2016年3月14日月曜日

「米中戦争の様相」③ ~新たな核戦略の胎動か?アメリカの「敵」は共産中国だけにあらず~

米国の空母打撃群派遣を中国は間違いなく逆手に取る
“大義名分”を振りかざして南シナ海を軍事拠点化
北村 淳 2016.3.10(木)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46287
原子力空母ジョン・C・ステニスのデッキ。201635日、南シナ海にて(写真:米海軍)

かねてより九段線を設定して「南シナ海の大半は中国の主権的領域である」との主張を展開している中国と、南シナ海での軍事的優勢をなんとかして確保しておきたいと考えるアメリカ軍の応酬が激しさを増している。
 アメリカ海軍は、さして効果的ではないと考えられている「FONOP」(公海航行自由原則維持のための作戦)に加えて、いよいよ先週には、多数の艦載機を搭載した原子力空母ステニスを中心とする空母打撃群(艦隊)を南シナ海に送り込んだ。


九段線(赤い大まかな点線)を示す中国の地図

「アメリカこそが南シナ海での軍事化を進めている」と中国
アメリカ海軍の太平洋艦隊司令官を務め現在は太平洋軍司令官の重責を担っているハリス海軍大将や、対中牽制派のアメリカ軍人やシンクタンクの研究者たちは、かねてより南シナ海や東シナ海での中国による軍事的侵出政策に警鐘を鳴らし、アメリカは断固たる軍事的牽制を加えなければ「取り返しがつかない状況になりかねない」と警告を発し続けてきた。
 しかしオバマ政権は、対シリア政策と同様に、中国の覇権主義的海洋政策に腰が引けた姿勢で接してきたため、太平洋艦隊などから湧き上がっていた対中強硬姿勢はなかなか実現することはなかった。
そして、20142月頃、中国が人工島建設らしき埋め立て作業を南沙諸島で実施しているのが確認され、それから2年と経たないうちに7つもの人工島が誕生してしまった。
 さすがに、7つの人工島誕生が現実的なものになり、そのうちの3つに立派な航空基地となりうる3000メートル級滑走路まで確認された2015年秋になると、ようやくアメリカ政府はハリス大将をはじめとする対中牽制派の要請にゴーサインを出し、10月と今年2月にアメリカ太平洋艦隊駆逐艦によるFONOPが実施された。
 しかし、依然としてアメリカ政府の対中姿勢は融和的であった。海軍の対中牽制派が目論んでいるような、中国側を威圧するような強硬なFONOPを実施することはできず、「単に無害通航権を行使しただけの穏健なFONOP」が実施されたにとどまった。
 そのため、中国側がこれらのFONOPを「アメリカによる断固たる軍事的圧力」と受け止めた形跡は皆無であった(口では「脅威を受けた」と言ってはいるが)。
 それどころか、アメリカ海軍が2回目のFONOPを西沙諸島で実施すると、「永興島(ウッディー島)が軍事的脅威にさらされているため自衛措置が必要である」として、中国軍は永興島に対空ミサイル部隊を配備してしまった(永興島は西沙諸島に位置し、南シナ海の“中国海洋国土”を管轄する三沙市政府機関が設置されている)。
 それに対してハリス太平洋軍司令官は、2016224日に行われた連邦議会での公聴会で「中国は明らかに南シナ海に軍隊を展開して軍事拠点化しようとしている」と証言し、それを認識しないことは「地球が平らであることを信じるようなものだ」と、政府や議会に対して断固たる対中牽制策実施の必要性を訴えた。
 すると中国側は直ちにハリス提督の指摘に対する反論を展開し始めた。そして中国で全人代が始まると、全人代の傅瑩報道官は「南シナ海で起きていることをよく観察してみれば、最新鋭の軍用機や軍艦を南シナ海に送り込んでいるのはアメリカだ」と指摘し、「アメリカこそが多くの同盟国を巻き込んで南シナ海での軍事化を進めている張本人である」とアメリカのリバランス政策を強く批判したのである。
