2016年7月9日土曜日

繰り返されるテロの惨劇・共産中国による海洋侵略・北朝鮮の弾道ミサイル&核弾頭開発 ~世界の脅威に対応できる感覚をみにつけよう!~

【情報リテラシーを身につけることの重要性】

 情報を収集し、必要な情報を選別し、分析の上に行動を決定する。情報こそが最大の武器であり、個人レベルでもそれぞれの分析をベースに活用できることが、結果的に自分自身や自分の職場などの周囲、地域社会、ひいては国家を守ることにつながります。
 北朝鮮との「情報戦争」における最大の敗北である邦人拉致。私たちは、政府がいうように「拉致はテロ」などというメディアを駆使した情報操作に惑わされることなく、二度とこのような失態を繰り返さず、どう無法国家に対すれば、拉致被害者の事実を全世界に明らかにさせ、奪還することができるか考えなければいけないのです。
 自衛隊の特殊部隊を拉致被害者救出に使うといっても、根拠に基づいたノウハウやフローが示されているわけではありませんし、5人の拉致被害者を北朝鮮から連れ戻すことに成功したのも実は「軍事力」ではないという事実を直視して戦略を考えるべきでしょう。
 「情報戦争」の敗者になれば、国威はあがらず、外国人に主導権を渡した状態で外交、政治が実行されることになる事実は、第二次世界大戦で日本人は原爆投下や北方領土を奪われたことをみても歴史的に明らかなことです。
 もう情報戦略に無知蒙昧では許されません。国民は天皇陛下から統治をお預かりしたこの日本という価値ある国家を未来永劫守らなければならないのです。核武装などに国民の大切な予算をかけるヒマがあるのなら、大国の核戦略そのものを最大抑止するための情報戦略を構築すべきなのです。みんなで確かな情報リテラシーを身に着け、私たちの住むかけがえのない国家、ふるさとを守るために考え実践していきましょう。政治は「草莽崛起」で動きます。一部の人たちのものではありません。


《我が国公安を翻弄した北朝鮮の情報戦略》

北朝鮮のスパイが「敵地」日本で接近した元首相鳩山由紀夫氏の正体とは?

 過去にロシアや中国、韓国、北朝鮮などの「工作員」「諜報員」とされる人々を取材する機会があった。日本と国交がない北朝鮮以外は大使館など外交機関に籍を置いていたが、このような機関員を公安筋は「オフィシャルカバー(公的隠れみの)」と呼ぶ。
 当然のことだが彼らは自ら本来の身分を明らかにすることはない。日本の治安機関は情報を蓄積、分析して何国の誰それは機関員であると「認定」している。
 ロシア大使館の武官室は、オフィシャルカバーの巣窟だといわれる。そこにプーチン大統領の信任厚い武官がいた。彼の“本籍”は軍事諜報機関の軍参謀本部情報総局(GRU)だった。日本語は流暢(りゅうちょう)ではなかったが、年長者を差し置いて武官室のトップとなり、日本の官僚OBや企業経営者らに人脈があった。
 一方、大使館政治部に紛れ込んでいた対外情報庁(SVR)要員は安全保障関係の小さな研究会に足しげく通っていたが、筆者が知り合って間もなく胃を悪くし、10年ほど前に帰国した。
 武官は初対面の自己紹介で自分の名前を使っただじゃれで笑いを取るなど社交的だった。政治部員は日本語が流暢で話題豊富。人的魅力にあふれていた。
 話してみると2人とも特定個人の身辺情報については極めて熱心に聞いてくるが、秘密情報の収集に特別にきゅうきゅうとしている様子はなかった。武官に尋ねると「監視が厳しいですから。危ないことはしていませんよ。大事なのは人脈作りです」と話したが、人脈を何に使うのかは明かしてくれなかった。

