2017年3月21日火曜日

北朝鮮の軍事的脅威をどう抑止するのか?

迫る北朝鮮の脅威、日本は報復攻撃力の構築で対抗を
現実的ではない敵基地攻撃論
北村淳
北朝鮮軍が実施した弾道ミサイル4発の発射の様子を写したとされる画像。北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が配信(撮影日不明、201737日配信)。(c)AFP/KCNA VIA KNSAFPBB News

北朝鮮が試射した弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。北朝鮮当局によると、ミサイル発射は日本国内の米軍施設を攻撃する訓練であったという。そのため、トランプ政権周辺からは、現在韓国で実施されている米韓合同軍事演習にB-52爆撃機やB-1ステルス爆撃機を派遣して北朝鮮を威圧すべきだといった声まで上がっている。そして、日本でも北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対抗するため、いわゆる「敵基地攻撃論」が浮上してきた。
攻撃対象は基地ではなく「発射装置」
敵基地攻撃能力保有に関する議論(いわゆる敵基地攻撃論)は1956年に国会で論じられて以来、弾道ミサイルの脅威が取り沙汰されるたびに浮上してきた。
 ただし、弾道ミサイルの性能やシステムそのものが60年前と現在では大幅に変化しているため、「敵基地攻撃能力」という表現自体が時代遅れとなっている。
北朝鮮による対日弾道攻撃という文脈に限定して、敵基地攻撃論を考えてみよう。現時点において北朝鮮が日本を攻撃する際に用いる弾道ミサイルは、基本的には「TEL」と呼ばれる地上移動式発射装置から発射される。そのため、ミサイル発射基地から弾道ミサイルが発射されていた60年前と違い、北朝鮮の弾道ミサイルを破壊するには、ミサイルが装填された地上移動式発射装置を破壊しなければならない。すなわち、“敵基地”ではなく“敵発射装置”を攻撃する能力が必要となるのだ。
 ミサイル発射基地の場合、強固な防御が施されている半地下サイロ式ミサイル発射装置から弾道ミサイルが発射されることになる。そのため、発射装置そのものを破壊するには強力な破壊力が必要である。とはいうものの、ミサイル発射基地は移動することがないので、その位置を特定できれば、攻撃すること自体は可能である。
 一方、大型トレーラーのような車両にミサイル発射装置が搭載されているTELは、地上を動き回ることができる。大型トレーラーといっても、ミサイル基地に比べれば攻撃目標としては極めて小さい。したがって、地上を移動してさまざまな場所に隠れるTELを偵察衛星や偵察機などで発見することは至難の業とされている。
先制攻撃の厚い壁
敵基地攻撃論(現代的には敵発射装置攻撃論)の難点は、TELの発見が困難だという点だけではない。北朝鮮が弾道ミサイルを発射する以前に、攻撃準備を開始した北朝鮮軍のTELをことごとく破壊してしまわなければならない。すなわち、自衛隊による先制攻撃が不可欠となるのだ。
 先制攻撃ができなければ、抑止能力としては機能しない。したがって、いわゆる“専守防衛”を基本原則とする国防方針は根本的に変更しなければならない。さらには国防システム全体を抜本的に一変しなければならないことになる。
いわゆる敵基地攻撃論は強力な先制攻撃能力を手にすることが前提であり、それだけの覚悟の上で主張しているものと思慮されるが、憲法9条を巡る議論同様に、永きにわたる神学的論争に陥りかねない。
 そして、軍事技術的にも解決しなければならないハードルは高いし、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃を抑止する先制攻撃能力を手に入れるだけでも天文学的数字にのぼる国防費が必要となる。
抑止力として機能している「報復攻撃力」
だが、日本としては悠長に言葉遊びにも似た論争を繰り返している余裕はない。日本は、北朝鮮とは比較にならないほど強力な対日ミサイル攻撃能力を保持する中国やロシアといった軍事的脅威に取り囲まれている。可及的速やかに、先制攻撃能力よりも着実に手にできる、そして先制攻撃能力同様に抑止力として機能することが期待できる軍事力を手にすることが必要だ。それは報復攻撃力である。
 いわゆる専守防衛という枠組みで構築されてきた自衛隊の戦力では、先制的(敵の攻撃に先立って)にせよ、報復的(敵の攻撃を被った後)にせよ、北朝鮮や中国の領域を攻撃することはほとんど不可能な状態である。
 したがって北朝鮮にとってみれば、対日軍事攻撃の計画が日本側に漏れても自衛隊が先制攻撃を仕掛けてくる恐れもないし、攻撃開始後に自衛隊が北朝鮮領内に反撃してくることも考えなくてよい。北朝鮮指導部にとって怖いのは、日米安保条約が発動されてアメリカが日本に代わって報復攻撃を仕掛けてくることだけである。
 日米安保条約では、いくら北朝鮮が日本攻撃準備を整えているといっても、アメリカが日本に代わってTELを片っ端から破壊して対日ミサイル攻撃を事前に阻止することはできない。あくまでも、日本にミサイルが飛来してきた段階で日米安保条約発動が検討されるのだ。
 北朝鮮にしろ中国にしろ、そしてロシアにしろ、このようなメカニズムは百も承知だ。そのうえで、日米同盟は、それら日本に対する軍事的脅威国に対する抑止機能を(少なくともこれまでのところは)果たしてきた。
 ということは、アメリカの先制攻撃能力ではなく、日本に代わるアメリカの報復攻撃能力が抑止機能を果たしているということになる。
 したがって日本は、いつになったら埒が明くか分からない先制攻撃力の構築を目指すよりも、その一段階前の国防努力として日本独自の報復攻撃力を手にするべきなのだ。
報復攻撃力の比較的安価な構築方法
ただし、「核」報復力に関しては、国際条約の制約や日本の国内事情を鑑みれば、日米同盟におけるアメリカの切り札的存在としてアメリカの核抑止力を利用するのが当面は得策である。そこで日本がまず着手すべきは、非核戦力における報復攻撃力である。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49424?page=5

