もあるので、しばらくは警戒が必要だ」と呼びかけている。

■標的型メール
情報を盗み取ることを目的に官公庁や企業などに送られるウイルスメール。ウイルスに感染するサイトへ誘導するメールやウイルスファイルを添付したものがある。狙いを定めて少数の標的に絞り込んで送っており、送信者に実在する組織の名前を使用したり、受信者の業務に関連する内容のメールを送るなどメール受信者が不審に思わないようにしている。ウイルス対策ソフトを使用してもウイルスが検知されないことが多い。主に海外のIPアドレスから発信され、送信先を特定することは難しいとされる。


複雑化するサイバー攻撃

官公庁対策急ぐも万全対策は「困難」~手口は日進月歩、巧妙化と高度化~

官公庁を狙ったサイバー攻撃は近年相次いでいる。日本年金機構の被害と同様に「標的型メール」の攻撃も急増している。手口が巧妙化・複雑化していることが増加の背景にあるといい、専門家からは「万全な対策は困難だ」との声が上がっている。
 昨年11月、衆院議員や衆院事務局職員の公務用パソコンに情報を盗み取ろうとするメールが送りつけられた。日本年金機構と同じように標的型メールによる攻撃だった。
 警察庁によると、情報を盗む狙いでウイルスを送り付ける標的型メールによる攻撃は昨年、1723件で前年比3・5倍と大きく増加。政府機関や重要インフラを狙った攻撃も確認されている。
 ウイルスを検知するソフト導入や、インターネット接続の監視など対策が急がれているが、検知をすり抜けるように偽装され、感染や情報流出の状況が長期間発覚しないケースもあるなど巧妙化が進んでいる。
 「標的型メールの被害を完全に防ぐことは難しい」。トレンドマイクロの鰆(さわら)目(め)順介氏は指摘する。特定部署にいる政府の個人を狙い、関係のある実在の人物を装ってメールが送付された事例もあるという。
 「年末調整」の通知を装ったメールが送付されたケースもあり「届けば開かざるを得ないように巧妙化している」(鰆目氏)。相次ぐ標的型メールの攻撃。鰆目氏は「ある程度の侵入を織り込んだ段階的な対策が求められる」と指摘する。

「責任誰が」「事件に巻き込まれないか」個人情報流出に憤りや不安

2015.6.1 23:53更新 http://www.sankei.com/affairs/news/150601/afr1506010049-n1.html
 日本年金機構から流出した約125万件の個人情報には、20歳以上の国民年金加入者なら誰でも含まれている可能性がある。
 東京都板橋区の建築業、本多新三(しんぞう)さん(62)は「自分の情報が悪用されたらと思うとぞっとする。誰が責任を取ってくれるのか」と憤りをあらわにし、「電話番号非通知の着信は出ないようにする」と警戒心を強めていた。
 インターネットのニュースで事件を知ったという会社員、安藤祐子さん(48)は「将来年金が受け取れるかどうかも心配なのに、不安の種がさらに増えた。銀行の個人口座のセキュリティーや政府のマイナンバー制度導入にも不信感を抱いてしまう」と嘆く。
 流出情報には生年月日や住所も含まれる。墨田区の飲食店従業員の女性(25)は「詐欺被害は心配していないけれど、性犯罪などの事件に巻き込まれないか心配」と不安がった。

「影響を調査」「連絡つかず」…企業対処に苦慮

http://www.sankei.com/economy/news/150601/ecn1506010038-n1.html

 PR日本年金機構から個人情報が流出した問題を受け、企業は「どういう影響があるか調査している」(キリンホールディングス)段階だ。

自動車関連企業が加盟する厚生年金基金の担当者は、産経新聞の取材に対し「年金機構からの連絡や、加盟社からの問い合わせは把握していない」と話した。

 中小企業も「(機構に)電話で問い合わせたが、業務時間終了後で連絡がつかない」(東京都内の樹脂加工業)ため、影響があるかは確認できないという。中小・中堅企業の健康保険、厚生年金保険の加入や保険料の納付の手続きは年金機構が実施している。
 一方、生命保険大手は、「引き受けている厚生年金基金について基礎年金番号の変更に伴う事務作業が発生することも想定される」と、影響を懸念する。
大手企業では、「厚生年金基金を活用しておらず、関連会社も基金から脱退傾向にあり、加盟している社は少ない」(富士重工業)というところもある。

