2017年1月3日火曜日

日本の「空軍」について学びましょう!

平時に戦闘機が飛ぶ理由
現役空自司令に聞くスクランブルの重要性

《維新嵐》多くの方にご一読いただきたい記事です。航空自衛隊のみなさんの活躍により、私たちの安全が守られていることがよく実感されます。特に反戦思想のみなさんには、「戦闘」を覚悟して任務にあたる自衛官の姿勢を知っていただければ幸いです。誰も好き好んで戦争をしたい人などいません。

他国の領空侵犯などに対応する戦闘機の「スクランブル(緊急発進)」。現場ではどのように考えているのでしょうか。最前線に立つふたりの司令に、スクランブルの意味や重要性について話を聞きました。
日本に近づく他国機発見、そのとき航空自衛隊は

 航空自衛隊は過去たった一度だけ、対領空侵犯措置任務中に戦闘機が実弾を発射した事例があります。1987(昭和62)年129日午前、ソ連(当時)空軍のツポレフTu-16爆撃機が日本の領空を侵犯し、さらに沖縄本島を縦断するという例のない乱行にでました。これに対し当時、那覇基地に配備されていた戦闘機F-4EJ「ファントムII」がスクランブル(緊急発進)、20mmバルカン砲の信号(警告)射撃を実施しています。
 1991(平成3)年にソ連が消滅しそれまでの東西冷戦が終結すると、スクランブルの回数はいったん大幅に減少します。しかし2000年代に入ると、ロシアの復活と中国の経済成長にともなう軍拡によって再びスクランブルの回数は増加に転じます。2014年度の航空自衛隊は、冷戦期のピークに匹敵する943回のスクランブルを行いました。これは歴代第2位の記録です。2015年度は全体で873回と減少したものの、中国機に対するスクランブルは増加し571回に達しています。また、2016年度上半期の緊急発進回数は594回であり、そのうち中国機に対する緊急発進回数は合計で407回でした。


ソ連製ツポレフTu-16爆撃機と同型の中国空軍H-6爆撃機。たびたび南西諸島間を通過している(写真出典:防衛省)。

 現在、かつてのソ連機のように、沖縄本島上空を縦断するような暴挙が他国によってなされることは考えにくい状況にありますが、近年における中国機の活動は東シナ海にとどまらず、南西諸島のあいだを通過し太平洋にまで進出するようになっています。特に20151127日には中国軍H-6戦略爆撃機8機、Tu-154情報収集機1機、Y-8情報収集機1機、Y-8早期警戒機1機の合計11機が日本の領空に接近し、一部は沖縄本島と宮古島のあいだを通り太平洋側へ出るという大規模な飛行が確認され、戦闘機が発進しました。
空の「治安」もそれ以上も、守れるのは空自のみ

 那覇基地の戦闘機部隊を指揮する第9航空団司令 川波清明空将補は、航空自衛隊における「対領空侵犯措置」の重要性について次のように語ります。
「陸の治安を守るのは警察のミッションで、それが守れなくなったときには陸上自衛隊が出てまいります。海は、海上保安庁がまず一義的に治安を維持します。昨今の尖閣でも海上保安庁ががんばってくれています。そしてその範疇を超えたときに、『海上警備行動』として海上自衛隊が出てまいります。しかし空の場合は治安を守るのも、それから治安を超えたところを守るのも航空自衛隊だけなのです。中国の爆撃機が多数通過した際も、我々は領空へ近付かないように、あるいは近寄ってきた場合においても『領空から退去せよ』ということを言える態勢を取りながら、いわゆる『行動の監視』という形で、戦闘機を緊急発進させています」(第9航空団司令 川波空将補)

スクランブル対象となったロシア機側から撮影された第304飛行隊のF-15J(写真出典:ロシア空軍)。

 航空自衛隊は、有事に際しての任務だけではなく、平時における治安を守る役割も重要な任務のひとつであると、川波司令はいいます。また2016131日をもって那覇基地の戦闘機飛行隊が倍増し、F-15は約40機体制となったことに触れ、以下のように続けました。
「他国の航空機の接近をきちんと注視できる態勢をとるという意味でも、ここ(那覇基地)に2個飛行隊を置くことは非常に大きな意義があります。国民の皆さんに対しては空の治安の部分で守れる力が増えたということで、安心を提供できるのではないかと思っております」(第9航空団司令 川波空将補)
相手に「姿を見せる」ことの重要性とは