たとえば北朝鮮の対日弾道ミサイル攻撃(非核)に対する報復攻撃力として考えられるのは、北朝鮮の特権的指導部を徹底攻撃できるだけの破壊力を持った長距離巡航ミサイル、引き続いて弾道ミサイル(いずれも非核高性能爆薬弾頭搭載)を手にすることである。
 日本から北朝鮮を報復攻撃するには射程圏8001800kmのミサイルが必要である。だが現在のところ日本はそうした長距離巡航ミサイルは保有していない。この種のミサイルを国産で製造する技術力は持っていても、実際の製造には時間がかかるため、とりあえずは同盟国アメリカからトマホーク巡航ミサイルを調達するのが現実的だ。
 トマホーク巡航ミサイルの最新鋭機種は1基およそ17000万円程度である。300基を購入しても500億円ほどであり、日本がアメリカから購入するF-35戦闘機3機分ほどの投資ですむ。
 アメリカから調達したそれらのトマホーク巡航ミサイルは、海自駆逐艦の垂直発射装置や潜水艦の魚雷発射管から発射することができ、北朝鮮指導部にとっては極めて深刻な脅威となる。そして、これまでアメリカの報復攻撃力しかなかったところに日本自身の報復攻撃力が加われば、北朝鮮に対する抑止力は著しく強化されることになるのだ。

