2016年4月30日土曜日

自衛隊のコーチング術 後編

スペシャリストを育成する陸上自衛隊化学学校のコーチング
「仕事への動機づけ」と「自ら考えさせる教育」が重要!

【陸上自衛隊化学学校とは何か?】

NBC兵器による有事事態に対処する要員を育成する教育機関。(Nuclear核、Biological生物、Chemical化学)

1951年 臨時化学教育隊(宇治駐屯地)の新編からはじまる。
1957年 陸自化学学校として改編(大宮駐屯地へ移駐)

【任務目的】

NBC+放射性物質(Radio logical=CBRN(シーバーン)といわれる目にみえない脅威に対処する要員の育成を行う。
対処事例からの実戦的経験に基づいた教育が行われている。
1995年地下鉄サリン事件、1999年東海村JCO臨界事故、2011年福島第一原発事故)


動画でわかる陸上自衛隊化学学校


【教育方針】

・運用の実効性向上のための教育の追求
・最先端の特殊武器防護技術の確保普及

 科学的、技術的根拠に基づいたリアリティのある教育を実施する。
誰もが行くのをためらう危険な現場でも自信をもって対処できる要員を輩出することを目標とする。

 目にみえないCBRNに対処するには、物質の特性をよく知り把握することが重要である。そしてイメージをつかんだ上で対処し、任務達成につなげていかなければならない。
 実際の薬剤に検知紙をつけ、色の変化を視認させるなど現実に近い環境で各種訓練を行い、身をもって学ばせ、現場に自信をもって臨めるよう教育が行われている。
 警察や消防など他職種からも教育の要望がある。

スペシャリスト(専門職)としての仕事に対する意識づけが重要視される。

   各個人の経験と志向性を見極めて、そこからスキルを磨き、道を極めていけるように指導していく。
   自分の仕事が組織の中でどのような位置をしめ、どのように作用し、機能しているのか、誰のためにどう役にたっているのかを本人に理解させる。
   ②により職業観を把握させて、高いパフォーマンスを発揮できるようにしていく。

   それぞれの訓練の位置づけやその意味を明示することで、学生たちの動機づけを行っている。
「運用の実効性向上のための教育」を各教官が行うことで、高いレベルで動機づけを行っている。
「目にみえないものの恐怖を克服させる。」学生たちは脅威に自分の職能を駆使して対処しなければいけない。


陸上自衛隊化学学校NBC防護部隊レポート


【スペシャリストたる個人と組織を強靭化していく秘訣】

 いかなる状況でも的確な作業を行うために、常日頃から自問自答すること。ルーティンを身につけさせるために陸自化学学校では、教育のあらゆる場面で学生自身が考え判断させる機会を与えられている。

 例えば「野外訓練」の中では、各器材や部下をどう運用するのかを常に学生に考えさせている。そのためいろいろな問題を学生に付与している。
 同じ状況は二度となく、その時に応じてどうすればベストな判断ができるのか、を考えさせる習慣をつけさせるのである。
 「習慣化」することで、さまざまな不測事態に遭遇した際にも焦ることなく自ら考えてベストな対応ができるようになるのだと考えられる。

ルーティン~決められた動作を繰り返すこと。どのような状況でもベストパフォーマンスを発揮するための手法。

【化学科職種の精神】


「没我支援」「覚悟と誇りを持て」


「新たな脅威にそなえて~NBCRから防災まで~」井上忠雄氏 

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