 那覇基地にはE-2C早期警戒機が配備されており、また南西諸島の各地にはレーダーサイトが設置され、常に領空へ接近する国籍不明機がないか警戒監視を行っています。そのうえで、なぜさらに戦闘機が必要なのでしょうか。レーダーで監視し、無線で退去を促すだけでは不足なのでしょうか。南西諸島方面における最高指揮官である、南西航空混成団司令 荒木淳一空将(取材当時。「荒」は正しくは「ボウ」の部分が「トツ」)は次のように述べました。
「レーダーで監視するだけではなくて、『姿を見せて適切に行動を監視する』というところが大事だと思います。我が国の領空に対して入ってくる可能性のある軍用機などは、まずは識別をして行動を監視しておかないと、スピードが速いのであっという間に入ってこられてしまいます。特に尖閣諸島のように『自分たちの領土だ』と言っている国がその上空を勝手にグルグルと飛び始めて、我々がなにもしないでいると、『何もしなかったじゃないですか』という言い掛かりをつけてくることにもなり、南シナ海のように既成事実を作られることにもなりかねません。必ず我々で可能な対応をきちんとするというのが大事だと思います」(南西航空混成団司令 荒木空将(取材当時))
 有事に対する備えに限らずとも、治安を守りそして既成事実を作られないためにも、スクランブル発進できる態勢を常に維持しておくことは極めて重要であると、最前線を守るふたりの司令はともに強調します。中国に対するスクランブルが増加する非常に厳しい状況において、那覇基地のその重要性は今後さらに増してゆくことになるでしょう。
日本の空を守り続けるF-4EJ「ファントムII

F-15「イーグル」に主力戦闘機の座を譲ったのちも、日本の空を守り続ける航空自衛隊の戦闘機F-4EJ「ファントムII」。原型機の初飛行は1958年(画像出典:航空自衛隊)。

  《維新嵐》ファントムⅡ戦闘機は、航空自衛隊に採用以来、我が国の防空を担ってきた「名戦闘機」といえる機体ですが、採用時は周辺国に配慮する政治家の意向で機体の航続距離を短くさせられた経緯がありましたね。2019年に後継のF-35Aにスイッチしていきますが、このような航空装備の「事なかれ主義」はもうやめてほしいものです。
 自衛隊装備は、政治家のポケットマネーで購入しているわけではありません。
国民の「血税」で購入していますから、国民、国家共有の財産なのです。国防軍たる自衛隊のオーナーは政治家ではなく、主権者たる国民なのです。このところをどうか国政に携わる方々には忘れてほしくないものですね。


パイロットの養成

『トップガン』の理想と現実

現役空自パイロットが語る“リアル”とは



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2016.03.05https://trafficnews.jp/post/49148/

 映画『トップガン』を観て戦闘機乗りに憧れた人も多いと思われますが、実際にはどんな“職業”なのでしょうか。その実像について、航空自衛隊の現役戦闘機パイロットに聞きました。
戦闘機といえば「F-14」、パイロットといえば「マーベリック」
 映画『トップガン2』制作開始か——20161月末、世界を駆け巡ったこのニュースに胸を躍らせた人も多いのではないでしょうか。
 前作『トップガン』は1986(昭和61)年に公開された、主演を務める俳優トム・クルーズの代表作のひとつ。かつて実在した、最強の戦闘機パイロットを育成するためのアメリカ海軍戦闘機兵器学校、通称「トップガン」を舞台に、F-14「トムキャット」艦上戦闘機の操縦士・マーベリックの成長と青春を描いた作品です。前作の公開から30年が経過しようとしていますが、美しい映像や音楽、そして最高にカッコイイF-14とトム・クルーズの姿から未だファンの支持は根強いものがあり、戦闘機映画における最高傑作のひとつとして数えられています。
 プライドが高く自由奔放な主人公・マーベリックの姿は一般人にとって、いまや「戦闘機パイロット」という職業をイメージする際の典型のひとつとしてもよいでしょう。

F-14「トムキャット」。2006年の退役までに712機が生産された(写真出典:アメリカ海軍)

 では戦闘機パイロットの“リアル”とは、どのようなものなのでしょうか。航空自衛隊F-15J「イーグル」のパイロットにして、近年、スクランブルの回数が増大している南西域で防空の最前線を担う、那覇基地第9航空団第304飛行隊の飛行班長、原田祐二三等空佐に話をききました。

イーグルドライバーが語る“リアル”
 飛行隊長に次ぐ「ナンバー2」としてパイロットたちを統率し、規範になるという重要な任務に就いている原田三佐は、パイロットの心構えとして最も重要なのは「仲間と連携する協調心」といいます。
「戦闘機は特にそうなのですが、複数の航空機と共に作戦や訓練を行いますので、協調心、団結心というのは欠かせない要素だと思います」(原田三佐)