×××
 2010(平成22)年、米連邦捜査局(FBI)がアンナ・チャップマンという当時28歳の女を中心とするロシアスパイグループを摘発した。女は「美しすぎるスパイ」と話題になったので記憶されている読者も多いと思う。善良な市民を装う「イリーガルスパイ」で、在米ロシア大使館員の補助を受けながらSVR本部から偽装の身分・経歴と数百万ドルの資金を与えられて10年以上、活動した。
 FBIは暗号化されたSVRの極秘指令を完全に解析していた。捜査結果に接した警察庁の高官は当時、米国でのロシアのスパイの目的が機密情報の収集よりも米国の世論形成や政策決定に影響力がある層に浸透し、自国に有利な政治外交環境を作ることにあったと知り危機感を強めていた。
 「鳩山由紀夫元首相とその長男がロシア機関のエージェントとみられる人物のターゲットとなっている」
 公安当局の幹部は当時、筆者にこう明かしていた。

×××
 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の構成員だった康成輝(カン・ソンフィ)は、平成12年に警視庁公安部が摘発した北朝鮮工作機関によるスパイ事件の主犯である。筆者が15年に康を取材した際、携帯電話番号の下3桁は《216》で、「忠誠心を示すために金正日総書記の誕生日(2月16日)に合わせたものだ」と自慢したものだった。


 摘発当時、関係先から大量の資料が押収されたが、公安部の目を引いたのは昭和49年7月下旬に康が北朝鮮で受けた教育内容だった。
 そこには日本を「敵地」として工作の目標や公安当局の監視を免れるための注意点が記されていた。
 康は東京・新宿のキリスト教会を隠れみのに北朝鮮の命を受け、韓国で親北朝鮮ムードを醸成する工作をしていたが、日本国内でも政治・経済界への浸透工作を進めていた。
 取材時、筆者は「工作対象は、どのような人か」と尋ねてみた。康が挙げた中に鳩山元首相の名前があった。
 その後、鳩山氏への工作がどうなったのか。康が平成16年4月、死去したため、今となっては確かめようがない。=一部呼称略

《北朝鮮による日本の危機を伝えない国内メディアの危険性》

日韓「対潜水艦戦」共同訓練が示唆する「日本海の危機」

201674 78 http://news.livedoor.com/article/detail/11719528/

 海上自衛隊は平成28747日、神奈川県の厚木基地で、韓国海軍と哨戒機部隊の交流行事を行う。韓国海軍のP-3CK対潜哨戒機が飛来して海自のP-3Cと初の親善飛行を行うほか、各種の共同訓練と意見交換を行うという。
海自と韓国海軍の交流行事は2010年に始まり12年まで毎年開催されていたが、両国関係の悪化に伴いその後3年間は開催が見送られた。今回は4年ぶりの再開となったわけだが、韓国海軍機が日本に飛来するのも初めてということで、なかなか意義深い催しになりそうだ。

北朝鮮に「先制攻撃」も

日本のマスコミは今日までのところ、この件についてほとんど報道していないようだが、韓国メディアの関心は決して低くない。背景にあるのは、北朝鮮による潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、そしてそれを搭載するミサイル潜水艦の開発である。
たとえば朝鮮日報は2016629日付で、「一部の専門家らは、北朝鮮のSLBMの脅威が目に見える形になったことに伴い、有事の際に東海(日本海)で、韓日の海上哨戒機が北朝鮮の弾道ミサイル潜水艦(SSB)を捕捉する連合作戦を展開するための布石ではないかとも分析している」と報じた。単なる交流行事ではあっても、そこに、将来の「合同作戦」の可能性を見ているわけだ。
さらに分析を加えるなら、北朝鮮の核弾頭を搭載するSLBMの脅威度が増すにつれ、韓国は海自の対潜水艦戦能力に期待するようになっているのだろう。世界で最も信頼性の高い「潜水艦ハンター」とされるP-3の保有機数は、韓国の16機に対して海自は69機。米国以外では世界最大である。
もっとも、自衛隊への期待が膨らんでいるのは米国も同様だろう。何しろ北朝鮮は、米国こそ核ミサイルの標的であると公言しているのだから。