 実現への道のりが遠い敵基地攻撃論を議論する前に、実現可能性が高い報復攻撃力の構築へ取りかかるのが日本の防衛にとり急務である。

《維新嵐》北村氏の持論ですね。トマホーク巡航ミサイルを我が国も保有して北朝鮮や共産中国に対する抑止力とすべきという提言は著書が著されています。
『巡航ミサイル1000億円で中国も北朝鮮も怖くない』
軍事アナリスト北村淳 講談社α新書 2015年3月23日
 ご著書の中で北村氏は我が国がアメリカから初期型のトマホークを購入し配備すれば我が国の核抑止力が向上するとされていますが、軍事オプションとしてはそういう方法もありでしょう。
 そもそも「敵地攻撃力」を保持することは「専守防衛」の範囲に入る、という結論を我が国は国会で出しながら何を具体的にしてきたというのでしょうか?
 正直、「敵地攻撃力」を確実に整備強化し、核弾頭までミサイルに配備、小型化に成功し、アメリカ西海岸まで届く弾道ミサイルを開発し、超大国アメリカと対等に交渉する下地を構築してきたのは、北朝鮮の方です。これは北朝鮮の「専守防衛」能力の向上があがり、外交力を低下させなかったといえるのではないでしょうか?
 北朝鮮が、核弾頭を保有し弾道ミサイルに搭載が可能となり、戦略型潜水艦まで開発したことは、言い換えれば我が国がそのまま先手を打ってやらなければいけなかったことともいえるでしょう。
 国家の主権と独立を守り、政治力を担保していくためには、軍事力だけでは難しいものがありますが、されど軍事力で、国家戦略に基づいた軍事オプションの発動も政治力の一つの重要な要素でしょう。
 今の我が国に緊急不可欠なことは、即応的に相手の「武器」を破壊できる「敵地攻撃力」のドクトリン開発と兵装の配備、そして敵地攻撃力を的確に時宜に応じて政治力ととして行使できる国家戦略でしょう。
 トマホークは確かに安上がりに配備できる兵装かと思いますが、選択肢はそればかりではありません。我が国には拉致問題の解決という最優先の国防課題があるわけですから、邦人拉致問題から北朝鮮に政治的なゆさぶりをかけて、北朝鮮の内部から工作員という「諜報戦略」を使えなくさせる方法もあります。北の若き将軍様に拉致被害者の全員帰国を実現させることは、我が国の「外交的勝利」と北朝鮮の「政治的敗北」を意味します。そうなれば北朝鮮は弾道ミサイルという軍事的オプションは使えなくなるでしょう。
 北の弾道ミサイル発射という「恫喝」を恐れてはいけません。
我が国にしかできない北朝鮮への「反撃」は、トマホークばかりではないのです。

拉致問題は、日本だけの問題ではないのです。国際的な問題として北朝鮮を政治的に追い込み、軍事的オプションに対する抑止力向上につながることにはならないでしょうか?

【邦人拉致問題解決を核弾道ミサイル抑止につなげる?

「拉致被害者救出へ憲法改正や解釈変更を」「安保理決議違反の中国に金融制裁を」

福井県立大学教授・島田洋一氏

つまり、たとえば米軍が中東で大規模な軍事行動を起こしているときに、そういう隙を狙って中国が尖閣諸島に軍事行動を起こすという可能性を常に頭に入れておかなければいけない。
さて、日米共同声明では北朝鮮による日本人の拉致問題にも言及している。「両首脳は、拉致問題の早期解決の重要性を確認した」「日米両国は、北朝鮮に関する国連安保理決議の厳格な履行にコミットしている」
 拉致問題はこれまで、日本側が一方的に米国に対して解決に向けた協力を依頼するという関係だった。
 ところが平成28年9月、米国議会で米国人が拉致被害にあったのではないかと問題になった。2004年8月に中国・雲南省で行方不明になった米国人青年は、韓国語が得意であったことから、脱北者の支援者ではないかと疑われて北朝鮮の工作員に拉致されたのではないか、という疑いが非常に濃い。
 これにより、日本は日本人の拉致被害者も米国人の拉致被害者も一緒に助けようということができるので、状況はかなり良くなってきたといえるのではないか。
 一方で日本国憲法の考えに従えば、北朝鮮が内戦状態になったときに拉致被害者を救出したいと思ったとしても、相手国の同意なしに自衛隊は救出に行けない。北朝鮮が同意するはずがないわけで、自衛隊を派遣することはできない。米軍に対して日本人拉致被害者の情報を渡し、救出を依頼しているそうだが、「アメリカ・ファースト」のトランプ大統領が簡単に協力するとは思えない。