ついに空母打撃群を派遣
ハリス太平洋軍司令官の議会証言を皮切りに「口による戦争」が米中間で開始されると、アメリカ海軍は空母打撃群を南シナ海に向けて進発させた。
 今回、南シナ海に展開することになった空母打撃群を構成しているのは、シアトル郊外ブレマートンを母港にしている原子力空母ジョン・C・ステニス、横須賀を本拠地にしているアメリカ第7艦隊旗艦の揚陸指揮艦ブルーリッジ、イージス巡洋艦アンティータム(母港:横須賀)、同じくモービルベイ(母港:サンディエゴ)、イージス駆逐艦チャン=フー(母港:パールハーバー)、同じくストックデール(母港:サンディエゴ)の6隻からなる艦隊である。もちろん公表はされていないが、原子力潜水艦が少なくとも1隻は警戒のために同行している。
米空母ジョン・C・ステニス(ブレマートンにて)(写真:米海軍)
アメリカ太平洋艦隊司令部は、「南シナ海でアメリカ海軍は長い間にわたって艦艇や航空機による日常的なパトロールを実施してきている。たとえば、2015年の1年間に太平洋艦隊の艦艇が南シナ海を航行した“延べ日数”は700日である」と、空母打撃群が南シナ海に展開していることは「なにも中国側に圧力をかけようといった趣旨の軍事的示威行動ではない」との声明を発した。
中国側にとっては軍備強化の口実
そうはいっても、第7艦隊旗艦まで同行する空母打撃群を、このタイミングで南シナ海に展開させたことがただの日常的なパトロールではないことは明らかである。アメリカ海軍関係者たちも、「アメリカ海軍と国防総省が、南シナ海に対する強く懸念を抱いているとの意思表示を込めるとともに、アメリカ海軍は世界中に強力な艦隊を送りこめる能力があることを示威するものである」と認めている。
 中国側が反撃を開始することは間違いない。
 といっても、もちろん空母打撃群にミサイルを打ち込むような直接的反撃ではない。空母打撃群というアメリカしか保有していない強力な海軍戦力の南シナ海への展開は、すでに傅瑩報道官が指摘した「アメリカによる強力な海洋戦力の南シナ海への展開」そのものである、と中国側は言い立てるであろう。
 そして、「アメリカによる軍事的脅迫から、中国の主権を自衛するため」と称して、7つの人工島にも地対艦ミサイル部隊や地対空ミサイル部隊を堂々と設置し始めることは確実だ。
また、それらの島々への民間施設の建設(民間人居住者という人間の盾の配備)と並行して、軍用航空施設や軍港施設それに各種レーダーサイトの建設も急ピッチで進めることになるだろう。
 何と言っても中国は、「アメリカが強力な空母打撃群まで派遣して、中国の海洋国土を脅かしている」という“大義名分”を振りかざすことができるようになったのだ。
これまでのセオリーは有効なのか?
アメリカ海軍が「オバマ政権の煮え切らない対中姿勢にいつまでも引きずられていては、南沙諸島や西沙諸島に設置された多数の軍事拠点によって南シナ海での優勢が完全に中国側にとって変わられてしまう」との強烈な危機感から空母打撃群を展開させたのは、これまでのアメリカ海軍のセオリーに則った行動ということができる。
 しかし、南シナ海は中国海洋戦力にとっては前庭のようなものである。一方、アメリカ海洋戦力は遠征部隊を派遣しなければならない。この地理的条件のために、圧倒的に人民解放軍が距離の優位を手にしている。
 また、人民解放軍は南沙諸島や西沙諸島に多数の軍事拠点を設置してしまったため、南シナ海の大海中に点在する「移動はできないが決して沈むことのない」陸上拠点からアメリカ艦艇や航空機を攻撃することができる。
 これらの理由などによって、「今までのように空母打撃群を派遣した程度では、1996年のいわゆる台湾危機のように中国側を威圧する効果はさして期待できない」と懐疑的な意見も少なくない。