日本の「凄腕スパイ」

そして集団的自衛権の行使に踏み込んだ日本は、昨年合意された日米新ガイドラインによって、米国を狙う弾道ミサイルを撃墜する義務を負っている。現在は地上発射型のミサイルしか想定されていないが、北朝鮮のSLBMが実戦配備され、日本海から発射されかねない危機的な状況が生じたら、海自には北の潜水艦を制圧すべき任務が生まれるのだ。場合によっては、先制攻撃の決断も必要になる。
しかしハッキリ言って、日本ではその辺の議論がぜんぜん足りない。というか、まったく議論されていないのに等しい。北朝鮮のミサイル潜水艦開発は、初期において、日本が舞台になっていた経緯もある。
つまりは情報戦(諜報戦)で北に出し抜かれてしまったというわけだ。国を守る上で、情報は何より大事だし、視野の広い議論のないところに情報は集まらない。しかし、かつては日本にも、対北朝鮮の情報力で世界に名を知られた凄腕スパイ(公安調査官)がいたが、その人物も組織の論理の中で飼い殺しにされた。
北朝鮮の核・ミサイル開発によって、日本の将来にどのようなリスクが生じうるか、もっと活発に意見交換する空気が必要なのではないか。
〈維新嵐〉今の我が国の政府やメディアの現状がよくわかる記事かと思います。メディアが北朝鮮に対する脅威の一つとして戦略型潜水艦、そこから発射される弾道ミサイルについての情報を国民に正しく伝えられていないことでは議論が深まるわけがありません。芸能人の誰が結婚したなどという情報も日常生活を潤わせる情報かもしれませんが、命にかかわる、国の存亡に関わる情報をなぜ国民に事実として伝えないのか?メディアや政府からでる情報については、十分疑って検証するスタンスが国民の側に必要であるようです。
《英国秘密情報部&英メディアの的確な判断》

元英情報機関トップ【移民危機】対応できなければ欧州で「大衆の反乱」
BBC News
20160517日(Tue)  http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6812
 英秘密情報部(MI6)のサー・リチャード・ディアラブ元長官は、欧州各国が移民危機に対応できることを示せなければ、「大衆の反乱」が起きると警告した。
移民問題をテーマにしたBBCのフォーラムで講演した元長官は、秩序ある移民受け入れのための交渉で、欧州連合(EU)がトルコ国民の査証なし渡航を許可したのは、火の近くにガソリンを貯蔵するようなもので「ねじれた論理」だと語った。
同フォーラムでは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の特使を務める女優アンジェリーナ・ジョリー=ピット氏も講演。難民に対する人道支援体制は崩壊しつつあるとし、「移民に対する恐怖」を指摘したほか、移民の規制を他の国よりも強めようとする各国が「最低争い」をしていると批判した。
ディアラブ元長官は、欧州に到着する移民は今後5年間で数百万人に上る可能性があると述べ、移民危機が欧州の地政学的様相を変えるかもしれないと指摘。「もし欧州各国が協力して移民危機に対応できると多くの市民を納得させられなければ、EUは、すでにその兆しが見られる大衆の反乱に翻弄させられるようになる」と述べた。
英国で来月予定されるEU離脱を問う国民投票について元長官は、「より大きな地政学的ゲームで振られる最初のサイコロになる」と評した。
EUとトルコの交渉は、トルコが反テロ法の改正を拒否しているため、暗礁に乗り上げた状態になっている。
ディアラブ元長官は、トルコとの交渉よりも、アフリカで移民希望者を生み出す根本原因の対策に18億ユーロ(約2200億円)拠出する方が「理にかなっている」と述べ、このような基金による「大規模な対応」と「北アフリカ沿岸でずっと積極的な行動」を組み合わせるのが唯一の解決策になるとした。
しかし同氏は、移民に対して門を閉ざすべきではないとの考えを示した。同氏は、「現実の世界では、ジェームス・ボンドのような奇跡的な解決策はない」とし、「原因となっている引力がなくならない限り、人々の潮流に逆らうのは不可能」だと述べた。
元長官に先立ち講演したアンジェリーナ・ジョリー=ピット氏は、世界の人口から計算して122人の1人にあたる6000万人以上が定住地を失っており、その数は過去70年で最も大きくなっていると指摘した。
ジョリー=ピット氏は、「この数字は世界の平和と安全保障について大きな懸念が生じていることを示している」と述べた。さらに「新たな定住地が見つかるまで平均で20年近くかかっている」と指摘した。
ジョリー=ピット氏は、「紛争の数と定住地を失う人の規模はあまりに大きくなっている」として、難民を守り、元の状態に戻す制度は機能不全に陥っていると語った。
<用語について> BBCは、亡命申請の法的手続きを終えていない、移住中の人すべてを「移民」(migrants)と呼んでいる。この中には、戦争で引き裂かれているシリアのような国を逃れて移動し、難民認定される可能性の高い人たちも含まれる。また、各国政府に「経済移民」と分類される可能性の高い、より良い職業や生活を求めて移動している人たちも、「移民」に含まれる。
(英語記事 Europe migrant crisis: EU faces 'populist uprising'
〈維新嵐〉英国は情報部のトップが「移民」についての政治的理解を示したことにより、20166月の国民投票で移民政策を進めるEUからの脱退が決まりました。英国民は情報リテラシーに立脚した政治を見る目があると考えます。正しいかどうかの問題ではなく政治判断ができたことが重要です。
《テロを主導するサイバー戦部隊にどう対処するか?》