《平成2762

「私の情報は大丈夫?」問い合わせ9万6千件超
産経新聞201562()1952分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150602-00000581-san-soci
 日本年金機構の年金加入者の個人情報約125万件が外部流出した問題で、機構が設置した専用電話には2日午後5時までに約9万6千件の問い合わせがあった。問い合わせは「私の情報は漏れていないか」といった内容が中心で、各地の年金事務所にも同様の問い合わせが寄せられている。
 機構によると、個人情報が流出した恐れのある加入者については、機構が謝罪文を郵送する予定。専用電話は100人体制で受けているが、つながりにくい状態が続いており、機構は1千人体制に増強することを検討している。

2ちゃんねるに「感染した」と投稿公表4日前、機構職員か?

2015.6.2 16:15更新 http://www.sankei.com/affairs/news/150602/afr1506020030-n1.html
日本年金機構がウイルスメールによる不正アクセスを受けた問題で、機構が年金個人情報の流出を公表する前の5月28日以降、インターネット上の掲示板「2ちゃんねる」に、ウイルス感染したことを示す複数の書き込みがあったことが分かった。機構は6月1日に問題を公表しており、内部情報を知る機構関係者などが書き込んだ可能性もある。
 機構によると、不正アクセスがあったのは5月8日で、19日に警視庁に捜査を依頼。28日に、警視庁から情報流出が確認されたとの連絡を受けた。
 書き込みがあったのは、2ちゃんねる内の機構に関するスレッド。28日午後8時45分ごろ「感染しました」という投稿があった後、「ウィルス感染しましたので、共用ファイルは利用禁止となりました」「あれほど、差出人不明めメールは開封するな、と警告があったのに、、、」(いずれも原文まま、以下同)などの書き込みが続いた。

29、30日には「全職員はパスワードを強制的に変更させられました」「ウィルス駆除対応の本部職員の方々、休日出勤おつかれさまです」「月曜日には、ウィルス感染を公表するのかな?」と投稿されていた。
 また、機構に関する別のスレッドでも29日以降、「あそこまで必死ってことは個人情報でも流出したのかなと勘ぐっていたんだが、実際どうだったの?」などの書き込みがあった。

厚労省文書の件名を偽装か?メール開封は東京と福岡で

2015.6.2 13:08 http://www.sankei.com/affairs/news/150602/afr1506020025-n1.html
日本年金機構がウイルスメールによる不正アクセスを受け、年金情報約125万件が外部流出した問題で、最初に開封されたウイルスメールの件名は、厚生労働省が公表している年金関係の文書の見出しと同じだったことが2日、関係者への取材で分かった。また、ウイルスメールを開いたのは、東京本部内と福岡県の拠点の職員だったことも判明した。
 機構から相談を受けた警視庁公安部は、不正指令電磁的記録供用や不正アクセス禁止法違反などの疑いもあるとみて捜査。公的機関の情報を狙い、職員を誤信させ添付ファイルを開かせる「標的型メール」と呼ばれるサイバー攻撃とみて、職員への聞き取りや感染パソコンの解析を進める。
 関係者によると、送付されたウイルスメールのタイトルは「『厚生年金基金制度の見直しについて(試案)』に関する意見」。このメールを福岡県の拠点の職員が5月8日に開封したことで不正アクセスが発生した。メールタイトルは年金局企業年金国民年金基金課が、厚労省のサイトに平成25年2月8日付で出した文書の見出しと同じだったため、機構の職員が開いてしまったとみられる。

機構は同日、全職員に対してメールや職員用の掲示などで注意を呼びかけたが、同18日までの間、同様のメールが多数、機構側に送られてきた。このうち東京本部内の職員が同日、添付ファイルのついたメールを開封。このメールは、8日に届いたメールと件名が異なっていたとみられ、新たなウイルス感染につながった可能性がある。
 職員のパソコンは情報系システムで結ばれており、最終的に数十台がウイルスに感染したという。