「将軍は過去の戦争経験で将来の戦争を戦おうとする」とはよく言われる格言であるが、中国の前庭のような南シナ海や東シナ海での対中牽制作戦にとっては、かつては絶大な威力を発揮したアメリカ海軍が誇る空母打撃群も、もはや賞味期限切れなのかもしれない。今、アメリカ(そして日本)にとって必要なのは、新機軸の対中封じ込め戦略である。

「南シナ海を内海化しようともくろむ共産中国海軍を抑止せよ!」


【あわや中国が防空識別圏を設定】米空母艦隊派遣の本当の理由
2016.3.6 17:37更新 http://www.sankei.com/west/news/160306/wst1603060047-n1.html
米国防総省と第7艦隊が中国の全人代開幕に合わせたかのように米空母艦隊を南シナ海に派遣した。背景には南シナ海の軍事基地化を進める中国が一方的に防空識別圏を設定し、南シナ海を“聖域”としかねないとの危機感があったようだ。米国は中国による軍事拠点化を防ぐ方針だが、状況は全く予断を許さない。
 南シナ海に派遣されたのは原子力空母「ジョン・C・ステニス」、ミサイル巡洋艦「モービル・ベイ」、イージス駆逐艦「チャン・フー」「ストックデール」のほか、補給艦「レーニア」。米海軍は今回の空母艦隊派遣を通常のパトロール任務だとしているが、この言葉を額面通りに受け取る人はいないだろう。フィリピンのマニラには米海軍横須賀基地(神奈川県)を拠点とする第7艦隊の旗艦「ブルー・リッジ」が寄港している。
■2030年までに「中国の湖」になる
 米空母艦隊派遣が公になる直前の3月1日にはカーター米国防長官がサンフランシスコで講演し、中国が南シナ海の軍事化をやめようとしないのなら、「それに見合う結果を伴う」と述べ、対抗措置を取る考えを強調していた。
 2007年にも南シナ海に派遣されたことがある「ジョン・ステニス」のハフマン艦長は「中国の艦船が周囲にいる」と、米空母艦隊の動きは中国に監視されていると説明する一方、集まった中国の艦船の多さについて「過去の私の経験では見たことがない」と語り、10年ほどで南シナ海をめぐる軍事状況は一変していることも明らかにした。
米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が2016年1月にまとめた報告書は、南シナ海について「2030年までに事実上、中国の湖となる」と警鐘を鳴らしている。
 中国による南シナ海の軍事拠点化の勢いはとどまることがない。2014年5月に中国がスプラトリー(中国名・南沙)諸島の岩礁で大規模な埋め立てを行っていることが判明。2016年1月にはスプラトリー諸島にある人工島の飛行場に試験飛行を実施した。米国防総省が2016年2月、スプラトリー諸島に新たなレーダー施設を建設していることを確認した。また、同年2月にはパラセル(中国名・西沙)諸島に対空ミサイルが配備されたのに加えて、戦闘機が派遣されたのも分かった。
■一挙に防空識別圏を設定か?
 米国がこうした南シナ海における中国の行動を受けて、最も警戒しているのが防空識別圏設定の強行だ。ハリス米太平洋軍司令官は2016年2月25日の記者会見で、ケリー米国務長官が中国に対し、南シナ海上空に防空識別圏を設定しないように求めたことを明らかにする一方、中国が防空識別圏を設定しても「無視する」と語った。
中国外務省の洪磊報道官は2月26日の記者会見で、南シナ海上空に防空識別圏を設けるかどうかについて「状況次第だ。南シナ海の現状は全体として安定している」と述べたが、遅かれ早かれ中国が防空識別圏を設定しようとするのは間違いないというのが軍事関係者の常識的な見方だ。
 レーダーと対空ミサイルの配備、そして戦闘機の派遣というのは実は東シナ海での行動が一つの教訓となっている。中国は2013年11月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定した。しかし、米軍は戦略爆撃機B52を中国に事前通告することなく派遣し、堂々と防空識別圏内を飛行させた。
■東シナ海での教訓に学ぶ
 中国はB52の飛行をレーダーでとらえたと主張したが、元航空自衛隊幹部は「中国はスクランブルをかけていない。B52を捕捉することができなかったのではないか」と見ている。
 つまり、東シナ海ではレーダーや対空ミサイルなど防空用兵器の配備が追いつかなかったために米軍の進入を易々と許す結果となったというわけだ。南シナ海でその二の舞とならないようにするには進入してくる米軍を捕捉・迎撃できる兵器を揃えた上で、防空識別圏の設定に踏み切る必要がある。
 レーダーで捕捉し、対空ミサイルで迎撃、さらに進入を試みようとする敵については航空機を緊急発進(スクランブル)させるということになる。先の元空自幹部はこうした中国の動向について「南シナ海の制海権と制空権を掌握するために着々と布石を打っている」と分析している。