アジアへ拡大するISテロ、日本は狙われているのか
畑中美樹 (国際開発センター エネルギー・環境室研究顧問)
20160707日(Thuhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/7228

 20167月1日午後9時(日本時間2日午前0時)頃、バングラデシュの首都ダッカの中心部の外国人が頻繁に利用するレストラン「ホーリー・アルティザン・ベーカリー」に武装した男らが押し入る人質テロ事件が発生した。事件自体は約14時間後に強行突入した警察と軍が、犯行一味の6人を射殺し1人を拘束したことで終了した。


テロ発生直後の現場。銃撃により負傷した警察官が支えられている(Getty Imaegs

日本人も犠牲となったバングラデシュテロ事件
 我が国にとって衝撃的であったのは、犯人たちに鋭利な刃物などで殺害されたと見られる20人の遺体が現場から見つかり、そのうちの7人がバングラデシュの運輸インフラ整備のために同国入りしていた日本人であったことである。海外展開を積極化する日本企業にとっては、平素からの情報収集・分析の重要さを改めて思い知らされる事件となった。
 気になるのはいかなる組織が何の目的で事件を起こしたのかである。イスラム国(IS)のバングラデシュ支部を名乗る組織が日本時間の3日未明、インターネット上に犯行を認める声明を出している。だが、これまで国内にはISもアル・カイダも存在しないと言い続けてきたバングラデシュ政府は、これを完全否定し国内の過激派組織「ジャマトゥル・ムジャヒディン・バングラディシュ(JMB)」の犯行と主張している。

近年急増していた宗教絡みの殺人事件
 実はバングラデシュでは下表に見るように15年以降、宗教絡みの殺人事件が急増している。16年は上半期だけで既に14件も発生している。さらに驚かされるのが容疑者の大部分が富裕層の出身者であった点である。
バングラデシュにおける近年の主なテロ事件一覧
 実際、バングラデシュのハサヌル・ハク・イヌ情報相はインドのNDTVで「レストラン(ホーリー・アルティザン・ベーカリー)の襲撃者の大部分は極めて良い教育機関の出身者である」「一部は高尚な学校に通っていた」「彼らの家庭は相対的に裕福である」(http://www.bbc.com/news/world-asia-36704853)と説明し、富裕層の若者が容疑者の大部分を占めたことを認めている。
 例えば、リーダー格とみられるニブラス・イスラム容疑者(22歳)は首都ダッカのインターナショナル・スクールであるターキッシュ・ホープ学校卒業後、最高位の有名私立大学ノース・サウス大学に進学し、さらに年間の学費が9000ドル(約90万円)もするマレーシアの首都クアラルンプールにある豪州系のモナシュ大学に留学していた。
 またロハン・イムティアズ容疑者(20歳)の父親は与党「アワミ連盟」ダッカ市幹部兼バングラディシュ・オリンピック委員会副事務局長。母親はダッカにある英語で教える私立名門学校「スコラスティカ」の教師であった。同容疑者自身も私立名門学校「スコラスティカ」卒業後、ニブラス・イスラム容疑者と同じマレーシアの大学に留学していた。
 一般には穏健なイスラム国家として知られるバングラデシュだが、近年の宗教絡みの殺人事件の急増は若者を中心にイスラム過激思想が急速に拡散し治安が思われていたより悪化していたことを示していると言えそうだ。

