2016年3月7日月曜日

米中の「冷戦」の狭間で「核軍事大国」「宇宙大国」をアピールする北朝鮮

 2016年2月の北朝鮮によるいわゆる「弾道ミサイル」発射は、人工衛星の静止衛星軌道への打ち上げであったことが確実視されていますが、要は北朝鮮が核弾頭よりも宇宙開発の面でも一定のレベルにあることを世界に示すということでした。
 ですが、宇宙ロケットの開発と弾道ミサイルとは表裏一体の存在ということを考えれば、既に北朝鮮はアメリカ本土まで着弾するくらいの弾道ミサイル技術は完成させている、とみていいかもしれません。

 国連は、そういう北朝鮮の宇宙開発への参画と軍事大国化両方の流れを完全に拒否していると感じます。安倍内閣も北朝鮮に対する独自制裁を発動しましたが、それも国連安保理決議をうけてのものです。
 わが国は北朝鮮に対しては、「邦人の拉致」という形の国家侵略をうけていますが、これを抜本的に解決する方法としては、北朝鮮の現政権である金正恩政権体制を打倒する以外の方法はないといっていいでしょう。
 金正恩体制がある限り、政治的かけひきや金体制の延命のダシに使われてしまい時間稼ぎをされ続けるからです。邦人拉致については、北朝鮮は自らの国家機密の漏えいにつながるからか本腰を入れることは今後望めないでしょう。
 このいわれのない「侵略戦争」に対抗する方法については、我が国が国際社会と連携して、経済制裁という武器を核に北朝鮮をゆさぶるのが何よりの手段です。
 対抗手段をとられるということは、経済制裁は北朝鮮にとって、国際社会と連動していればなおさらですが、有効な反撃になっていると考えることができます。
 国民一丸となって北朝鮮の侵略戦争と戦いましょう。


北朝鮮 複数の飛翔物体を発射
BBC News
20160303日(Thuhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/6268
韓国国防省は201633日、北朝鮮が短距離の飛翔物体を複数、日本海に向けて発射したと語った。
国防省広報官が聯合ニュースに語ったところによると、飛翔物体は北朝鮮東部の元山から発射され、日本海に落下した。飛翔物体が何であるかはまだ特定できていないという。
北朝鮮をめぐっては、国連の安全保障理事会が2日に開いた会合で、北朝鮮に対する制裁を大幅に強化する決議を全会一致で採択したばかり。
制裁は、北朝鮮による1月の核実験や2月の長距離ミサイル発射を受けたもので、内容は過去20年間で最も厳しいものになる。
北朝鮮を出入りする貨物を全て検査するほか、16人の個人と12の組織が新たに制裁リストに加わる。
オバマ米大統領は声明で、「国際社会はきょう、一団となって平壌にシンプルなメッセージを送った。北朝鮮はこれらの危険な計画を止め、国民のためによりよい道を選択しなくてはならない」と述べた。
米国のサマンサ・パワーズ国連大使は採択を受け、北朝鮮が国民の生活よりも、核開発やミサイル計画を優先しているのは「道理に合わない現実」だと語った。
北朝鮮と長年の友好関係にある中国は北朝鮮への制裁をめぐり、米国と2カ月近くにわたって協議していた。
制裁には、強制的な貨物検査のほか、小型武器や軽火器の取引禁止も含まれる。また非合法行為に関わった北朝鮮の外交官を国外退去させる。
米国や日本などの西側諸国は、北朝鮮への制裁を早期に実施し、できるだけ幅広い制裁内容とすることを目指していた。
しかし中国は、北朝鮮を不安定にし、同国経済を破綻させるような制裁には反対する考えを明確にしていた。
今回の決議は、市民の多くが経済的に困窮し食料不足に直面するなかで、制裁が「人道的な悪影響」を及ぼすことは意図していないとしている。
一方、北朝鮮の李洙ヨン(リ・スヨン)外相は、安保理が北朝鮮を「標的」とし、「政治問題化させ、選択的な対応をし、二重基準を適用している」と非難した。
新たな制裁の概要
・北朝鮮の核・ミサイル開発に使われる石炭、鉄、鉄鉱石の禁輸
・金、チタン、バナジウム鉱石、レアアースの全面禁輸
・航空機燃料やロケット燃料の禁輸
・軍事および警察の協力活動の禁止。特にアフリカで実施される北朝鮮による海外訓練プログラムの停止
・水上バイク、スノーモービルなどの娯楽スポーツ用具や高級時計を贅沢品禁輸対象に追加
・金融機関による北朝鮮の核・ミサイル開発に関わる人・組織の資産の凍結を義務化
(英語記事 UN imposes tough North Korea sanctions