 こうした中、米軍内では「中国が南シナ海の軍事拠点を前方展開基地に変容させようとしている」との強い警戒感が出ており、攻撃型原子力潜水艦の追加配備やステルス駆逐艦「ズムワルト」を展開することも検討している。米国が実施している「航行の自由」作戦との関連は不明だが、2015年11月上旬には海上自衛隊護衛艦が米原子力空母「セオドア・ルーズベルト」と一緒に南シナ海を航行した。年内には日本、米国、インドの3カ国がフィリピン北方の南シナ海近くで海上共同演習を実施する。南シナ海をめぐる角逐は続くことになる

《維新嵐》 ジョンCステニス空母打撃群のアジアへの回航については一概に共産中国の海洋覇権抑止という意味だけではないようです。このことについては、以下の記事によりわかります。

米原子力空母が釜山入港 演習参加で攻撃力誇示

20163131127共同通信 http://news.livedoor.com/article/detail/11288722/


 【釜山共同】2016年4月末まで韓国と周辺海域で実施されている米韓合同軍事演習に参加する米海軍の原子力空母「ジョン・ステニス」が2016313日、韓国南部の釜山港に入港した。核・ミサイル開発を継続する意思を明らかにし、米韓を威嚇する北朝鮮に攻撃力を誇示し、韓国への武力挑発をけん制する意図とみられる。
米国には、大規模攻撃が可能な大型兵器を韓国に展開することで、韓国でくすぶる核武装論を沈静化させる狙いもあるとみられる。ジョン・ステニスは2016年1月に米ワシントン州の母港を離れ、中国をにらんだ南シナ海での警戒監視活動を行っていた。
《維新嵐》 共産中国が不法占領を継続し続ける南シナ海への「警戒監視」を行うことも作戦であることはまちがいないが、そればかりではなく不穏な核実験やミサイル発射をやめようとしない北朝鮮に対して、米韓合同軍事演習という場を利用して「武力による威嚇」を行うこと。また北朝鮮の核開発に伴う韓国国内での一部核武装論に対して、核戦略の実行者がアメリカであり、韓国にないというメッセージを出そうという政治的な意味、目的もあるとされるが間違いではないだろう。アメリカの空母打撃群は中小国であるなら、一国の空軍力に匹敵する力を持つ、それが幅広く海洋を監視行動することによる政治的意味合いは決して小さくはない。共産中国はこのアメリカの空母打撃群の派遣を逆手にとった戦略が実行できたとしても北朝鮮には同じことはできない。まして韓国国民、政府は、アメリカのアジアでの核戦略の実像をあらためて実感するのではないだろうか?


