2017年12月2日土曜日

事故続発のアメリカ海軍の現況 ~高まる北朝鮮強硬論の中で~

今度は輸送機が墜落、米軍の事故が止まらない
半年で20名を失ったアメリカ太平洋艦隊、異常事態の原因は?
北村淳 
2017.11.30(木) profilehttp://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51720
空母から発艦するC-2A輸送機(資料写真、出所:米海軍)

 アメリカ海軍が、3隻の原子力空母とそれぞれの空母打撃群を日本周辺海域に展開させて、韓国海軍および海上自衛隊との合同訓練を実施した。訓練の目的は、ICBMの開発を推し進める北朝鮮を威嚇し、膨張主義的海洋侵出政策を加速させている中国にも「アメリカ太平洋艦隊健在なり」とのメッセージを突きつけるためである。ところが20171122日、アメリカ海軍の威信を示した3隻の空母のうちの1隻、ロナルド・レーガンから発艦した米海軍C2-A輸送機が墜落した。搭乗していた11名のうち8名は救助されたものの3名が行方不明となってしまった。
 米海軍艦艇・航空機ならびにロナルド・レーガン空母打撃群と合同訓練中だった海上自衛隊艦艇・航空機によって行方不明者の捜索が数日間にわたって行われたものの、発見することはできず、捜索は打ち切られた。この事故により、アメリカ太平洋艦隊は20176月から11月末までの約半年の間に20名の将兵を失ったことになる。
(参考)
・2017年617日、伊豆沖で駆逐艦フィッツジェラルドが民間コンテナ船と衝突し、駆逐艦乗組員7名が死亡。
821日、シンガポール沖で駆逐艦ジョン・S・マケインが民間タンカーと衝突し駆逐艦乗組員10名が行方不明。(本コラム「米海軍で事故続発の原因、サイバー攻撃はありえない参照)
シンガポールのチャンギ海軍基地のドックに入った、衝突事故による穴が開いたままの駆逐艦「ジョン・S・マケイン」(2017822日撮影)。(c)AFP/Roslan RAHMANAFPBB News

連発している重大航空機事故
 アメリカ海軍安全センターによると、過去1年間(20171125日まで)の間に発生した重大航空機事故、すなわち「クラスAミスハップ(mishap)」は、海軍機で18件(飛行中14件、地上4件、行方不明者3名)、海兵隊機で12件(飛行中10件、地上2件、死者21名)となっている。このような事故データをもとに、「海兵隊は海軍に比べて航空機事故での死者数が異常に多い」といった指摘がしばしばなされている。たとえば、「過去6年間の海軍機と海兵隊機の死亡事故を比べてみると、海軍の死者数が10名(プラス今回のC-2A事故での行方不明者3名)であるのに対して、海兵隊は62名に上っている。
 ただし、海軍機の事故に比べて海兵隊機の事故のほうが死亡者数が6倍と跳ね上がるのは、事故件数が6倍だからというわけではない。航空機の使われ方に原因があるのだ。
 アメリカ海兵隊が最大の特徴としているのは、「水陸両用能力」(厳密には水空陸併用能力)である。水陸両用能力とは、海上の揚陸艦などから揚陸艇や水陸両用車それにヘリコプターやオスプレイで海や空を経由して陸地に到達し、作戦行動を実施する能力を指す。
 現代戦においてはとりわけスピードを要求されるため、海兵隊陸上戦闘部隊は、海兵隊航空機による移動や海兵隊航空機による支援が不可欠である。そこで海兵隊では、陸上部隊と航空部隊が密接不可分となった「MAGTF」という戦闘組織構造になっている。
 このような組織的特質のため、海兵隊では、多くの海兵隊員を搭乗させた中型輸送機MV-22オスプレイや大型輸送ヘリコプターCH-53、そして場合によっては大型輸送給油機などが多用されている。
海軍機での死亡事故は、戦闘機や戦闘攻撃機などの事故によるものが、その大半を占める。戦闘機や戦闘攻撃機の搭乗員は1人あるいは2人である。一方、海兵隊では搭乗員数の多い輸送機や輸送ヘリコプターが事故を起こす。そのため、海兵隊では事故件数に比べると、どうしても死亡者数が多くなってしまうのである(今回の海軍機の事故は、航空母艦に積載してある輸送機の事故であったため、行方不明者が3名発生してしまった)。
事故多発の原因は予算不足
 こうした海兵隊や海軍での航空機事故多発という事態を受けて、アメリカ連邦議会では「アメリカ軍でこのように航空機事故が頻発するのは、かねてより予測されていた事態である」と指摘する声が上がっている。
 そして、このような状況を作り出した最大の原因は、オバマ政権による国防予算の大幅削減策の目玉であった「強制財政削減」にあるという主張も聞かれる。実際に、2012会計年度から2021会計年度の10年間で、連邦支出は12000億ドル削減され、そのうちのおよそ半分は国防費であった。そのため、強制財政削減の即時撤廃を主張している連邦議員は少なくない。
 本コラム(「オスプレイ墜落、米軍で重大事故多発の真因とは」)でも紹介したように、強制財政削減の即時撤廃を強力に主張し続けているマケイン上院議員(上院軍事委員長)やソーンベリー下院議員(下院軍事委員長)をはじめとする有力政治家たちは、軍事費が強制財政削減によって逼迫したために、深刻な悪影響が米軍全体の航空機運用に降りかかっていると指摘している。具体的には、以下のような弊害があるという。
1)新型航空機の調達が滞り、長年にわたって使い込み安全性が(新鋭機に比べて)低い航空機を使用せざるを得ない。
2)軍用機の整備点検費用が不十分となり、航空機に故障が生じやすくなる。
3)十分な訓練費用を確保できなくなり、パイロットの錬成度も低下する。
 そして、海兵隊や海軍の航空機運用のみならずアメリカ軍全体の戦力そのものが強制財政削減によって弱体化しているとして、一刻も早く強制財政削減を撤廃し国防費を“正常”な状態に戻すように主張しているのである。
 アメリカ海軍では、航空機事故だけでなく軍艦の重大事故も頻発している。北朝鮮情勢がますます緊張の度合いを強めるに従い、航空機や艦艇の作戦出動や訓練の度合いも密にならざるを得ない。その結果、ますます事故の可能性が高まっていくというわけだ。
 このような苦境に直面している米海軍にとって、頼みの綱となるのが最大の同盟軍である海上自衛隊である。日本側は、これまでのようにアメリカ側からの求めに答える姿勢ではなく、積極的な軍事的支援を実施する必要性に迫られているといえよう。