ISの新たな戦略は世界各地へのテロの拡散
 シリア及びイラクでの戦闘面での敗退が続くなか健在ぶりを誇示したいためなのか、IS戦闘員やIS同調者による中東のみならず欧米やアジアでのテロ攻撃が急増している。同時に、こうしたテロを警戒する当局によるIS要員・同調者の摘発も増えている。
 欧米では6月を見ただけでも、ISに忠誠を誓う者による米フロリダ州オーランドの男性同性愛者のナイトクラブでの乱射事件(612日)、フランスのパリ北西55kmのマニャンビルでの警察官夫妻刺殺事件(613日)、ベルギーでのイスラム過激主義者3人のテロ殺害計画容疑による逮捕(618日)、スイスでのイスラム過激派指導者の拘束(622日)などと相次いでいる。
 アジアを見ても既に言及したバングラデシュ以外でも、世界で最もイスラム教徒の多いインドネシアで69日、第2の都市スラバヤでの自爆テロを計画していたイスラム過激派3人が逮捕されているし、マレーシアでも324日、ISとの関連が疑われる15人がテロ計画容疑で逮捕されている。
 注目されるのは東アジアの韓国でも情報機関の国家情報院(NIS)が619日、ISハッカー部隊が世界中の米国と北大西洋条約機構(NATO)の空軍施設77カ所の情報を収集のうえ暗号化されたメッセージ・サービスの無料通信アプリで支持者に攻撃を呼びかけたとし、その中に韓国北西部の烏山空軍基地も含まれていたことを明らかにしたことである。しかも韓国政府は、ISが昨年1511月に起きたパリの同時多発テロ事件後、関心対象を欧米からアジアに拡大したので警戒が必要であると強調している。
 実は我が国ではあまり知られていないものの、韓国政府が昨年10月下旬、爆弾製造原料を違法搬出しようとしていたIS同調者を摘発したほか、11月中旬にはアル・カイダ系ヌスラ戦線を支持するインドネシア人を出入国管理法違反の容疑などで検挙している。