北朝鮮の金正恩氏、「核兵器発射準備」を指示
BBC News
20160304日(Fri)  http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6274
北朝鮮の金正恩第1書記は201634日、いつでも核兵器を発射できるよう準備しておくよう軍に指示したという。北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた。第1書記はさらに、北朝鮮が先制攻撃を実施できるよう、軍の態勢を転換すると指示したという。
KCNAによると、第1書記は軍事訓練の場で「アメリカが他の国や国民に戦争と破壊をもたらすと呼びかけているこの極端な時代に、我が国の主権と生きる権利を守るには、核攻撃の能力を向上させるしかない」と述べ、「我が国の核弾頭をいつでも発射できる用意がなくてはならない」と指示したという。
これに先立ち北朝鮮は3日午前に短距離の飛翔物体を6発、日本海に向けて発射。韓国政府報道官が聯合通信に語ったところによると、3日午前10時ごろ東岸の元山市からロケットか誘導ミサイルが発射されたという。
この少し前には、国連安全保障理事会が北朝鮮に対する制裁強化の決議案を全会一致で採択していた。
BBCのスティーブ・エバンズ韓国特派員は、北朝鮮によるこうした恐ろしい物言いは珍しくないし、ミサイルに搭載できるほど核爆弾の小型化に成功しているか専門家は疑問視しているが、北朝鮮はその目標に向かって着実に前進しているようだと指摘する。
金第1書記の声明に米政府は速やかに反応した。国防総省のアーバン報道官は「我々は北朝鮮に対し、緊張悪化につながる挑発的行為を控え、その代わりに国際社会への義務や約束の履行に集中するよう呼びかける」とコメントした。
北朝鮮に対する国連安保理の新たな制裁決議の主な内容は次の通り――。
・北朝鮮の核・ミサイル開発に使われる石炭、鉄、鉄鉱石の禁輸
・金、チタン、バナジウム鉱石、レアアースの全面禁輸
・航空機燃料やロケット燃料の禁輸
・軍事および警察の協力活動の禁止。特にアフリカで実施される北朝鮮による海外訓練プログラムの停止
・水上バイク、スノーモービルなどの娯楽スポーツ用具や高級時計を贅沢品禁輸対象に追加
・金融機関による北朝鮮の核・ミサイル開発に関わる人・組織の資産の凍結を義務化
(英語記事 North Korean leader urges nuclear readiness
提供元:http://www.bbc.com/japanese/35723318

《維新嵐》 北朝鮮の将軍様による核兵器の発射命令に関することは、韓国における米韓合同軍事演習に対する対抗措置でもあるようですね。
 それにしても北朝鮮によるこうした「瀬戸際戦略」も既に政治的効果ははたしてどれだけあるのでしょうか?疑問を感じることがあります。
人工衛星打ち上げ=宇宙開発参入に対して認めてもらえず、弾道ミサイルや核弾頭への警戒も解いてもらえず、国連からもらえたのは、経済制裁などの措置だけ。今の北朝鮮にとっては、自力で開発した軍事兵器が政治的にはすべて裏目にでています。このことは、金体制の政策マネジメントの「破綻」とはみれないでしょうか?
 なお我が国に対しては、拉致被害者の調査委員会の活動を中止という経済制裁への対抗のような対応がとられましたが、元来拉致被害者への調査委員会なるものの活動実績、存在自体が不審感がもたれていましたから、政治的には大きな影響はないものと思われます。

【西岡力】「核」「拉致調査全面中止」北朝鮮に対し日本がなすべきこと[H28/2/15]
2016/02/15 に公開

北朝鮮の弾道ミサイル発射実験により、ようやく「家族会」や「救う会」が主張してきた強硬路線に舵を切った日本政府。その制裁を実行するに当たり、北朝鮮以上に圧力が必要だという「対中政策」を中心に、「救う会」の西岡会長の主張をお聞きしていきます。

長年拉致被害者の会と協力して北朝鮮による邦人拉致問題解決に奔走してみえた西岡先生のような方がぶれないで、その解決にむけて方向性を提示していただると、まだ希望を感じます。
 冷静に、弱腰にならずに、邦人拉致の問題はいつかは必ず解決されます。そのためには金王朝体制をくじかなければなりません。


0 件のコメント:

コメントを投稿