トマホーク巡航ミサイルの保有論については、北村淳氏以外にも論考があります。意外に根強いトマホークミサイル購入配備論です。

やはり巡航ミサイル配備でしょ?
自衛隊はいつ敵地攻撃能力を持つのか
河野克俊統幕長「技術向上、脅威上がった」
2017.2.16 16:24更新http://www.sankei.com/politics/news/170216/plt1702160014-n1.html

 防衛省の河野克俊統合幕僚長は20172月16日の記者会見で、北朝鮮が2017212日に発射した新型弾道ミサイル「北極星2」に関し、固体燃料エンジンが使用されて発射の即応性が向上したと考えられるとして、「一歩一歩技術が向上し、脅威度は確実に上がっている」と述べた。
 固体燃料は発射直前の注入が必要な液体燃料と比べ、準備状況を探知しにくく発射のタイミングが読みづらいとされる。河野氏は今回の発射が成功したかどうかについて「あそこまで高く上がり飛んでいる。失敗ではない」との見方を示した。
 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏の暗殺事件については、正男氏が北朝鮮での政治的な影響力を持っておらず、日本の安全保障に直接影響はないと指摘。一方「北朝鮮による犯行とすれば、非情さについて頭に入れておく必要がある」とも述べた。

《維新嵐》北朝鮮の弾道ミサイルは確実に進化しています。写真や映像は北朝鮮当局発表のものは信用できませんが、少なくとも弾道ミサイルの飽和攻撃や核弾頭の小型化は既に成功しているとみるべきでしょう。北朝鮮に対する即応的な「反撃能力」「ドクトリン」は不可欠です。

トランプはん、巡航ミサイル搭載の原潜を売ってくんなはれ!防衛費はGDP比2%、いや3%以上にしまっせ!!
2017.3.13 01:00更新  http://www.sankei.com/premium/news/170313/prm1703130005-n1.html


米海軍のバージニア級原子力潜水艦


 北朝鮮が在日米軍基地を狙って弾道ミサイルを連射し、核実験の準備を進める一方、軍拡路線をひた走る中国も日本を射程に収めた核弾頭搭載可能な弾道ミサイルを多数配備している。こうした軍事情勢を前に政府・自民党内で敵基地攻撃論の検討を開始すべきだとの声が挙がっている。弾道ミサイルの脅威が指摘される度に、敵基地攻撃論が出ては、いつの間にかしぼんでしまうという繰り返しだった。しかし、そんなことをしている時間的な余裕はもうない。巡航ミサイルを発射できる原子力潜水艦の購入をトランプ米政権に持ちかけたらいい。米国の軍事産業振興と雇用の拡大は確実なわけで、トランプ政権は飛びついてくるはずだ。

「今そこにある危機」

 もちろん、日本の技術力をもってすれば国産の巡航ミサイルの開発・配備は可能だ。ただ、中朝の弾道ミサイルの脅威が「今そこにある危機」いうことを考えると、開発・配備に長い時間をかけていることはできない。そこで同盟国の米国から導入することにする。米国は湾岸戦争やイラク戦争などの実戦で巡航ミサイルを何度も使用しており、世界の中で最も信頼性の高いノウハウを持つ国だ。
 日本が敵基地攻撃を行う法的な問題は全くない。政府は憲法上、敵基地攻撃は他国の攻撃を阻止する個別的自衛権の範囲内としてきた。昭和31(1956)年、鳩山一郎内閣は「自衛権を持つ以上、座して死を待つのが憲法の趣旨ではない」との見解を示している。弾道ミサイル発射基地などを先に攻撃する「先制攻撃」とは区別し、第一撃の攻撃を受けた後やミサイルへの燃料注入開始など日本攻撃に「着手した」と判断した段階で可能としている。
 共産党の志位和夫委員長は敵基地攻撃能力の保有について「先制攻撃のオプションは絶対に採ってはならない」と反対論を述べ、まるで自衛隊が先制攻撃を仕掛けるかのような発言をしているが、印象操作の感じがぬぐえない。
http://www.sankei.com/premium/news/170313/prm1703130005-n2.html