【標的型メール攻撃への日本年金機構の対応】

加入者も苦言、「年金別の人に行っては困る」

2015.6.2 11:57更新 http://www.sankei.com/affairs/news/150602/afr1506020018-n1.html
 年金情報約125万件の流出発覚から一夜明けた2日、日本年金機構の各事務所では職員が情報収集や問い合わせへの対応に追われた。事務所を訪れた加入者からは、苦言が漏れた。
 東京都千代田区の千代田年金事務所では、職員が朝から慌ただしく業務に当たった。砺波静二副所長は「情報が流出した方の年金番号を変更するなどして、今後の対応を進めたい」と硬い表情。
 今後の受給に備え、東京都港区の港年金事務所に問い合わせに来た会社員の男性(64)は、取材に「年金がないと生きていけない。自分の年金が別の人に行ってしまったら困る。そこだけはきちんと守ってほしい」と求めた。
 「自分の年金記録は大丈夫か」「新聞を見たが、通知はいつ届くのか」。京都市や京都府舞鶴市にある年金事務所には、こうした内容の質問が寄せられたという。


年金情報流出で民主関係者が指摘する厚労省の「隠ぺいマニュアル」
2015619 60http://news.livedoor.com/article/detail/10248638/


 日本年金機構の水島藤一郎理事長(68)が17日の衆院厚労委員会で、年金情報流出の公表前にネット掲示板「2ちゃんねる」に内部情報を書き込んだ職員に対し、守秘義務違反で告発を検討していると明らかにした。民主党関係者は「それも問題だが、厚労省の情報隠ぺい体質の方が問題だ」と激怒している。

 年金情報流出をめぐって、特に問題視されているのが、5月8日に不正アクセスが検知されて以来、厚労省年金局の担当係長が1人で丸抱えしていた点だ。25日になってようやく係長は上司に報告。塩崎恭久厚労相(64)への報告が上がったのは28日だった。

「ウイルスに感染したかもしれない大問題を係長が上司に17日間も報告しないなんてあり得ない。厚労省は係長1人に責任を負わせるつもりじゃないか。これが厚労省の隠ぺいマニュアルですよ」(前出の民主党関係者)

 塩崎大臣への報告が遅いのも問題だ。もっと早く報告していれば、その後の対応はより迅速にできたかもしれない。実は塩崎大臣と係長の所属する年金局はバトル状態にあった。

「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)をめぐって大臣と年金局は対立していました」と別の民主党関係者。

 GPIFは国民年金と厚生年金の積立金の管理と運用を行うところ。昨年、GPIFは年金の積立金の株式運用に回す比率を上げた。

「年金を守る立場の年金局はこれに反対でした。だって運用に失敗すれば年金が失われてしまう。運用比率を上げて以来、大臣と年金局は“国交断絶”のようになったため、今回の報告が遅れたとみています」(前出の別の民主党関係者)

 また、GPIFの組織改革でも両者は対立していた。ケンカしている暇があったら、2次被害、3次被害を防ぐ手立てを考えるべきだろう。



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※個人情報の流失が確認された方の年金番号の変更は一つの手段として有効かと思います。ネットに流失した個人情報の価値をなくさせる措置は、早急に講じられなければなりません。
 厚生労働省の「隠蔽マニュアル」は、話になりませんが、2チャンネルに組織内情報を書き込んだ職員の犯人探しよりも、まずは上の役職者の責任追及が先ではないでしょうか?
 年金の運用については、まずは国家公務員の共済年金を運用していただいて、その実績から厚生年金や国民年金の運用を検討すべきでしょう。
 それよりも公務員の共済年金と厚生年金、国保の「一元化」を行う方が何より先決です。「一体化」でなく「一元化」です。これが実現されれば、年金の運用なんていう話はでないかもしれません。



機略戦の時代 ~ サイバー戦争におけるアメリカの姿勢と日米によるサイバー空間での「同盟」構築

「サイバー攻撃制裁」強化するオバマ政権 背景に「AIIBの屈辱」か?

2015.4.23 15:00更新http://www.sankei.com/premium/news/150423/prm1504230006-n1.html

 バラク・オバマ米大統領(53)が中国や北朝鮮からのサイバー攻撃に対する反撃の一手を繰り出した。サイバー攻撃に関与した個人や組織を資産凍結や渡航禁止の対象にすることを可能にするもので、背景には民間企業に対するサイバー攻撃が相次ぎ、米国の安全保障が脅かされているとの懸念の高まりがある。中国側はすでにオバマ氏の対応に不満の声を上げているが、オバマ政権には国際社会での中国の存在感拡大を食い止めたいという思惑もあるとみられ、サイバー攻撃に関しては強い態度を示している。オバマ氏はこれまで中国との協調をアピールしてきたが、サイバー攻撃問題は今後も摩擦の火種になりそうだ。