《維新嵐》「世界一」のアメリカ軍から頼りにされる自衛隊ならば、正式に「国防軍」化して軍人の利権を確立すべきでしょう。戦後旧陸海軍の権益を「山分け」してやってきた霞が関の官僚でしょうが、そろそろ年貢の納め時でしょう。特に警察官僚が少なからず痛みを伴うでしょうが、私利私欲は捨てて国家の利益を優先すべきでしょう。
C-2A動画

危機はクリスマス後か?トランプ政権による対北朝鮮攻撃の可能性

小谷哲男 (日本国際問題研究所 主任研究員)
 20171129日未明、北朝鮮が約2か月半ぶりに弾道ミサイルを発射した。通常軌道より高く打ち上げるロフテッド軌道で大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、日本海の日本の排他的経済水域に着水した。最高高度はこれまでで最も高い4475キロメートルで、通常軌道での発射であれば射程距離が1万メートルを超え、米国の首都ワシントンをその射程に収めるとみられる。北朝鮮はこの新型ミサイルが「火星15号」で、大型の核弾頭を搭載できると発表し、米本土全体をその射程に収めると主張している。射程距離は伸びたが、一番重要な弾頭の大気圏再突入技術については、まだ完成していない可能性が残っている。


(写真:ロイター/アフロ)
 北朝鮮がしばらくの間ミサイル発射をしなかったことについて、経済制裁が効果を上げている、あるいは米国の「先制攻撃」を恐れているという分析が示されてきた。さらには、自制をして米国との対話のタイミングを見計らっているという見方や、中国共産党の全国党大会やトランプ大統領のアジア歴訪に配慮したという楽観論もあった。しかし、この間も北朝鮮はミサイルエンジンの実験を続け、着実に技術開発をしており、以上のどの分析も誤りであったことが明らかとなった。
 火星15の発射についても、トランプ政権が8年ぶりに北朝鮮をテロ支援国家に再指定したことに対する反発との見方が出ているが、それは誤りであろう。トランプ政権が北朝鮮をテロ支援国家に再指定したのは、象徴的な動きではあるが、米国がさらに中国企業などへの独自の二次的制裁を強化し、他国にも同様の措置を求める目的がある。だが、北朝鮮は米本土を核攻撃できるICBM能力を手に入れることを当面の目標としており、どのような圧力にも屈せず、対話にも応じる見込みはない。トランプ大統領の強硬な発言や、テロ支援国家への再指定があろうとなかろうと、より信頼性のある核攻撃能力を獲得するため、粛々と技術開発を継続するだけであることが改めて確認されただけである。
ホワイトハウス内では強硬派が勢いを増している
 トランプ大統領は、アジア歴訪に当たって北朝鮮に対する圧力の強化を地域各国に訴えた。特に、中国では習近平主席に北朝鮮への圧力強化を強く働きかけた。ホワイトハウス内では、中国が北朝鮮に対して効果的な影響力を行使することを期待する声はほとんど失われたが、訪中前にトランプ大統領自身はまだ諦めていなかった。トランプ大統領訪中後、習主席は特使を北朝鮮に派遣したが、金正恩委員長に会えず、核ミサイル開発をめぐって丁々発止のやり取りが繰り広げられたと伝えられている。これによってトランプ大統領自身も、習主席への期待を考え直すきっかけになるかもしれない。
 また、ホワイトハウス内では、北朝鮮との対話についても否定的な考えが根強い。北朝鮮が米国との対話に関心を示していないため、外交を担当する米国務省は圧力の先にある対話をどのように構築するか難しい課題に直面している。国務省のユン北朝鮮担当特別代表は、「60日間挑発行為を自制することが米朝対話の条件になり得る」という考えを非公開の場で示していたことが報道された。しかし、ホワイトハウス関係者は、これは政権の意向を全く反映していないと言う。