ステニス空母打撃群、釜山に到着 韓国海軍と共同演習

配信日:2016/03/14 21:25
http://flyteam.jp/airline/united-states-navy/news/article/61014

アメリカ海軍は、空母USSジョンC.ステニス(CVN-74)を旗艦とする空母打撃群(JCSSG)が、2016313日、韓国の釜山(プサン)に到着したと発表しました。

JCSCSG
のうちステニスと駆逐艦USSストックデール(DDG-106)USSチャン・フー(DDG-93)が釜山、巡洋艦USSモービル・ベイ(CG-53)は木浦(モクポ)に入港し、駆逐艦USSウィリアムP.ローレンス(DDG-110)は日本海を航行しています。
  乗員らは観光や文化交流を楽しんだ後、韓国海軍との共同演習「フォール・イーグル」に参加します。ここでは射撃訓練や通信訓練、艦隊機動、補給訓練、サルベージ訓練、将校の交換などを行います。
 JCSCSGは、115日のアメリカ西海岸出港以来、動物性脂肪と石油系燃料を混合した10%の代替バイオ燃料を使用し、省エネ運用しながら対応能力強化に努めています。
 今回のJCSCSG釜山入港は、ミサイル発射で挑発を続ける北朝鮮への圧力とする分析が多くみられます。

CVW-9
所属飛行隊
41戦闘攻撃飛行隊(VFA-41)ブラックエイセス F/A-18F
14戦闘攻撃飛行隊(VFA-14)トップハッターズ F/A-18E
151戦闘攻撃飛行隊(VFA-151)ビジランティーズ F/A-18E
97戦闘攻撃飛行隊(VFA-97)ウォーホークス F/A-18E
25戦闘攻撃飛行隊(VFA-25)フィスト・オブ・ザ・フリート F/A-18E
133電子攻撃飛行隊(VAQ-133)ウイザーズ EA-18G
112早期警戒飛行隊(VAW-112)ゴールデンホークス E-2C
71海上攻撃ヘリコプター飛行隊(HSM-71)ラプターズ MH-60R
14海上戦闘ヘリコプター飛行隊(HSC-14)チャージャーズ MH-60S
30艦隊補給支援飛行隊第4分遣隊(VRC-30 Det.4)プロバイダーズ
C-2

ジョン・C・ステニス空母打撃群の米韓合同軍事演習参加と並んで、大規模な海兵隊による上陸演習も行われました。韓国で開催されるあたり、北朝鮮にむけた軍事的メッセージとみていいでしょう。二つの演習によって北朝鮮の南下を抑止している、といえますね。
韓国で米韓豪ニュージーランド参加の大規模上陸演習始まる
配信日:2016/03/12 21:25http://flyteam.jp/airline/united-states-marine-corps/news/article/61009
手前からUSSボノム・リシャール(LHD-6)ROKS独島(LPH-6111)USSボクサー(LHD-4)

アメリカ海軍/海兵隊、韓国海軍/海兵隊、オーストラリア陸軍、ニュージーランド陸軍が参加する「サンヨン(双龍) 16」合同演習が、201639日から韓国で始まりました。
 サンヨン演習は、アメリカ海軍/海兵隊と韓国軍の相互運用性と、軍事作戦や災害救援など遠隔地での作業関係を強化するために隔年開催されているもので、海軍力を統合して作戦する能力をテストします。上陸訓練や飛行運用、兵員の移送など、朝鮮半島とアジア太平洋地域での不測の事態に対応する訓練が行われます。
 アメリカ海兵隊から約9,200名、アメリカ海軍から約3,100名、韓国海兵隊から約4,500名、韓国海軍から約3,000名、オーストラリア陸軍から100名、ニュージーランド陸軍から60名が参加します。

参加部隊
ボノムリシャール遠征打撃群(BHRESG)
・第11海兵遠征部隊(11MEU)
・第31海兵遠征部隊(31MEU)
・強襲揚陸艦USSボノム・リシャール(LHD-6)
・ドック型揚陸艦USSアシュランド(LSD-48)
・ドック型揚陸艦USSジャーマンタウン(LSD-42)
・誘導ミサイル巡洋艦USSシャイロー(CG-67)