中国の存在感拡大阻止

 「外国からの悪意のあるサイバー攻撃は米国の安全保障や外交、経済に非常に重大な脅威をもたらしている」。オバマ氏は1日に署名した大統領令で、サイバー攻撃の深刻さを指摘したうえで「非常事態」を宣言した。
 大統領令は、財務長官によってサイバー攻撃に関与したと認定された個人や組織を経済制裁の対象とするもの。またサイバー攻撃によって盗まれたものだと知りながら、商取引上の情報を受け取ったり、利用した個人などへの制裁も可能になる。
 オバマ政権はこれまでロシアによるクリミア併合や、シリアのアサド政権への支援などに関与した個人に対して制裁を科してきたが、サイバー攻撃については制裁のための枠組みが十分ではなかった。米政府高官は今回の大統領令について「サイバー攻撃の脅威と戦うためにはあらゆる手段が必要だ」としている。

米国に対するサイバー攻撃は深刻さを増している。昨年11月に米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントが攻撃された際には、ジョシュ・アーネスト大統領報道官(38)が「安全保障上の深刻な脅威」と表明。米議会からも対応強化を求める声が噴出した。また昨年5月には、中国人民解放軍のサイバー攻撃部隊「61398部隊」の将校5人が米原発大手ウェスチングハウスや、米鉄鋼大手USスチール、米アルミ大手アルコアなど名だたる大手企業に対するサイバー攻撃に関与したとして米国で起訴された。

背景にAIIBでの屈辱

 一方、これまでもサイバー攻撃への関与を否定してきた中国側は、この大統領令に即座に反発。中国国営新華社通信(英語版)によると、中国外務省の華(か)春(しゅん)瑩(えい)報道官は今月2日の記者会見で「国際社会は相手に対する尊敬と信頼に基づいた対話と協力によってサイバー攻撃問題を解決するべきだ」と述べた。サイバー攻撃の犯人は中国や北朝鮮だと主張する米国へのあてつけだ。
 今回の制裁強化は、中国が年内の設立を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創立メンバーとして50カ国超を集めるなかで発表された。オバマ政権はAIIBが中国の影響力拡大のツールとして使われることを懸念し、水面下で各国に不参加を呼びかけながらも、英国、フランス、ドイツ、イタリア、豪州、韓国など重要な同盟国に相次いでそっぽをむかれるという屈辱を味わっただけに、中国への対決姿勢には「国際社会に対して『ルールに従わない中国』のイメージを強調したい」という思惑もちらつく。

協調と同時に牽制

 こうした見方を裏付けるように、ジャック・ルー財務長官(59)は3月31日、北京での李克強首相(59)らとの会談からの帰国直後のスピーチで、「サイバー攻撃は受け入れられない。特に国家が関与している場合はなおさらだ」として中国を糾弾。また中国がIT企業に対して電子情報にかけた暗号の解読方法を治安当局に示すことなどを義務化しようとしていることについても「米中間の経済関係を損なう」と批判した。
 またオバマ氏自身も18日のオハイオ州でのスピーチで環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉について触れ、「世界で最も速く成長している地域のルールが中国によって書かれることがないようにしなければならない」と言及。1月の一般教書演説でも述べたTPPの「中国包囲網」としての意味合いを強調し、米国の指導力を示そうとしている。
 オバマ氏が中国に対して弱腰だと受け止められれば、2016年の大統領選挙で民主党候補が共和党から攻撃される材料になりうる。オバマ氏は気候変動問題などで中国との協調関係をアピールする姿勢が目立っていたが、同時に中国への牽制(けんせい)も強めていくことになりそうだ。(ワシントン支局 小雲規生)


中国はサイバー攻撃でF22、F35の情報を盗んでいた。

【日米・サイバー攻撃対処へ協力強化】防衛相が共同声明

2015/5/30 20:14 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS30H6I_Q5A530C1PE8000/