THAAD配備でも対処不可能

 日本は弾道ミサイルの脅威に対処するため、ミサイル防衛(MD)網の配備を進めている。北朝鮮の弾道ミサイルの脅威が新たな段階に入ったことを受けて、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備検討を求める声も高まるだろう。だが、中距離弾道ミサイル(射程1000~5500キロメートル)の場合、大気圏外に一度、打ち出された弾頭は音速の9倍から21倍の速度で大気圏に再突入してくる。短距離弾道ミサイル(射程1000キロメートル以下)でも音速の3倍から9倍だ。MDで弾道ミサイルを迎撃する難しさが「飛んでくる弾丸を弾丸で撃ち落とすに等しい」と言われるゆえんだ。
 また、中朝が数十発、数百発の弾道ミサイルを一斉に発射する「飽和攻撃」を仕掛けてきたら、自衛隊のイージス艦や地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊がどんなに優秀でも撃ち漏らすケースが出てくる。
 日本は紛れもない経済大国だが、財政難にも直面している。費用対効果を考えると、効果があまり明確でないTHAADの配備に何千億円もの資金を投入するよりも、弾道ミサイルや核の開発に血眼になっている独裁者を直接狙うことができる敵地攻撃能力の獲得に資金を投入した方がいい。
http://www.sankei.com/premium/news/170313/prm1703130005-n3.html


巡航ミサイル「トマホーク」

 そこで敵地攻撃の具体的な検討に入る。航続距離の長い爆撃機から精密誘導兵器を投下・投射する方法もあるが、中朝がハリネズミのように対空ミサイルで武装していることを踏まえると賢明な選択ではない。やはり、航続距離が長く、攻撃すべき地点をピンポイントで狙える巡航ミサイルが望ましい。具体的には米軍の「トマホーク」だ。
 巡航ミサイルは地上、海上、海中、空中の発射方式があるが、地上、海上、空中の方式では発射部隊、護衛艦、航空機の位置が判明してしまい、中朝の格好の標的となってしまう。やはり海中を航行し、隠密性の高い潜水艦から発射する方式となろう。しかも原潜が望ましい。
 通常動力型潜水艦は空気の入れ替えのため定期的に浮上しなければならず、中朝に行動を容易に把握されてしまう恐れがある。また、燃料補給などのため母港に帰投する機会も多く、作戦が思い通りに展開できないといった制限がかかる。しかし、原潜ならばこうした心配はない。
 日本の潜水艦建造能力は世界でトップクラスだが、原潜を建造した経験がなく未知の分野だ。一方、米国は世界で初めて原子力で航行する潜水艦「ノーチラス」を建造し、米海軍が保有している潜水艦はすべて原子力で航行する「原潜大国」だ。つまり、巡航ミサイルと原潜をセットで米国から導入するということになる。
 現在、米海軍が保有する巡航ミサイル発射可能な原潜は「改良型オハイオ級」「シーウルフ級」「バージニア級」「ロサンゼルス級」がある。最新鋭の原潜の建造を米国に新たに発注する方法もあるが、これでは国産の原潜と巡航ミサイルを開発・導入するのと同じように「時間」という壁が日本の敵地攻撃能力獲得の前に大きく立ちはだかることになってしまう。

米海軍の「バージニア級」原潜16隻を導入

 従って、米海軍が保有する原潜が候補になる。「改良型オハイオ級」はもともと潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載する戦略原潜を改良したもので、「シーウルフ級」は高額過ぎて建造数が3隻にととどまった。また、62隻が建造された「ロサンゼルス級」はすでに退役が始まっており、老朽化は否めない。こうしたことを考慮すると、「バージニア級」をチョイスすることになるだろう。
 では、日本には巡航ミサイルを搭載した原潜が何隻必要だろうか。原潜が(1)作戦への従事(2)母港での修理・点検(3)乗組員の休養(4)訓練の実施、そして再び作戦への従事-というサイクルになることを前提にすると、4隻でワンセットとなる。「バージニア級」は1隻で12~40発の巡航ミサイルを搭載可能だが、作戦に従事しているのがたった1隻では心許ない。攻撃目標の数にもよるが、海中で作戦に常時、従事する潜水艦が4隻はほしいところだろう。ということは、4×4で日本は16隻の原潜を保有することになる。作戦に従事している原潜は日本海や太平洋の海中に潜み、あらかじめ定められたターゲットに狙いを定め、“その時”をジッと待つ。なんなら、原潜の原子炉や巡航ミサイルの管理など“一芸に秀でた”米海軍将兵を同乗させてもいいかもしれない。