ボクサー水陸両用即応群(BOXARG)
・強襲揚陸艦USSボクサー(LHD-4)
・ドック型輸送揚陸艦USSニューオーリンズ(LPD-18)
・ドック型揚陸艦USSハーパーズフェリー(LSD-49)
・第1水陸両用中隊(PHIBRON-1)
・第13海兵遠征部隊(13MEU)
・第35海兵戦闘補給連隊(35MLG)
・第1戦車大隊(1Tank Bn)
・第1海兵遠征軍(1MEF)危機即応中隊

5指揮艦隊(COMFLOT-5)
・強襲揚陸艦ROKS独島(LPH-6111)
・揚陸艦ROKS天王峰(LST-686)
・駆逐艦ROKS文武大王
(DDH-976)


《維新嵐》 ジョンCステニス空母打撃群の合同軍事演習への参加は、米韓豪による共同防衛体制構築のための支援ともいえるかと思う。共産中国だけを念頭においた「抑止」戦略ではなくて、北朝鮮の動きも随時牽制していなくてはならない。また北朝鮮対策のためには、韓国やわが日本との軍事的な連携にも配慮する必要があるのだろう。韓国が核武装することで、いや論議すらすることでアジアでの無用な「緊張感」を作らせたくないということが本音なのではにだろうか?

 アメリカはさらに空母打撃群だけによらない軍事力の整備、強化もあわせて進めていくようです。
トマホーク巡航ミサイルが共産中国にとても有効である事実を知っていますからね。核戦略と絡めた新たなミサイル戦略をステルス爆撃機の活用とともに整備していくようです。それが新たな軍事上の懸念材料になるリスクもはらんでいるようです。



オバマが目論む核戦力更新計画

岡崎研究所
20160310日(Thuhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/6277

核兵器廃絶を掲げてきたオバマ政権だが、1兆ドルの核戦力の更新を計画している、と2016123-29日付の英エコノミスト誌が報じています。要旨は、以下の通りです。
iStock