F-15J「イーグル」のパイロット、那覇基地第9航空団第304飛行隊の原田三佐(20162月、関 賢太郎撮影)。

 そして『トップガン』のマーベリックについては、「個人的には、やはり協調心がないのかな……と思います(笑)」と語ります。
「ただ作中で人間的に成長し、ラストシーンでは欠点を克服、最後は僚機を絶対に見捨てない立派な協調心を身につけました」(原田三佐)
 どんなベテランパイロットも最初は新米。そこから経験を重ね、マーベリックのように成長していくのでしょう。では、ベテランパイロットと新米の違いはどこにあるのでしょうか。
「しいていえば判断力でしょうか。飛行経験の差が大きいと思います。操縦だけではなく、レーダー画面の判読や格闘戦、悪天候時の対処など、すべてにおいて過去の経験に基づいた判断がものをいいます。私も新米のころは初めてのスクランブルで僚機として発進し、とても緊張した覚えがあります」(原田三佐)
 原田三佐も『トップガン』は大好きとのこと。続編では、成長したマーベリックが活躍してくれることでしょう。

戦闘機パイロットを実際に目指すには?
原田三佐が搭乗するF-15Jは、『トップガン』の主役機であるF-14とほぼ同時期に誕生した機体です。
那覇基地に所属する第304飛行隊のF-15J20162月、関 賢太郎撮影)。

 F-14F-15、いずれも機動性に優れた戦闘機で、特にF-15は急旋回によって最大9G、すなわち地球の重力の9倍もの遠心力が身体へかかることになります。高いGに晒されると脳への血流が阻害され、最悪の場合には失神に至ることもあるため、急旋回中のパイロットは血液が足下に滞留しないよう下半身に力を入れ、特殊な呼吸法によって失神に耐えなくてはなりません。
 原田三佐もパイロットという職業について「一見すると優雅に飛んでいるように見えるかもしれませんが、自分の限界に挑戦し、己の技を磨き続ける職業です」と話します。
「そのため常に自学研鑽し、新たな知識を学び続けます。また健康管理も欠かせません。筋力トレーニングを定期的に行って身体を作ることはもちろんですし、特に事には気を使っています。栄養バランス、それに暴飲暴食は控えるようにしています」(原田三佐)
 では戦闘機パイロットを目指すには、どういったことを心がければよいのでしょうか。
「まずは“強い心”を持って欲しいですね。戦闘機パイロットになるためには厳しい訓練がありますので、それに折れない強い心、また戦闘機に乗って国を守る、国民を守るという強い意志が必要だと思います。そして協調心も忘れないで欲しいです」(原田三佐)
 原田三佐は戦闘機パイロットについて、「協調心」「団結心」「強い心と意思」「健康管理」が必須であり、日々の訓練によって「飛行経験」を積み「判断力」を養い、成長することができるといいます。
『トップガン』に憧れ戦闘機パイロットを目指す若者はいまだ少なくないようで、『トップガン2』公開後もきっと、多くの若者が航空自衛隊の門をたたくことになりそうです。パイロットを目指す人は、原田三佐の言葉を心に留めておくとよいでしょう。【了】

【関連リンク】

Yahoo!知恵袋 「息子が、念願叶い防衛大学校と航空学生」

《維新嵐》 およそ命を預かる、守るための仕事というのは、厳しく過酷な訓練を受ける課程は避けられないものです。自衛隊員の多くが災害支援という極限の状態で力を発揮できる、土壇場でふんばれるのは、日ごろから会社員や自営業者では考えられない訓練を経験しているからですね。
 「国防」は、国民がそれぞれの職域ではたすべき役割ですが、自衛官のはたすべき「国防」は常に命のかかった過酷な状況にあるものだということがわかります。


「トップガン」養成する“虎の穴”
航空学生制度60年・日本の空を守る猛者たちの矜恃
2015.9.8 11:00更新 http://www.sankei.com/west/news/150908/wst1509080005-n1.html

 自衛隊パイロットを養成する航空学生制度が創設されて今年で60年。自衛隊パイロットになるためには防衛大、一般大からのコースもあるが、現在空自パイロットの約7割を航空学生出身者が占める。航空カメラマンとして活躍し、映画「空へ-救いの翼 RESCUE WINGS」(平成20年)で空撮を担当した元F15パイロット、赤塚聡さんも航空学生OB。大卒者よりも早く大空を飛ぶ資格を得ることができる半面、全寮制での教育課程は過酷だ。「戦闘機パイロットは体力勝負。少しでも若いうちに飛べるのはメリットですが、教育課程は今思い出しても大変でした…」。先月、空自創設60周年の写真集「航空自衛隊の翼 60th」を刊行した赤塚さんは苦笑しながらこう振り返った。(戸津井康之)