NATO諸国並みの防衛努力を

 発注した原潜は米国内で建造し、米国人の作業員・研究員が建造に従事する。原子力機関の取り扱いや潜水艦の操作方法、そして肝心の巡航ミサイルの管理・発射のノウハウを米海軍から学ぶことになる。自国の産業振興を掲げるトランプ政権はもろ手を挙げて歓迎するはずだ。もちろん、日本の防衛費増額も必要だ。国内総生産(GDP)比1%なんてことは言っていられない。北大西洋条約機構(NATO)だって、各国の軍事費の目標をGDPの2%としている。日本も甘えてはいられない。NATO並みの2%、いや3%を目標にしなければならないかもしれない。

 《トランプはん。通商や為替政策で日本をやり玉に挙げとったそうやけど、ここまで具体的に米国内の産業振興や雇用の拡大につながる日本の政策を聞くのは初めてやろ? あんさん、安全保障問題にあんまり詳しくなさそうやから、これからもちょくちょくアドバイスしたるわ!!》(政治部編集委員 笠原健)




【「敵地上陸能力」の整備もミサイル抑止の向上につながるか?

「水陸機動団」創設準備は最終段階
米海兵隊との訓練で練度向上・今後は装備品の充実も焦点
【用語解説】水陸機動団 尖閣諸島(沖縄県石垣市)をはじめとした離島に他国が侵攻した場合、迅速に機動展開して奪還作戦に従事する水陸両用部隊。本部は陸上自衛隊相浦駐屯地(長崎県佐世保市)で、平成29年度末に隊員約3千人規模で発足する。25年12月に策定した「防衛計画の大綱」に盛り込まれ、14年に発足した西部方面普通科連隊が中核となる。米国製の水陸両用車「AAV7」などが主要装備。

 中国の強引な海洋進出に備える離島防衛の強化に向け、陸上自衛隊が平成29年度末に創設する「水陸機動団」の準備が最終段階に入っている。共同作戦が想定される米海兵隊との訓練を年々拡充し、水陸両用作戦に従事する陸自隊員らの練度向上を図る。離島までの足となる強襲揚陸艦の導入や水陸両用車の日米共同開発など装備の強化も課題となる。(小野晋史)
 10日午後の群馬県・相馬原演習場で、陸自のCH47大型ヘリコプターから降り立った米海兵隊約20人の大声が響き渡った。
 「ゴー、ゴー、ゴー!」
 海兵隊員は時折地面に伏せながら前進して周辺地域を制圧。続いて到着した陸自隊員が海兵隊と合流し、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイに負傷兵を搬送した-。
 17日に終了した12日間の共同訓練「フォレスト・ライト」の一場面だ。水陸機動団の創設まで1年となり、陸自が海兵隊の実戦経験から学ぶ共同訓練の機会は急速に拡大している。
 四方を海に囲まれ、6800もの離島を有するわが国では、南西諸島を中心としてゲリラや特殊部隊などの外敵に対する備えが大きな課題だ。
 水陸機動団は、14年に発足した陸自西部方面普通科連隊(西普連)を中核とし、主に離島防衛・奪還作戦を担う。現行の中期防衛力整備計画(中期防)では、新たに人員輸送や作戦指揮などに用いる水陸両用車「AAV7」を52両調達。実戦では海・空自衛隊や海兵隊と協力しながら、AAV7やボートのほか、オスプレイなどで離島に上陸して侵攻した敵勢力と対峙(たいじ)する。