LRSOが核使用の敷居を低める
 オバマ政権は今後30年かけて米国の核戦力を更新しようとしている。その一環である新型長距離巡航ミサイルLRSOの開発に対し、核軍縮派のペリー元国防長官らが異を唱えている。LRSOは米国の空爆作戦を牽引してきた核攻撃型巡航ミサイル、トマホークの後継だ。敵は核巡航ミサイルで攻撃されても、それが通常弾頭だったのか、核弾頭だったのかわからない、LRSOがなくても米国の核抑止力は損なわれないというのがペリーらの言い分である。
 他方、オハイオ級原子力潜水艦や地上発射ミサイル、大陸間弾道ミサイル(ミニットマンIII)の後継の開発については、反対はほとんどない。ロシアが新START条約の許す限度の700基のミサイルと爆撃機を保有している現在、やはり必要というのが大方の見方だ。
 そこで、議論の焦点はLRSOや自由落下核爆弾B61-12の開発になるが、これらは、主として次期爆撃機B-3に搭載されることになっている。既にノースロップ・グラマン社が開発を請け負い、2025年には就役する。
 実は、この新型爆撃機の登場が、LRSOの正当性を主張する立場を弱くしている。加えて、B-3に搭載される新型爆弾が、核威力の拡大と縮小(広島型の3倍~2%)が可能で、命中精度も30メートル内と、これまでのミサイルよりはるかに高性能である。反対論者たちは、命中精度が高く、核威力を非常に小さくできるために、司令官たちがミサイル発射に踏み切る敷居が低くなる、と主張する。
 一方、支持者たちは、反対論者は過去に囚われている、イランとは核合意が成立したが、複数のならず者国家が核を獲得する可能性がある今、同盟国に提供する抑止力に信頼性を持たせるには、小型で標的識別能力のある核爆弾が必要だと主張する。それにロシアも米国の通常戦力の優位を相殺すべく低威力の核兵器に力を入れている。要するに、国防総省の懸念は、使えるミサイルが全て大型で強力だと、米国は敵からの限定核攻撃への対応を「自己規制」してしまうのではないかということだ。
 反対論を抑えて新型ミサイル・核は開発されるだろうと思える理由は他にもある。専門家は、核戦力の更新を約束していなければ、オバマ大統領は2010年に上院を説得して新START条約を批准させることはできなかっただろう、と指摘する。また、ロシアが同様の戦力を持てる状況にあって、LRSOも小型の通常弾頭ミサイルも搭載可能な次期爆撃機の開発を米国大統領が見送るとは思えない。
 コストも大きな問題にはならないだろう。専門家は、歳出強制削減は今やほぼ放棄され、さらに、2027年の支出ピーク時でも核近代化計画は国防予算の5%を占めるだけだと言う。
***
限定戦争エスカレートさせる懸念
 オバマ政権による核戦力更新計画の中で、空中発射型巡航ミサイルの後継の空中発射長距離スタンドオフ・ミサイル(LRSO)の開発が論議を呼んでいます。
 米国の洋上発射型巡航ミサイルからはすでに核弾頭がすべて取り除かれていますが、空中発射型にはいまだ核・非核の双方が配備されています。したがって相手は攻撃されても、それが通常弾頭なのか、核弾頭なのか分からないので、状況を不安定化させる恐れがあり、危険であるというのが反対論です。
 これは、冷戦期の核戦略理論の中での柔軟反応戦略、限定核戦争に通じるもので、エスカレーション・コントロールが難しく、限定戦争がエスカレートする危険が大きいとするものです。
 LRSOの他に、B61-12という新型核爆弾の開発も含まれています。B61-12は、核能力を広島型の3倍からわずか2%と、拡大縮小することが可能で、命中精度も30メートル以内と、極めて高性能であると言われます。このように核能力を極めて低くできると、核の敷居が低くなり、核が使われやすくなる懸念があります。
 支持論は、ならず者国家が核を獲得するかもしれず、ロシアが米国の通常戦力の優位に対抗するため小型核爆弾の開発に力を入れているので、限定核攻撃の可能性に備える必要があると言います。特に同盟国の拡大抑止に信頼を持たせるために、小型の核爆弾が必要であると考えます。
限定核攻撃の可能性高まる中、米国はどう
すべきか
 つまり論点は、限定核戦争の危険を排除すべきか、相手による限定核攻撃に備える必要があるか、です。確かにLRSOB61-12の開発は、限定核戦争の危険をはらみますが、米国が自制しても相手が限定核戦争を仕掛けてくることには、備えなければなりません。
 ペリーらは、LRSOが無くても米国の核抑止力は損なわれないと言っていますが、限定的核攻撃に対する抑止力まで含めて言っているのかは疑問です。
 ペリーらはまた今後開発される次世代ステルス爆撃機LRS-Bで、敵の防空網を掻い潜って攻撃することが可能なはずであるから、これまでのような空中発射型巡航ミサイルは要らないと言っていますが、各国でステルス機を探知する「カウンター・ステルス」能力を追求しているなど、未開発のLRS-Bに過度に依存するリスクは高いです。

 現在の世界では、イランの核合意は成立したとはいえ、核拡散への動きが広まり、限定的核攻撃の可能性が無視できなくなっています。したがって米国が核を含めたエスカレーション・コントロールの柔軟性を追求し続けるのが賢明です。とくに拡大抑止の信頼性と関連してくれば、日本としてもオバマの核戦力更新計画を支持すべきです。

アメリカ空軍、B-2戦略爆撃機3機をインド・アジア・太平洋地域へ派遣

配信日:2016/03/11 12:25
http://flyteam.jp/airline/united-states-air-force/news/article/60941
ノースロップ・グラマンB-2スピリット戦略爆撃機