 中谷元・防衛相とカーター米国防長官は30日に会談し、サイバー攻撃に対する日米の防衛協力を強化するための共同声明を発表した。自衛隊や米軍の指揮・通信システムなど国家の安全を脅かすサイバー攻撃が発生した際、日米で緊密に協議し、適切な協力行動をとると明記した。
 中谷氏は米海兵隊が17日にハワイ州オアフ島で起こした新型輸送機MV22オスプレイの着陸失敗事故について、必要な情報提供を求めた。米軍が24機を配備している沖縄県などが反発しているためだ。カーター氏は「安全な運用を改めて徹底する」と応じた。
 中谷氏は米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を「唯一の解決策だ」と強調。カーター氏は沖縄の基地負担の軽減に協力する考えを示した。
【シンガポール=田島如生】

※サイバー攻撃への「日米で緊密に協議し、適切な協力行動をとると明記」したわけですが、具体的にどう対応していくのでしょうか?
サイバー攻撃は、国家中枢にある社会、経済インフラを繰り返し攻撃することにより、混乱麻痺させて、攻撃対象国の国力をそいでいくという攻撃形態です。こうした機略戦について我が国は、従来の「専守防衛」戦略ではたして十分な対処ができるのでしょうか?

サイバー攻撃分析プログラムをアメリカ陸軍が公開!ハッキング犯との新たな心理戦。




2015年6月27日土曜日

国家防衛の本来のあり方~「軍事強国」の覇権侵略にどうたちむかうか?~

中国の圧倒的な軍事力に立ち向かうベトナム

日本とは大違いの「自分の国は自分で守る」姿勢


米軍の偵察機が捉えた、中国が南シナ海で建設を進めている人工島の空撮映像。(c)AFP/AFP TV/US NAVYAFPBB News

 62324日、ワシントンDCで第7回米中戦略経済対話が開かれた。この会合は定期的に開かれている米中間の交流の一環であるが、今年は9月に予定されている習近平国家主席のアメリカ訪問に関する具体的な準備作業といった意味合いも持っていた。
「人工島脅威論は米軍のプロパガンダ」
という批判
 その準備作業に関連して、中国側による、アメリカのメディアやシンクタンクなどに対する働きかけも強まっている。その結果かどうかは定かではないが、シンクタンクの研究者などから、米政府やメディアによる中国の南シナ海政策に対する強硬論を「冷静に再評価すべきである」といった論調が唱えられるようになってきた。
 例えば、「アメリカ太平洋軍関係者たちのように、中国の人工島建設をはじめとする進出状況だけを取り上げて、南沙諸島領域紛争に関与している中国以外の関係諸国の行動を問題にすることなく一方的判断だけで中国脅威論を言い立てるのは、情報発信ではなくプロパガンダである」(グレッグ・オースティン博士)といった批判も飛び出してきている。確かに南沙諸島で埋め立て作業をしたのは中国だけではないし、大規模な滑走路も中国が建設しているものが最初ではない。
 ただし、中国の埋め立て作業規模は巨大であり、滑走路も長大であり、本格的な軍事施設が出現することは間違いない。そして、それらの事実を踏まえて太平洋軍関係者たちは、最悪の事態を想定するという軍隊の使命に則って、中国脅威論を展開しているわけである。
南沙諸島に基地を建設している台湾、フ
ィリピン
 中国は現在ファイアリークロスを大規模に埋め立てて、3000メートル級滑走路を伴う軍事施設を建設中である。
 一方、現時点で南沙諸島最大の島である太平島には1150メートル滑走路があり、台湾軍が陣取っている(中国がファイアリークロス礁の人工島を完成させると、それが南沙諸島最大になると思われる)。この太平島空港は2008年に完成し、台湾軍C-130輸送機の発着が可能である。ちなみに、太平島は1939年に日本軍により占領され長島と改名され、日本敗北まで日本が実効支配していた。第2次世界大戦中には日本海軍の潜水艦基地が設置されていた。現在は台湾軍が管理する滑走路のほかに、レーダー施設や気象観測施設それに駐屯施設があり、海軍フリゲートや沿岸警備隊巡視船が着岸可能な港湾施設も建設中である。
南沙諸島太平島
 また、1971年からフィリピンが実効支配している南沙諸島で2番目に大きいラグアサ島(パラワン州に所属している)には、すでに1975年に1300メートルの滑走路を持つ飛行場が建設され、フィリピン軍の基地も建設された。現在もフィリピン海軍基地に部隊が駐屯しているだけでなく、100200名の民間人も居住している。フィリピン海軍は港湾施設を建設する計画を立てていると言われている。