代わりに、ホワイトハウス内では、強硬派が勢いを増しているとみられる。その代表格はポンペオCIA長官で、北朝鮮が来年にもICBM能力を完成させると見込まれる中「やるなら早いほうがいい」と主張していると伝えられている。その他の関係者も、軍事的衝突が近づいていると声をそろえる。対話を重視する発言を繰り返しながら実現できていないティラソン国務長官の辞任が近いと噂されているが、その後任の最右翼はポンペオ長官である。仮に強硬派の国務長官が誕生すれば、一気にホワイトハウスが攻撃モードに移る可能性も否定できない。10月の解散総選挙前後に、安倍首相や小野寺防衛相が、年末にかけて北朝鮮をめぐる緊張が高まる可能性を指摘していたが、このようなホワイトハウス内の動きを把握していたのかもしれない。
武力行使の可能性高まるも、課題は残ったまま
 1つの注目点は、クリスマス前後における在韓米軍の家族の動きである。在韓米軍は元々家族の帯同を認められていなかったが、朝鮮半島情勢が緊迫する中、ソウル在住の米国市民と並んで武力行使の足かせになっている。一部には、クリスマス休暇中に家族を韓国から避難させることによって、武力行使のハードルを下げると同時に、北朝鮮にそのシグナルを送って圧力を強めるという考えが広がっている。米軍はソウル在中の米国市民の避難訓練を年に2回行っていることに加えて、日米の間で韓国にいる日本人の避難に関する協議が行われていることが断片的に報道されており、非戦闘員退避の取り組みも米国による武力行使のハードルを下げることにつながる。
 米太平洋軍は、すでに複数の北朝鮮攻撃計画を大統領に提示したと伝えられる。もちろん、米国が武力行使をした場合に予想される北朝鮮の重火器やミサイルによる報復にどう備えるのか、武力行使の国際法上の根拠をどう担保するのか、米国の武力行使に中国がどのように反応するのか、武力行使後の朝鮮半島にどのようなビジョンを描くのかなど、たとえ限定攻撃であっても、米国による武力行使には多くの課題が残っている。

 安倍首相は、軍事力行使も含めたすべての選択肢がテーブルの上にあるというトランプ大統領の方針を全面的に支持している。北朝鮮との過去の対話路線が失敗したことは明白であり、軍事力行使も含めたすべての選択肢を検討するのは正しいし、そうでなければ北朝鮮への抑止も有効ではなくなる。しかし、武力行使に関する課題を残したままでは、北朝鮮に足元を見られてしまうだけである。これらの課題について真剣かつ迅速な議論が求められている。

米朝戦争の脅威
青山繁晴氏大いに語る

《維新嵐》トランプ大統領が決断し、アメリカ軍が北朝鮮に対して攻撃をしかけたら、国民のGDPも小さく、経済制裁を国連からうけていて、朝鮮人民軍の士気も低い北朝鮮に┓能力すらないでしょう。イラク戦争の時の再現で、核弾頭ミサイルを北朝鮮が使う前に空母打撃群の攻撃隊が、北朝鮮の通信施設やレーダーサイトを潰し、ミサイルの地上発射基地を叩かれ、勝負にならないくらいの無残な敗北に終わるのではないでしょうか?
 国家による嘘、朝鮮中央通信を先軍とした情報戦の虚言が事実として世界中に知れ渡るでしょうね。
 共産中国は、おそらく北朝鮮での自国権益保護を名目に、人民解放軍による首都平壌の制圧のため鉄道にて乗り込んできて、平壌に戒厳令をしくのではないでしょうか?
 そして金正恩将軍は、側近と妻と共に海外へ逃亡です。
 政治的には、トランプ政権と習近平政権の間で、あとの北朝鮮の処理がなされていくかと思いますが、人民解放軍は協定があっても平壌にはとどまり続けるでしょう。ロシアのプーチンの介入もきっとあるのではないでしょうか?
 北朝鮮の新政権が誕生するのは歓迎すべきことかもしれませんが、中国共産党の意気がかかった政権では、我が国の国防問題はさらに違う意味で深刻になるのではないでしょうか?

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