日本にも忍び寄るイスラム過激派の影
 幸い我が国については先般開催されたG7伊勢志摩サミットも厳重警戒が奏功し何事もなく終了した。しかし近年日本にはイスラム教徒が太宗を占めるインドネシアやマレーシアなどからの観光客が急増している。
 勿論、彼らの大半はアジアの先進国で伝統と近代化を融合させた我が国に純粋に関心を持つ善良な一般市民であることは確かである。それでも彼らの中に観光客を装って来日する者がいないとは言い切れまい。過去にはアル・カイダの傘下組織の幹部であるリオネル・デュモン容疑者が、我が国在住のアジア系やアフリカ系のイスラム教徒の助けを借りながら誰にも気づかれることなく約12カ月に亘り潜伏していた事例があることを忘れてはならない。
 油断は禁物である。既に紹介したバングラデシュ人質テロ事件のハン・イムティアズ容疑者(20歳)はフェイスブック上で、英国とカナダから入国を禁止されているイスラム教説教師のザキール・ナイク師の「全てのイスラム教徒はテロリストになるべき」との発言を引用し自身が過激派に傾倒している事実を鮮明にしていた。
 実は、そのザキール・ナイク師が1511月、日本ムスリム平和連盟(JMPF: Japan Muslims Peace Federation)の招待で来日し、国内数カ所で講演のうえ聴衆にイスラム教徒への改宗を呼びかけている。講演を聞きイスラム教への改宗を申し出た聴衆が10人前後いたと言われる。
 さらに現在はインターネットの時代である。わざわざイスラム教の説教師やISの勧誘者が来日しなくても支持者を増やすことは可能である。バングラデシュで起きた人質テロ事件の容疑者の大部分が富裕な家庭の若者であったのは、同国でインターネットを自由に駆使できる層がある程度限られていたためとも考えられる。そうであるとすれば大半の若者がインターネットを不自由なく使える我が国には、バングラデシュと同様な考えを持つ若者が一定程度存在していたとしても不思議ではない。
 今回のバングラデシュの人質事件は、テロなどの海外危険情報の収集・分析を含めた我が国企業の危機管理や海外旅行時の心構えも含めた日本人の危機意識の在り方を改めて問い直していると言えそうだ。
〈維新嵐〉 この明らかにバングラデシュ政府と日本政府との友好関係をくじくことを狙ったテロのおかげで駐在員として滞在していた同胞がお亡くなりになりました。心から冥福をお祈りするとともに今後テロを辞さないサイバー戦部隊による攻撃から同胞をどう守るのか、真剣に議論しないと日本経済の未来が本当に心配です。企業の駐在員に命がけで海外で仕事をさせるわけにはいかないでしょう。これも日本経済に対する間接的なサイバー攻撃といえるのではないでしょうか?一企業でどうなるものでもありません。他国とも連携した防衛戦略の構築を見直すいい機会にすべきです。これが亡くなられた方への供養にもなるのではないでしょうか?大切なのは集団的自衛権の行使でしょう。
《情報リテラシーを鍛えるための参考文献》
テロは「情報」で防ぐ、厳しい情報戦の中で日本は
『情報機関を作る』

中村宏之 (読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員)
20160707日(Thuhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/7216

「日本の話を聞きたいと言いつつ、あなたにも外国の情報機関のような人が接触してくるかもしれませんよ」
 海外駐在や留学に出る前に、ある人からこう言われた言葉が鮮明に記憶に残っている。「そんなことが本当にあるのなあ」とも思ったが、実際には自分のような者にはそうしたことは全くなかった。だが、本書を読むとメディアの関係者などもそういう対象になりうるということがわかる。
必要だが、創設はそう簡単ではない


 日本における情報機関の必要性は長年指摘されてきたが、なかなかできていないのが実情だ。先日もバングラデシュの首都ダッカで7人の日本人が命を落とす痛ましいテロ事件があったばかりだが、世界各地に日本人がいて、テロ事件などに遭遇する危険が常にある中で、高度な情報収集能力の有無が国民の生命や財産をはじめとする多くの国益を決定的に左右する。テロに限らず、安全保障、内政、財政、金融、企業活動なども含めて情報の大切さは論を待たない。秘密情報を狙う他国の動きが活発になる中、我が国としても情報収集に出遅れることはあってはならないのである。
 著者も指摘しているが、各地で頻発するテロ事件が示すように、暴力の行使という恐怖で一定の政治的要求を満たそうとすることが目的であるテロ行為は、話し合いでの解決などは有り得ない。故に、情報をもって対抗し、未然防止を図るしかない。
 情報機関というととかく「007」のようなスパイ映画を連想しがちだが、本書を読むと、実はもっと地味で、目立たないが、勝負するときにはしっかり勝負する存在であることがわかる。
 <日本以外の主要国はすべて備えている。我が国も早急にこの組織を作るべきなのである>というのが本書全体を貫く考え方だが、同時に、〈情報機関の創設と一口にいっても、そんななまなかな話ではない〉と難しさを指摘する。