こうした能力を獲得するため不可欠なのが、数々の戦場を渡り歩いてきた米海兵隊が有するノウハウだ。
 陸自と米海兵隊の共同訓練は当初、昭和56年に始まった「フォレスト・ライト」だけだったが、平成17年以降は米国で離島防衛の訓練を行う「アイアン・フィスト」に部隊を派遣。25年に「ドーン・ブリッツ」、26年には米海軍が主催する「環太平洋合同演習(リムパック)」への参加も始め、在沖縄米海兵隊での要員研修も24年から行っている。
 共同訓練では、ヘリコプターから海中への飛び降り方や武器を携行して浅瀬を進むコツなどを学ぶ。
 「すぐには外に出るな!」
 2月に米カリフォルニア州で行われたAAV7での上陸訓練時では、海兵隊員が厳しい声で陸自隊員を制する場面もあった。陸自関係者は「敵前上陸の訓練で米軍は、海岸に上がるまで極めて慎重だが、いったん上陸すると素早く前進する。この切り替えが速い」とうなる。


 隊員の練度向上に加え、装備の充実も課題だ。AAV7は速度やサンゴ礁を乗り越える能力などに難があるとされ、防衛省は国産水陸両用車の研究に着手。日米共同開発も視野に入れる。大量の人員や物資、上陸用舟艇などを搭載できる強襲揚陸艦の導入も検討課題の一つだ。ただ、揚陸艦を導入した場合、運用することになる海自関係者は「現在の海自の人員や予算の枠を維持したままでは運用するのは難しい」と打ち明ける。安倍晋三首相は防衛費に関して国内総生産(GDP)1%にこだわらない考えを示しているが、水陸機動団の態勢構築には大幅な防衛費増が必要となる。

【「やれるぞ!」技術情報戦略も核弾道ミサイル抑止につながるか?

警戒すべき!日本は大陸間弾道ミサイルも核兵器も作れる=中国報道
サーチナ モーニングスター(株)
© Searchina 提供 「大陸間弾道ミサイル」はその名のとおり、大洋に隔てられた大陸間を飛翔できる弾道ミサイルのことだ。2015年時点でこのミサイルを保有しているのは米国、ロシア、中国の3カ国となっている。

 「大陸間弾道ミサイル」はその名のとおり、大洋に隔てられた大陸間を飛翔できる弾道ミサイルのことだ。2015年時点でこのミサイルを保有しているのは米国、ロシア、中国の3カ国となっている。また、インドや北朝鮮も大陸間弾道ミサイルの開発を進めている。
 中国メディアの今日頭条が2017年3月17日付で掲載した記事は、もし将来的に日本を刺激する大きな事件が生じれば、日本は大陸間弾道ミサイルを製造する可能性が高いと主張し、中国は警戒すべきであると論じている。
 記事は、現在日本はカーボン複合材料技術の開発に取り組んでいるが、これは弾道ミサイルが「大気圏再突入」する際に生じる空力加熱問題に対処するためであると説明。また、ある軍事専門家は「日本は現在有しているロケット技術を基礎として弾道ミサイルを開発する能力がある」と見ていると紹介した。
 さらに純粋に技術的な観点から分析すれば、日本は現在有しているロケット技術だけで短距離弾道ミサイルを製造できるだけでなく、大陸間弾道ミサイルさえも開発できるだろうと指摘。また、このミサイルが種子島宇宙センターと鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から発射されるなら、その威力は相当なものになるだろうと論じた。
 「もし将来日本を刺激する大きな事件」が具体的に何を意味するかを正確に推し量るすべはないが、中国では「日本には核兵器や弾道ミサイルを開発するだけの能力がある」と主張し、警戒を呼びかける声が根強く存在する。中国としては、過去に日本に侵略されただけあって日本が何を言っても信用できないというのが本音なのかも知れない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

【偵察衛星による監視で弾道ミサイル発射を抑止!