フィリピンがラグアサ島に建設した滑走路
自ら手を打たねばならないベトナム
 ベトナムもいくつかの岩礁の一部を埋め立てたりして、軍事施設を設置したり、砲台を築いたりしている。南沙諸島におけるベトナム軍拠点には、台湾軍やフィリピン軍のような本格的滑走路のある航空施設は確認されていないが、ベトナムが占拠している岩礁の数は48カ所と圧倒的に多い。ちなみに中国が現在占拠している環礁は8カ所であり、フィリピンも8カ所、マレーシアが5カ所、台湾が1カ所となっている。
 そのベトナムは、フィリピンや日本と違って、アメリカと同盟関係にないため、アメリカの軍事的支援を期待することはできない(もちろん、中比軍事衝突や日中軍事衝突が勃発した場合に、フィリピンや日本が期待しているアメリカの軍事的支援が実現するかどうかは100%保証されているわけではないのだが)。
 ベトナムはロシアから戦闘機や軍艦など各種兵器を輸入しているものの、ベトナムとロシアが同盟関係にあるわけではない。それに、ロシアは中国にも様々な兵器類をベトナム以上に輸出している。要するに、ベトナムと中国の関係にとっては、ロシアは単なる「死の商人」に過ぎず、ロシアの軍事的支援など期待しようもない。したがって、ベトナムは中国による南シナ海拡張政策から自らの領域や権益を守り抜くためには、自主防衛能力を強化するしかない。しかしながら、中国とベトナムの海洋戦力(海上、海中、航空戦力)には天と地もの差があると言っても過言ではない状況である。
最小抑止力を手にしたベトナム
 ベトナム軍は、圧倒的に戦力差がある中国海洋戦力に対抗するために、万一の際には中国海軍(ベトナムが関係するのは南海艦隊)の中枢に反撃を加えることができる攻撃力を構築しつつある。圧倒的戦力を誇る敵とはいえ、その中枢部に反撃を加える能力を手にすれば、充分とはいえないものの「とりあえずの抑止力」を手にすることとなるのだ。
ベトナム軍が配備を進めているのが、ロシア製の強力な長距離地対艦ミサイルである。ベトナム軍が運用を開始したのはK-300P Bastion-Pと呼ばれる地上移動式ミサイル発射システムであり、そこから発射されるP-800 Oniks超音速地対艦巡航ミサイルの射程は300キロメートルである。このミサイルシステムは、発射地点に移動してわずか5分で攻撃準備が完了するという極めて機動性に富んだシステムと言われている。
 ベトナム軍が配備を開始したこの地対艦ミサイルシステムは、中国海軍の南沙諸島方面への本拠地である海南島の三亜海軍基地を射程圏内に収めているだけでなく、湛江の中国海軍南海艦隊司令部をも攻撃することが可能である(P-800は艦艇だけでなく、地上目標の攻撃もできる)。
黄色のラインがP800地対艦ミサイルの射程圏

 ただし、ベトナム軍が現在手にしているK-300P発射管制システムはわずか2セットにとどまっているため、中国海軍の動きを封じ込めるほど決定的な抑止力にはなっていない。しかし、万が一にもベトナムと中国の間に軍事衝突が発生した場合には、ベトナム軍による中国南海艦隊の本拠地に対するミサイル攻撃が敢行される可能性があり、極めて限定的ながらも抑止効果を期待することが可能である。

自分の身は自分で守るベトナムの姿勢
 以上のように、ベトナムは中国人民解放軍の圧倒的な軍事力に屈することなく、自国が領有権を主張している島嶼岩礁に軍事施設等を設置して、それらに対する実効支配を目に見える形で示すとともに、敵本拠地への反撃能力という最小限の抑止力を自力で身につける努力をしている。
 このような自主防衛方針は、日本の防衛方針とは好対象である。日本は、尖閣諸島を実効支配しているとは主張しているものの、何ら目に見える形での施策は実施しようとせず、万一の際にも敵勢力の要所に対して反撃することによる「とりあえずの抑止力」を手にしようともしない。
 現在、日本の国会で継続している安保法制論議からは、自主防衛力の構築など考えてもいないような政治家たちや、抑止力と日米同盟を同義と考えているような政治家たちの姿が誰の目にも明らかになっている。自国の領域は自分で守り抜くというベトナムの姿勢を少しでも見習ってほしい。