アメリカ空軍は、201638日、B-2スピリット爆撃機3機を、ミズーリ州ホワイトマン空軍基地(AFB)から、アメリカ太平洋軍の作戦地域に派遣したと発表しました。39日付のAir Force Timesは、派遣先をインド洋のイギリス領ディエゴガルシア島と報じています。

アメリカ空軍では、派遣中に同盟国軍と訓練を実施するほか、アメリカ航空作戦センターとの無線交信をチェックすると発表しています。

アメリカ戦略軍司令官のセシルD.ヘイニー海軍大将はB-2の派遣を「アメリカが世界中の平和と安定に関与する方法のひとつを実証し、現在も未来においても戦略攻撃が可能であることを確認する。また、同盟国軍との相互運用性構築の機会になる」と話しています。

太平洋空軍司令官のロリJ.ロビンソン大将も「最近のインド・アジア・太平洋地域の情勢は、信頼出来る航空戦力を継続的に配置することを必要としている。同盟国軍との訓練を通して航空戦力の信頼性を実証するのが大切である」と話しています。

アメリカ戦略軍は、3月上旬にヨーロッパへB-52を派遣するなど、世界中に展開する戦略爆撃機への命令・統制・指揮能力を日常的に実証しているとしていますが、中国の南シナ海問題や北朝鮮のミサイル発射問題などへの対応とする分析があります。

《維新嵐》 まさにこの記事の末尾で予想されていることは外れてはいないでしょう。
アメリカにとっては、大日本帝国と血で血を洗う太平洋戦争を戦って、「勝利」し、得られた海洋覇権や領土をそんなにやすやすと共産中国に渡すとも思えません。
 空母打撃群の抑止力に頼りすぎることもなく、根っこの核戦略を整備することでトータルな軍事戦略で共産中国を大陸に封じ込め、抑止し、北朝鮮については韓国や日本に「協力」を仰ぐことで南進することを防ぐ。核兵器を整えればアジアでのロシア軍を牽制することにもつながります。

 これでますます在日米軍基地、日米安保体制の重要前進拠点化、軍事的連携が深化すていくことでしょうね。

ちなみに共産中国側の動きとしては、軍事的な動きだけではなく非軍事的な手段もあわせて手中にした海洋権益の確保を確実なものにしつつ工夫をしています。



【緊迫・南シナ海】~「法律戦」の展開~


中国最高裁「尖閣に司法管轄権」と主張、「国際海事司法センタ

ー」創設も公表 海洋進出の強化図る

2016.3.13 22:57更新 http://www.sankei.com/world/news/160313/wor1603130033-n1.html
【北京=矢板明夫】中国の最高人民法院(最高裁)の周強院長は2016313日、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代)で活動報告を行い、平成26年9月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)の近海で発生した中国漁船とパナマ船の衝突事故を中国の海事裁判所が処理したことを理由に「わが国の釣魚島(尖閣諸島の中国側名称)の海域での司法管轄権を明確にした」と主張した。

 尖閣近海での“実効支配”の具体例をアピールし、海洋進出の既成事実を積み重ねる意図があるとみられる。司法管轄権は自国の裁判所が国内法令を適用し、事件を審理する権利。

 活動報告などによると、事故は平成26年9月24日、尖閣諸島の北側の海域で、中国漁船とパナマ船籍の貨物船が衝突。中国の公船が乗組員らを救助した。漁船の船長が福建省アモイの海事裁判所に訴えを起こし、同裁判所の調停で和解が成立したという。

 また周氏は、健全な司法制度により習近平政権が掲げる「新シルクロード(一帯一路)」構想を推進し、「国家主権や海洋権益などの核心利益を断固守る」と強調。海事裁判の機能強化に向け「国際海事司法センター」の創設を公表した。活動などの詳細は不明だ。


 南シナ海における中国の領有権主張は不当としてフィリピンが常設仲裁裁判所に提訴している問題で、決定に従わない意向を示している中国に不利な判断が示されるとの見方が出ている中、こうした情勢に対抗する狙いもあるとみられる。



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