 警視総監など警察の要職をつとめた著者だけにその言葉は重い。著者は〈自身で直接、某国情報機関員をリクルートしたことがある〉と書いているが、そうした経験も踏まえて「ヒューミント」と呼ぶ人から集める情報の大切さを説く。つまり高度な機密情報の「取材」である
 リクルートするノウハウは何か、この種の工作にどんな人材が適しているか、などが課題になるが、著者は「自前の情報があってこそ」と説く。
 〈各国(友好国)との間柄は、例えていうと“同業組合”のようなものだ。組合の決まり事がいろいろある。ギブ・アンド・テイク(交換)の原則である〉
 〈手持ち情報がない時は、あとから“お返し”するのがこの世界でも常識となる〉
 こうしたことが自前の情報機関を持つべき理由だとしている。同時に自国の防諜体制をいかに作り上げるかが課題になることも指摘する。
 具体的な情報収集にあたっての手法や、それに関連して旧ソ連や中国などが得意とする「ハニートラップ」の詳細などについても詳しく述べられている。人間の持つ様々な弱みや欲望を突く形で情報を取ろうとする相手が攻めてくることがわかる。上海総領事館で起きた館員自殺事件など過去の具体的な事例なども示されている。また著者がある大物政治家に指南したハニートラップを受けないための方法なども興味深い。
待ち構えているであろう長い道のり
 このほか、数あるスパイ小説の中でもフレデリック・フォーサイスとジョン・ル・カレのスパイ小説が考えさせられるという指摘も興味深い。ル・カレが一時期、情報機関に身を置いていたということは本書で初めて知ったが、小説ながらある種のリアリティーをもっていることはそうした背景を知れば理解も深まる気がする。
 さらに、映画「ジャッカルの日」が、かつて警視庁が要人警備の警察官の士気を高めるべく、封切り前に映画館から借りてきて警備部隊に見せたことや、旧ソ連のKGBもそれを見て参考にしたことなども紹介されている。スパイ小説は現実とはだいぶ違うはずだが、映像にすると、また別の意味で参考になる部分もあるということだろうか。最近はやりの「見える化」の効用なのかもしれない。

 旧ソ連やロシアのスパイが、国の体制に絶望する形で情報をアメリカやイギリスなど事実上の「敵国」に流していた過去の事例なども興味深い。英国にひそかに機密情報を流していたロシアのスパイが、自分に嫌疑がかけられたのを知り、亡命を決意し、国境までの間に用意された多数の関門をかいくぐって協力者の車のトランクにひそんでフィンランドに脱出するくだりなどは、映画を見ているような緊張感にあふれた記述である。旧ソ連や現在のロシアは自国の機密情報が抜ける国であると同時に、必死になって防諜しなければならない国であることがわかる。同時に米英という国々は、あらゆる手段を尽くして旧ソ連・ロシアの情報を集め、いまも分析を続けている国なのだということを痛感する。
 本書を読み続けていると、こうした現実をまざまざと突きつけられる。国際情報戦の厳しさを実感するとともに、日本がそれに伍してやってゆくにはハードルが高く、長い道のりが待ちかまえているという印象が強い。しかし現実がこうである以上、対応せざるをえない。日本ができるところを少しずつ、著者のいう「トロでなくコハダ」、つまりトロ(米国情報)のように派手ではないが、味わい深いコハダ(日本情報)で渋く職人芸を見せる部分でやるしかないのだろう。まさに「千里の道も一歩から」である。
〈維新嵐〉 あまりのんきなことを言っている世界情勢ではないんですけどね。「戦わずして相手から権益を奪う」ことが主流になっているのが昨今の戦争のあり方です。実弾がとびかうような戦争などして人的なインフラや経済インフラを破壊させるような戦争などおこる時代ではないようにみえます。ましてや核兵器などは、もはや全世紀の今や非難の的でしかない戦略爆撃論の成れの果てといえるでしょう。無人兵器の活用の進化やサイバー攻撃の兵器化など人権意識が高い時代のそれなりの戦争の形になってきています。
「メディアを信用するな!」「自分で情報を集め、検証して考える力をつけよ」よいうのは新時代の人類へのアドバイスのようにも思えます。
《最後にシギントに関する参考文献をあげさせていただきます》
『サイバーインテリジェンス』 伊東寛 祥伝社新書434 2015年9月10日
『Googleが仕掛けた罠』 杉浦隆幸 小学館新書2700 2016年4月6日
すべてではありませんが、テーマについて効率的にパッケージされている紙媒体の文献をご紹介させていただきました。今回もご覧いただきましてありがとうございました。



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