空中戦のスペシャリストたち

 奇抜な塗装で全身を覆ったF15が、空自戦闘機を空中戦で追い詰めていく。この派手な識別塗装のF15を操縦するのは飛行教導群のパイロットたち。空中戦のスペシャリストとしてえり抜かれた指導教官らで編成した空自が誇る仮想敵機部隊、通称“アグレッサー”だ…。
 この映像は今年春から浜松基地(静岡県)の「浜松広報館エアーパーク」にある大スクリーンの全天周シアターで上映中のアクションドラマ「アグレッサー」のワンシーン。新田原基地(宮崎県)に所属するアグレッサー部隊の活動を紹介する短編映像が、俳優を使ってドラマ仕立てで製作された。飛行時間が長いほど操縦の技量が上がるといわれるパイロットの世界。アグレッサーパイロットに航空学生出身者は多い。
 この大迫力のドッグファイトの空撮を担当した赤塚さんは航空学生42期生として防府北基地(山口県)で戦闘機パイロットとなるための訓練を受け、卒業後、百里基地(茨城県)でF15のパイロットとして勤務。退役後、航空写真家となった。


「飛行機を操縦できる」と誘われて…

 実は赤塚さんは異例ともいえる経緯で航空学生となった。
 岐阜基地(岐阜県)の近くで生まれ育ち、物心ついた頃からカメラを持って基地へ日参し、戦闘機の写真を撮り、航空雑誌に投稿していた赤塚さんは高校時代に巻頭のグラビア特集を任され、カメラマンデビューする。そんな縁で航空雑誌から、「航空学生を受験し、その体験記を記事で掲載しないか?」と誘われ、受験することになったのだ。
 幼い頃から基地へ通い、将来の夢は戦闘機パイロットか航空カメラマン-と大空への憧れは強かったが、高校時代は一般大学に進学するつもりだったという。だが、「航空学生の受験では実際に飛行機を操縦できると知り、受けることにしたのです」。高い競争率を突破し、赤塚さんは見事合格する。
 しかし、全寮制での教育課程は想像以上に厳しかった。
 「夏休みなどで実家に帰省すると、もう基地へは戻りたくなくなるんですよ」と苦笑しながら当時を振り返る。「航空学生は2年過程ですから上級生がいる。教官も厳しいが、上級生がそれ以上に厳しくて…」
 一方で、防衛大や一般大卒のパイロットと比べ、「航空学生の有利な点は少なくない」と言う。「日本で最も若くして戦闘機パイロットになることができるのが航空学生の魅力。実は世界でも珍しい制度なんですよ」と説明する。
過酷な訓練、130人の殉職者…60年の伝統と誇り
 航空学生制度は昭和30年に創設され、以来60年の間に約5000人の卒業生を輩出している。
 現在、第70、71期生約90人がパイロットを目指し訓練中の防府北基地で6月、航空学生制度創設60周年を記念する式典が行われた。


 式典に駆けつけた齊藤治和航空幕僚長は「大空に夢を馳(は)せ自由に飛んでみたい。この夢を最も早く実現できるのが航空学生である。しかし夢の実現への道のりは平坦(へいたん)ではない。入隊当初から厳しい制限のもと、さまざまな困難、同期生の団結と教育訓練にいそしみ進んでいかなければならない…」と学生たちを鼓舞した。
 式典では、この60年の間に殉職した航空学生出身者計130人を慰霊するため黙祷(もくとう)が捧(ささ)げられた。
 平成13年に同基地内に建てられた航空学生顕彰館には航空学生出身殉職者を慰霊する顕彰室があり、130人の殉職者の慰霊プレートがひっそりと掲示されていた。
 赤塚さんの同期生2人も殉職している。
 うち1人は平成6年、北海道東方沖地震発生直後、調査のため偵察機のRF4ファントムに乗って現地へ向かう途中、悪天候で視界を遮られ、山に衝突、墜落したのだ。
 式典には殉職者の遺族たちも出席。セレモニーの後、T7初等練習機による編隊飛行、そして浜松基地から駆けつけたブルーインパルスによる曲技飛行が披露された。
 一緒に取材していた、これまで数百回以上もブルーインパルスの曲技飛行を撮影してきたという航空雑誌のベテランカメラマンが、隣で重そうな超望遠レンズを構えながらこうつぶやいた。
 「今日のブルーインパルスの飛び方は一(ひと)際(きわ)冴(さ)えているぞ。格段と気合の入り方が違うなあ…」
 全国から集まった歴戦の先輩パイロットたち、そして、殉職者の遺族らが見守る中、ブルーインパルスが描き出す鮮やかなスモークが、防府の上空にたなびいていた。


【関連動画】

動画でわかる!航空自衛隊_航空学生の一日 
2012/03/28 に公開 航空自衛隊のパイロットを目指す、航空自衛隊航空学生の1日に密着しました。
 https://youtu.be/fFO67ixVKkc  
動画でわかる!海上自衛隊_航空学生の一日 
2012/03/28 に公開 船上を活動の主体とする、海上自衛隊航空学生の1日に密着しました。 
https://youtu.be/PfTqhOya5wk

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