情報収集衛星をH2Aロケットで打ち上げへ

2017.3.16http://www.sankei.com/photo/daily/news/170316/dly1703160017-n1.html

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は平成29317日、政府の情報収集衛星「レーダー5号機」を載せたH2Aロケット33号機を、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げる。打ち上げは午前10時20分の予定。
 16日夜にはロケットを組立棟から約450メートル離れた発射場までゆっくりと移動させ、打ち上げに備えた。
 レーダー5号機は、地上に向けて電波を放ち、反射を捉えることで夜間や悪天候時でも地上の様子を観測する。当初、16日午前に打ち上げる予定だったが、発射場付近の天候悪化が見込まれたため延期された。


《維新嵐》日本は宇宙空間は軍事利用しない、が基本方針と聞きましたが、しっかり軍事利用していますね。これでいいんです。しかしステルス戦闘機による北朝鮮ミサイル基地の爆撃ばかりが、軍事オプションではありません。制空権もないのに敵地爆撃はできません。もしこれを主張する政治家がいたら、その政治家が一度やってみるべきでしょう。

【金融制裁により北朝鮮の軍事的脅威を抑止!?】

トランプ政権、北朝鮮に制裁強化へ 国際金融システムから締め出し=米高官
Reuters
© REUTERS トランプ政権、北朝鮮に制裁強化へ 国際金融システムから締め出し=米高官

[ワシントン20日ロイター] 米政府高官は平成20320日、トランプ政権が、対北朝鮮対策を見直す中で、北朝鮮を国際金融システムから締め出す制裁を検討していることを明らかにした。
トランプ政権は、核・ミサイルの脅威が増している北朝鮮に経済、外交的な圧力を強めるとともに、米国、米国の同盟国である韓国と日本の防衛体制を強化する方針。新たな制裁はその一環という。
ティラーソン米国務長官はアジア歴訪中、北朝鮮への武力行使を排除しない姿勢を示した。北朝鮮への武力行使は以前から一つの選択肢となっていたが、トランプ政権はリスクが少ない選択肢をとっているようだ。
この高官によると、国家安全保障担当のマクマスター大統領補佐官が政策提案の策定にあたっており、4月上旬に予定される米中首脳会談までにトランプ大統領に提出される見通し。トランプ大統領と習近平中国国家主席との会談では、北朝鮮問題が主要議題になる予定だ。
ただ、米政権の安全保障関連の重要ポストがなかなか決まらないこともあり、トランプ大統領が迅速な決定を下せるか不透明だ。
ホワイトハウスはコメントを拒否した。
<「第2次制裁」>
米政府高官によると、ティラーソン国務長官を含む米政権高官は水面下で中国に、より広範な「第2次制裁」について警告したという。それは、北朝鮮と取引がある銀行、その他企業を対象とした制裁で、多くの中国企業が対象となることを意味する。
こうした措置は、北朝鮮をもっと抑制するよう中国に一段と圧力をかけることでもある。ティラーソン長官らの警告に中国側がどのような反応を示したか不明だが、すでに中国政府はこの種の措置に強硬に反対している。
米政権内で策定中とされる措置は、かつて核開発をめぐりイランに科した制裁と狙いを同じくする。しかし、こうした措置が、すでに重い制裁を受けている北朝鮮に効果を持つためには、国際的な協力、とりわけ中国の協力が欠かせない。だが、中国は自国に火の粉が降りかかってくることを懸念し、隣国を締め上げることに後ろ向きだ。
またアナリストは、イランと北朝鮮の違いを挙げて、金融制裁の効果を疑問視する。有数の産油国で石油の輸出が重要な資金源のイランなら、金融制裁は打撃だが、すでに国際金融システムとのつながりが希薄な北朝鮮では、効果は薄いというのだ。

北朝鮮は、小規模な中国の銀行を介した違法な取引に依存している、とされる。新たな制裁が効果を発揮するためには、こうした小規模な銀行の動きを封じるような措置にする必要がある。

《維新嵐》我が国の行っている経済制裁より規模的には大きいものですが、これに共産中国やロシアが同調できれば効果絶大でしょう。




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