国際海洋法で尖閣諸島を守る海上保安庁
~平成27年に「尖閣専従部隊」創設にむけての動き~

海上警察力の強化で我が国は、尖閣諸島の主権を主張していますが、どうしても考えてしまうのは、尖閣諸島に海保のヘリポートや港湾などの施設があれば、さらに円滑に巡視ができるのではないか?ということ。もう政府は事なかれ主義はやめて「国有化」したなら、それなりの陸上基地を尖閣諸島に作るべきかと思います。

新型巡視船あきつしま

尖閣諸島の巡視を行うのは、海上保安庁第11管区の巡視船。迅速、確実なレスキューにおいても我が国の主権の主張につながります。海上保安庁のみなさんの国境警備のご努力に敬意を表します。
【日本が新型巡視艇を建造へ中国活動家の尖閣上陸に対応
サーチナ 821()http://news.searchina.ne.jp/disp.cgiy=2012&d=0821&f=politics_0821_031.shtml
 海上保安庁は中国の活動家の尖閣諸島(中国名:釣魚島)再上陸に対応するため、より強いブロック機能を持つ新しい巡視艇の建造を検討しているという。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。
 報道によると、新型巡視艇は1000トン級で大型の機関砲と最新の「長距離高圧放水銃」を搭載、特殊な監視設備が設置され、夜間、長距離の周辺水域船舶の監視制御に対応できる。この新型の巡視艇の建造費用は約50億円~60億円程度だ。
 海上保安庁は、新型巡視艇は主に尖閣諸島周辺海域の警備を担当し、中国の活動家の尖閣諸島上陸阻止に使用される予定だ。(編集担当:米原裕子)

【ヘリ搭載巡視船、追加】尖閣警備で海保2隻態勢

2013.10.12 10:34更新 http://www.sankei.com/politics/news/131012/plt1310120013-n1.html
第11管区海上保安本部(那覇市)は11日、追加配備したヘリコプター搭載巡視船「おきなわ」(3100トン)の配属式を那覇市の那覇国際ターミナルで行った。11管のヘリ搭載巡視船は「りゅうきゅう」と合わせ2隻になり、中国海警局の船が領海侵入を繰り返す尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域での警備態勢が強化された。
 おきなわは先月まで7管(北九州市)に所属していた「ちくぜん」を改称し、11管に移した。ちくぜん時代には平成11年に能登半島沖で領海侵入した北朝鮮工作船に威嚇射撃を行った。
 新たにおきなわとして尖閣警備と海難救助などの通常業務にあたり、12日に尖閣警備に向かう。
 ヘリ搭載巡視船はヘリを機動的に運用でき、哨戒範囲が広いのが特徴。ヘリから撮影した船の映像をリアルタイムで巡視船や本部に送ることが可能で、対処の判断を迅速化できる。
 ヘリ搭載型が2隻所属する管区は1管(小樽市)と3管(横浜市)、10管(鹿児島市)に次いで11管が4つ目となる。2隻態勢となったことで尖閣警備をローテーション化し、乗組員の負担も軽減できる。
 海上保安庁は27年度末の尖閣警備専従部隊の創設を念頭に巡視船を12隻(新造10隻、既存船改修2隻)増強する方針だが、おきなわの追加配備はそれまでの「つなぎ役」と位置づけられる。

海上保安庁、尖閣諸島などへの中国公船対応のため中型巡視船など5隻を新造…2014年度政府予算案
20140106日(月) 1200http://response.jp/article/2014/01/06/214184.html
海上保安庁は、尖閣諸島周辺海域を徘徊する中国公船に対応するため、戦略的海上保安体制を構築するなどの2014年度の政府予算案を発表した。
 中国公船に適切に対応するため、大型巡視船14隻相当の専従体制を確立するとともに、情勢変化に柔軟に対応できるように領海警備のための戦略的海上保安体制を構築する。
 具体的には、監視能力、規制能力等を備えた中型巡視船の整備に着手するため、中型巡視船4隻、ヘリコプター搭載型巡視船1隻の新規5隻を整備する。また、前年度までの予算で着手した1000トン型巡視船18隻とヘリコプター搭載型巡視船2隻の整備も引き続き推進する。
 尖閣領海警備専従体制の確立に向け、石垣港での拠点機能を強化するため、宿舎を整備する。